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調査データからみる、日本のビデオストリーミングアプリ市場とその特徴は?:App Annieセミナーレポート

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9月4日、App Annie主催のマーケター向け定期セミナーDECODE が開催されました。(イベント詳細はこちら
今回のメインテーマは「動画」。モバイルアプリ市場における最新の「動画」の活用方法や未来についての講演や意見交換がなされました。
本記事では、主催のApp Annieにてエバンジェリスト 兼 Head of Japan New Business を務める向井俊介氏の講演を抜粋してレポートいたします。

講演の様子


App Annieのエバンジェリスト 兼 Head of Japan New Businessの向井です。
本講演では、アジアを中心としたビデオストリーミングの概況やトレンド、またApp Annieのデータからみえてくる日本のビデオストリーミングサービスの状況や事例をいくつか深堀してお話します。

調査レポート『アジアのビデオストリーミングアプリ』はこちら

App Annieについて

最初にApp Annieについて少しだけご紹介させていただきますと、我々はアプリの”データプロバイダー”です。
具体的には、アプリの新規ダウンロード数や、アプリ内での収益金額、DAU/WAU/MAUなど、アプリに関する様々なデータを提供しています。

世界中のどのアプリが、いつ、どこで、どのくらいダウンロードされていて、どんな人がどんなアプリと一緒に使っているか、というデータがわかります。また、今年に入ってからは広告周りのデータの提供も始めています。アプリ内広告の、どのクリエイティブが、どのアドネットワークから、どのくらい露出しているのか、ということまでがわかるだけでなく、どんなキーワードでアプリに流入しているのかもわかります。

我々はデータ屋なので、実際にアプリをつくることはないのですが、アプリをグロースさせたいマーケターの方や、コンシューマーのモバイル利用状況を理解したいあらゆる業界の方々にご利用いただいております。

詳細はこちら:App Annie Intelligence紹介ページ

スマートデバイスに触れる時間の85%がアプリの利用

ご存知の方も多いと思いますが、ワールドワイドでアプリの利用時間はどんどん増えてきています。
弊社の調査によると、スマートデバイスに触れる時間が1日1時間としたときに、そのうちの約85%の53分はアプリの利用で、残り7分がブラウジングや通話などに費やされています。
今やアプリは、生活者の時間を獲得する重要なツールとなっているんです。

なお弊社の予測によると、アプリ利用時間やダウンロード数など、あらゆる指標が2016年と比較した場合、2020年には約2倍に伸びていく見込みです。
モバイルファーストというキーワードが数年前から出てきていますが、東京オリンピックが開催される2020年には、ますますアプリが日常的に使われる世界になっていくと思われます。

競争の激しい日本市場では100本中の30本に入れるかが勝負

弊社の調査では、日本人のスマートフォンには平均して月に100本以上のアプリがインストールされています。(薄い色の棒)
この本数は、他国に比べ突出して多いのがグラフからわかります。しかし、インストール済みアプリの数に対して実際に起動して利用されているアプリ数は、平均して約30本と割合的に多くないという特徴があります。(濃い色の棒)
つまり、アプリの媒体社の方からしたら、その30本の中にいかにして入り込めるかが勝負になってきます。そのためには言うまでもなく、まずはインストール済みアプリの100本に入らなければなりません。インストールされないことにはアプリが存在しないのと一緒になってしまいます。
このように日本のアプリ市場は、競争の環境としてはハードな局面にあるということがデータから見て取れます。

生活者はすでに優れたアプリ体験をしている


今や、ゲーム、メディア、スポーツ、漫画、旅行などなど、日常生活におけるありとあらゆるものがアプリ化されたことで、我々は日常的にアプリに触れ、色々なシーンで複数のアプリを使っている状況です。
つまり、当たり前のことですが【生活者はすでに優れたアプリ体験をしている】ということを、アプリ媒体社様は改めて再確認をしていただきたいです。
例えばアプリ世界では、まずはアプリをベータ版で出し、定期的にユーザーからのフィードバックを受けスピーディーに改善していく、いわゆるアジャイル的な開発手法が良いと言われています。
その一方で、日常的に高度化されたUXを体験しているユーザーにとっては、アプリを起動した最初の時点で期待していたUXが体験できなかったら、もうそのアプリを使おうとせず一瞬で離脱してしまうということが起きています。
ユーザーは、スマホに触れている時間の85%を既にある優れたUXのアプリに触れているので、アプリ媒体社様は自分達のアプリを初めてインストールして起動してくれたユーザーが最初に触れるUXに絶対に手を抜いてはいけない、ということを釈迦に説法かもしれませんが改めてお伝えさせてもらいます。

アジア太平洋地域がビデオアプリの成長を牽引

ここからが本題です。アジア太平洋(APAC)のビデオストリーミングアプリ市場はどうなっているのでしょうか?

ワールドワイドで、全てのアプリの消費時間とその中のビデオストリーミング系アプリ(グレー)の推移をみると、2015年から2017年にかけて全カテゴリーで約1.7倍(+66%)に増えているのに対し、ビデオストリーミング系アプリの消費時間はなんと2.5倍となっています。世界的にもビデオストリーミング系アプリは、市場全体の成長率よりも高い伸び率になっているのがわかります。

こちらはビデオ・エンターテインメント系アプリの消費時間をアジア太平洋(緑)、アメリカ(濃い青)、ヨーロッパ(薄い青)でざっくりと分けたグラフです。
アジア太平洋が3.1倍と、他国に比べて突出して伸びています。

つまり、世界的にビデオストリーミング系アプリのカテゴリーは成長しており、なかでもアジア太平洋がその成長を牽引していて、今後ますますビジネスチャンスが大きい市場であると言えます。

市場の拡大とともに激化する各地域の競争

ここで具体的にどんなプレイヤーがいるのかを、ざっくりオンラインファーストとTVファーストのアプリに分けて紹介します。
日本でもYouTubeやNetflix、hulu、Amazonビデオなど、オンラインファーストのグローバルプレイヤーが国内に進出しています。国内発のプレイヤーでは、オンラインファーストはAbemaTV、SHOWROOMなど、TVファーストはTVerなどがあります。
地域によって状況はさまざまで、例えばインドではhotstarやJioなどのTVファーストのローカルプレイヤーのシェアが大きいケースもあります。
それぞれの国において、ビデオストリーミングのプレイヤー達の競争は激化している状況です。

ユーザ―利用率は、現状ではオンラインファーストのアプリの方が圧倒的に多いようです。

ここで利用率というのは、例えばAppleの場合はiOS利用者の全人口に対してそのアプリを使っている人の割合を指しています。
日本におけるTOP3のプレイヤーの普及率をみてみると、圧倒的に1位のプレイヤーはオンラインファーストのYouTubeで、70%くらいのスマホユーザーが利用しています。1位のYoutubeと大きく引き離されていますが、2位、3位もオンラインファーストのアプリで、TVファーストのアプリの利用率はさらにその下になっています。
YouTubeのシェアがあまりにも大きいので、ここを競合とするかはさておき、現状はオンラインファーストのビデオストリーミングアプリのほうが利用率が高いというのが言えます。

しかし、ここで注目したいのがTVファーストのビデオストリーミングアプリの成長率です。

こちらは各国MAUトップ5のビデオストリーミングアプリの平均利用時間(横軸)と成長率(縦軸)をグラフにしたものです。青のオンラインファーストのアプリの平均利用時間のほうが2017年上半期の時点では長いですが、成長率でみると緑色のTVファーストのアプリが50%を超えています。
TVファーストのビデオストリーミングアプリは、まだまだ成長途中であるというのが言えます。

どんなプレイヤーがいるのか?

今度は見方を変えて、各国のビデオストリーミングアプリのMAU TOP5をグローバルプレイヤーとローカルプレイヤーで色分けしてみました。
中国を除いてワールドワイドでのアクティブユーザー数No.1はYouTubeで、全体的にオンラインファーストのアプリが上位にきている状況です。
日本ではAbemaTVが、YouTubeに次ぐNo.2となっています。
AbemaTVをもう少し掘り下げ、AbemaTVユーザーの中で利用率が高いアプリをみてみました。AbemaTVユーザーは平均的なユーザーと比べ、同じような動画系のアプリの利用率が非常に高いようです。
つまり、ビデオストリーミングアプリのユーザーは、TVチャンネルを頻繁に切り替えながらザッピングするような感覚で、複数のアプリを使い動画を視聴しているのがわかります。

どのくらいの売上があるのか?

ここまではダウンロード数とアクティブユーザー数の話でしたが、ここからはマネタイズの話になります。
アジア太平洋(APAC)、アメリカ、ヨーロッパのエンターテインメントカテゴリーの収益推移をみると、各地域が伸びているなかでも特にアジア太平洋の成長率は急伸中です。

先程紹介したデータのなかで、2015年から2017年にかけて全世界の動画系アプリダウンロード数の成長率は2.5倍となっていました。
売上でみると、アジア太平洋におけるエンターテインメントカテゴリーの成長率はなんと4.7倍と、ダウンロード数に対して売上の規模はかなり大きく伸びており、特にアジア太平洋ではその成長率が圧倒的に高いことがわかります。
なお、このデータは広告収益は含まず完全にアプリ内での課金売上に絞ったものです。


エンターテインメントカテゴリーのなかでも、ビデオストリーミングアプリに絞った収益の成長率をみると、各国伸びているなかで日本も +205%と非常に高い数字がでています。
ビデオストリーミングのビジネスモデルは、YouTubeのようにユーザーは無料でみられる広告収益型のタイプが多い一方で、月額課金の浸透や例えば「投げ銭」などの新しい収益化の手法により、動画視聴に対して課金をするハードルが下がってきているのではないかと思います。

売上ランキングTOP5のプレイヤーを各国でみてみると、アジアのなかではNetflixの売上規模が大きいなか、日本ではローカルのShowroomが1位と健闘しています。

Showroomはいわゆる「投げ銭」のビジネスモデルが有名ですが、日本においてはこうしたマネタイズ手法の多様化によって他国とは違った独特のマーケットが作られ、定着してきているのかと思います。

まとめ

本日の講演をまとめさせていただきます。

■生活者は既に優れたアプリ体験をしている

盲点となってしまっているかもしれませんので改めて認識していただきたいのが、生活者はすでに優れたアプリ体験を経験しているということです。自分本位のUI/UXでサービスを提供すると、ユーザーはすぐに離れてしまい、レビューに星1と書かれてしまったりする危険があります。高度化されたサービスに常に触れている生活者に向けて、丁寧なアプリ作りをすることが重要です。

■海外勢の進出と現地プレイヤーの競争により、アジアのビデオストリーミングアプリ市場は急速に拡大

ビデオストリーミングアプリ市場は異常なほどに成長しています。競争が激しくなればなるほどサービスのクオリティはさらに上がっていき、それに伴い市場規模もさらに拡大していいきます。一方で、新規参入プレイヤーも今後も増えていく可能性があることも認識しておくべきかと思います。

■ユーザーは複数のビデオストリーミングアプリを併用 – 魅力的なコンテンツを配信し続ける必要がある

ユーザーは複数の動画アプリでザッピングしながら動画を視聴する傾向があるので、競争が激化する市場のなかで勝ち残っていくためには競合他社のサービスを深く分析したうえでサービスを展開していく必要があります。

■アプリ内課金での収益も拡大。従来の広告や有料課金に加えて、幅広いマネタイズの可能性が広がっている

きちんと注力していくことで売上げが見込める市場であることの根拠として、世界のなかでもAPACの課金売上が非常に伸びている点と、日本におけるビデオストリーミングアプリの市場も新たなマネタイズ手法の登場などによりまだまだ成長の可能性があるという点があります。

以上、App Annieの調査データからアジアを中心としたビデオストリーミングの概況やトレンドをお伝えさせていただきました。今後さらに日本のビデオストリーミング市場がグロースしていくよう、我々もお手伝いができればと思っています。
企業様に訪問してこうしたセミナーや勉強会を行ったりもしております。ご要望があればお気軽にご相談ください。
本日はご清聴ありがとうございました。

調査レポート『アジアのビデオストリーミングアプリ』はこちら

まとめ
調査データをもとにした、国内のビデオストリーミングアプリ市場の可能性の大きさに気づかせていただけた貴重な講演でした。
この度は取材にご協力いただきありがとうございます。
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