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「デジタル社会に適した広告プラットフォームの変化」#アドテック東京2017セミナーレポート

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10月18日に開催されたアドテック東京にて、Supershipの代表森岡が登壇したセッションのレポートをお届けします。

今回のセッションでは株式会社サイバーエージェント 常務取締役 小池 政秀氏、LINE株式会社 上級執行役員 法人ビジネス担当 田端 信太郎氏、Supership代表取締役 森岡 康一と、広告プラットフォーマーの3社のメンバーが登場し、トランスコスモス株式会社 取締役 上席常務執行役員兼CMO 佐藤 俊介氏のファシリテーションのもとに、「業界ネタ」「メディア」「グローバル」「経営」「広告」という5つのテーマで広告プラットフォームのいまと未来を本音で語りました。

「SNS上の公式アカウント、チャット、テレビ電話など、さまざまなコミュニケーション手段によって、企業は消費者とダイレクトにコミュニケーションを取ることができるようになりました。こういった時代の変化を、私たちは、『デジタル社会』と定義して、今日はプラットフォーマーを代表する3社のみなさんと、テーマに沿ってお話したいと思います」と佐藤氏。

デジタルだからこそ実現できる、次世代のコミュニケーションとは・・?

トランスコスモス株式会社 取締役 上席常務執行役員兼CMO 佐藤 俊介氏

テーマ①:業界ネタ『競合排除はしているのか?』

佐藤:これは、みなさんよく聞かれると思うのですが、デジタルの世界には多くのプレーヤーがいますが、プラットフォーマ―の間での競合排除というのはあるんでしょうか?

田端:プラットフォームはオープンであるべきだ、という考え方があると思いますが、そんな単純な話だけではないと思っています。例えば、ある大手ECサイトでは自社に不利益をもたらしかねない内容の書籍であってもECサイト内で扱っている、という事実がある一方、流通業では自社の経営方針を批判する記事が掲載されている雑誌は店頭には並べない、というような話も聞いたことがあります。
実際に私たちも競合排除は100%していない、と言い切ったら嘘になるかもしれません。とはいえ、私自身は営業という職務も持っているので、目の前の売り上げを考えるのであれば、もちろん排除はしないほうがいいと思います。実際に弊社が以前手がけていたLINEモールというECサイトの広告売り上げでは、ほかの大手ECサイトが大口顧客になっていました。

佐藤:Supershipは親会社がKDDIですが、キャリアは競合意識が強いイメージがありますよね。

森岡:みなさんが感じられているようにキャリアの競合意識というのはあるかもしれません。でも、Supershipにそれを持ち込んでいることはなくて、KDDI以外のキャリアともオープンにお取引をさせていただいています。弊社の取引で考えると排除はゼロですね。

佐藤:サイバーエージェントでは、いかがですか?

小池:AbemaTVで考えると排除はないと言えますが、お互いに出稿を遠慮している媒体はあるかもしれませんね。代理店側でその辺りを考えて出稿計画をたてている、というケースもあると思います。

佐藤:プラットフォームという言葉だけをとると、中立性を保つのは当然ですが、実際はケースバイケースとも言えるようですね。

 

テーマ②:メディア『マスとデジタルって実際どのようにして繋げる?』

佐藤:次に、とくに広告予算としても突出しているマスとデジタルをどう繋げていくのか。
AbemaTVではテレビと一緒に展開をされていますが、その狙いはどこにあるんでしょうか?

小池:AbemaTVは昨年スタートしたのですが、テレビを見ない層をターゲットとしたインターネットテレビとしてリニア配信しています。広告もテレビCM同様のスポット広告が中心となっています。

佐藤:AbemaTVの広告枠はすべてサイバーエージェントで販売しているんでしょうか?
CM枠をサイバーエージェントをはじめとしたデジタルのエージェンシーで販売するのは難しくはないものですか?

小池:広告販売については、サイバーエージェントでも扱っていますし、そのほかの大手をはじめとした広告代理店にも販売していただいています。初速は確かにテレビCMを販売し慣れている代理店さんのほうが売れていましたが、今はそこまで差があるようには感じません。

佐藤:Supershipはマスとの繋がりはあるんでしょうか?

森岡:社内では「マスデジ」と呼んでいる、マス広告とデジタル広告をつなげる仕組みを、今実験を行いながら確立しようとしています。
今までは別のチームが運用していたそれぞれの広告を、予算も一元化して、マスで認知を高めてデジタルでコンバージョンさせるという仕組みで、具体的には、テレビでこの時間にタイプAのクリエイティブを見た人はコンバージョンがしやすい、というようなことを、データをもとに分析してクロスデバイスでの広告配信をパッケージ化しようとしています。
実験と言っても大きな予算になるので、今はKDDIなど資本力がある企業と実現化に向けて取り組んでいるところです。

Supership代表取締役 森岡 康一

佐藤:LINEはコミュニケーションのプラットフォームですが、テレビとの連動というのはあり得るのでしょうか?

田端:LINE内でテレビ番組の番宣をしてもらって、そのまま番組のLINEアカウントへ誘導する、という流れがすでにあります。
テレビの広告主のなかでも2~3割くらいはアプリ内でのリーチが求められている指標になっていたりしますよね。そういう意味で考えると、ターゲットがリビングにいるとして、下りの施策はテレビで、上りの施策は手元にあるスマホで、という考え方があって、マスとデジタルの連携は特別なことではなく、自然にできていると思いますね。
今テレビは録画して見るのが当たり前になっています。
そんな中で、某アニメーション映画の放映中にSNSで”バルス”とつぶやくように、テレビをリアルタイムで見てもらうための動機形成というのは、LINEやTwitterなどのリアルタイムのコミュニケーションツールで作り出すことができると思っています。

佐藤:一方、例えばO2Oに代表されるように、流通に関してはリアルからデジタルへの置き換えが進んでいますが、各社では「リアルとデジタルを繋げる」ために、どういった取り組みをされていますか?

森岡:リアルとデジタルをつなげるという動きは、今後ますますニーズが高まっていくと思っているので、データを活用した行動導線というのは作ろうとしています。
最近では郵便番号ターゲティングなどの位置情報データを使った取り組みで店舗送客提案なども行っていますが、ほかにもどんな形での送客が可能なのかはまだまだ探っているところです。

田端:弊社ではかなり力をいれている領域で、例えば、店頭でQRコードを読み込んでもらうときにあらゆるリーダーを想定して作り込むとなると手間がかかりますが、LINEを最も普及しているQRリーダーと捉えれば「詳しくはLINEで読んでください」というと、お客様にも伝わりやすい。LINEはアプリがダウンロードされている前提で施策を立てることが出来るのが大きな強みです。
ほかに、事前にLINE上で抽選を行って店頭サンプリングをする、といった販促術もあります。デジタル化されたバーコードを読み込んでサンプルを渡すのですが、今後は、使用感について感想を求めるアンケートを後日LINE上で送る、といったこともできるようになり、店頭販促をデジタルマーケティングの一環に取り組むことが可能です。

小池:Supershipと同様に、サイバーエージェントでもデータを活用したO2Oマーケティング商品を提供しています。AIR TRACKという位置情報のサービスでは、メディアやSNSで広告に接触したユーザーがクライアントの店舗に来たかどうかを計測して、広告運用に活かすことができます。
一方、AbemaTVはマス的なリーチとしての役割を持っていて、例えばAbemaTVでリーチをして、LINEで刈り取る、といった組み合わせで使ってもらうケースが多いです。

佐藤:O2Oのように何かと何かを繋げる場合、広告施策も複合メニューになっていきますよね。総合代理店でもあるサイバーエージェントでは、営業の教育はどうしているんでしょうか?

小池:ひとつの部署がすべての施策を作り上げるのではなく、ブランドや販促といった専門部署を設けることで、知見を活かした提案ができるようにしています。

 

テーマ③:グローバル『グローバルってどのように考えてます?』

佐藤:昨今、グローバルという言葉が多用されていますが、私自身は言われているほどグローバル化は進んでいない印象があるんですが、お三方はいかがでしょうか?
GoogleやFacebookをはじめ、世界を見るとプラットフォーマ―の強豪がたくさんいて、その中で戦っていく戦略というのは立てられているのでしょうか?

森岡:弊社はグローバルへの意欲は高くて、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなど、さまざまな国での可能性を探っています。主力のDSP、SSPにおいては、アジア圏での調査では先ほどのGoogle、Facebookで市場が埋まってしまっている。
そこで、新しいニーズを生み出すためには、例えばメディアを育てるなど、入り口の部分を広げていく必要があると思っています。

佐藤:Facebookより優位に立てるものはあると思いますか?

森岡:データ文脈に関しては、こちらに分があると思っています。ソーシャル上のデータはユーザーのソーシャル内での行動を追うことが中心になりますが、弊社のデータはPCからスマホ、スマホからリアルといったように、より広い行動範囲をカバーしています

佐藤:サイバーエージェントは藤田社長がグローバルへの進出はしない、とどこかの記事でおっしゃっていたような気がするのですが・・?

小池:それはちょっと誤解がありまして・・笑
国内でヒットしたゲームは世界100数ヶ国で展開していますし、広告事業もアメリカや中国などでも事業を行っています。
ただ、サービスに関しては国内でしっかり成功することが、まず最初のステップになります。そういった観点で見ると、すでに数百億の投資を行っているAbemaTVもすでに海外からお声がけをいただいているケースはあるものの、まずは国内への浸透を図ることが先決となります。

株式会社サイバーエージェント 常務取締役 小池 政秀氏

佐藤:それはプライオリティとしての判断なのか、日本市場での投資対効果が良いから日本市場での展開を広げていくのか、どちらなのでしょうか?

小池:AbemaTVに関しては、まだビジネスモデルとして成立させていくフェーズなので、まずはそこをしっかりと固めていくことが必要だと考えています。

佐藤: LINEのグローバル展開はいかがでしょうか?

田端:日本、タイ、台湾、インドネシアの4ヶ国でメッセンジャーアプリとしてのシェアを獲得できています。2013~2014年頃にはグローバル各国でのメッセンジャーアプリのメインプレーヤーが決まっていって、今はお互いのシェアへ出ていこう、という動きはないですね。
グローバルでの総計MAUは2億人を超えていて、そのうちの日本人の比率は35%程度、さらに言うと、売上の70~80%がその35%程度の日本で立っている状況です。日本以外の国においても、法人向けのビジネスはまだまだ伸びしろがあると感じています。」

 

テーマ④:経営『買収基準を教えて』

佐藤:今日集まっていただいた3社はM&Aもダイナミックにされています。ベンチャー企業を買収する際の指標としてはどんなものがあるんでしょうか?

小池:サイバーエージェントは創業から約20年、基本的には事業を自ら生み、大きくするというポリシーでやってきたんですが、AbemaTVの収益の多角化を目的に、掛け算で事業シナジーが生まれるものに関してはM&Aも検討していこうとなりました。最近ではプロレス団体のDDTをグループ化していて、AbemaTVのコンテンツにすることで、DDTも成長させていきたいと思っています。

佐藤:LINEは今ではマネタイズの旗艦となっている配信システムを買収しましたよね?

田端:そうですね。弊社も投資会社ではないので、基本的には買収はビジネスの延長で行っています。ボトルネックになっているものを解消するための買収や出資はアクティブに行っていますね。
例えば、配信プラットフォームに関しては自社で構築するには時間がかかりそうだったので、フリークアウトからM.T.Burnの株を購入しましたし、1年前には「出前館」を運営する夢の街創造委員会株式会社の株式を20%取得しました。LINEで出前が注文でできるようにしよう、と思った時に、これも1店1店店舗を開拓していくには時間がかかりすぎるので、出前のネット注文ではもっとも規模の大きかった出前館に出資を行い、アセットを活用しています。
LINEでは、そういった各業界のインフラになっているような企業の足回りに一緒に乗ってビジネスをさせていただくケースが多いかもしません。

佐藤:Supershipはかなり積極的に買収を仕掛けていますが、買収するたびにカルチャーが増えるわけですよね?
もともと持っている事業も違う会社の場合は、どうやってそのカルチャーを融合させていくんでしょうか?

森岡:弊社自体もKDDIが買収した5社が一緒になって誕生した会社ですが、親会社であるSyn.ホールディングスをハブにして、今では弊社以外に5社がグループ会社として存在しています。
カルチャーの融合に関して言うと、これは最近結論が出まして、国内にいながらして小さな外資系企業を経営していると思うようにしようと。自分たちの水に合いそうな企業を選ぶわけでもないですし、グループ化した後に色に染めていこうとも思っていません。多種多様な文化を持っている人たちが集まっていること自体が特徴だと思っています。
M&Aを検討するポイントとしては「トップが買収後も腰を据えて事業に取り組んでくれること」。自分たちの資金力やアセットではできないことも、手を結びあえばできるようになる、と考えてグループにジョインしてくれるような、自社のサービスを大きくしようという気概を持っているトップだと、弊社とはシナジーが生まれやすいと思います。

佐藤:ベンチャー側もスケールができる、というのは大事な要素ですよね。それは自身の経験を踏まえてもそうだと思います。

 

テーマ⑤:広告の未来『果たして広告の未来はいまの延長線上にあるのだろうか?』

佐藤:いよいよ、最後のテーマとなります。
「Google Home」、「Amazon Echo」、LINEの「Clova WAVE」などのスマートスピーカーを筆頭に、広告を介在させずにモノを動かす仕組みというのも生まれていますが、広告が枠から人へという流れになっているように、その先で広告はどう変化していくのか。プラットフォーマーのみなさんはどう捉えていますか?

LINE株式会社 上級執行役員 法人ビジネス担当 田端 信太郎氏

田端:狭い定義での広告であれば未来はないと思います。枠から人へと言っても、人に当てるときに枠を使うのであれば、それは従来と変わりません。
スマートスピーカーにおいても、人が能動的に話しかける仕組みは広告とはまた違いますし、スピーカーが話しかければ、それはマーケティングにつながると思います。
例えば、休日で雨の日なら「外食は大変ですよね。デリバリーを注文しませんか?」と話しかけさせて「じゃあ、ピザでも注文しよう」と態度変容を起こすことができれば、それは一種の広告につながりますよね。
ほかにも、「Amazon Dash Button」なんかは進化した広告だと思います。ユーザーが500円を払って冷蔵庫に商品の広告を貼っているようなものですから。お金を払ってでも見たい広告とお金を払ってでも見たくない広告、「その差は何なのか」というのを考えてみる必要があります。
消費者と企業をどう繋げていくかという大きな枠で考えれば、広告という言葉の抽象度は自然とあがるはずです。

小池:メディアというモノづくりの立場で考えると、やはりサービスありきになります。世の中に何が流行るかで、それに適した広告が生まれるわけです。
すべての企業がそれぞれオリエンテッドなものを生み出すと、それに対応したプラットフォームが必要になるので、最大公約数に合わせることができるプラットフォームだけが生き残っていくのではないかと思いますね。

森岡:新規事業として起ち上げているVRのプラットフォームで考えると、広告にはアドバタイジングではなく、アドバテイメントという考え方もあると思っています。
例えば、VR空間でサッカー観戦をしていてハーフタイムになったら、突然自分がスポーツカーの運転手になって海外線を走っていたりして、それが車の広告だった、というようなもので、広告の延長線上ではあると思うのですが、楽しめる体験型の広告というのは、さきほど田端さんがおっしゃっていたお金を出しても見たくなる広告への道筋になると思うんです。

佐藤:私も個人的に体験というのはこれからの時代の大きなテーマになっていくと感じています。
では、ここで、みなさんに事前に伺っていた「広告プラットフォームの定義とは?」という質問について紹介します。それぞれこのようにお答えになっていますが・・

小池:「メディアと広告の価値を最大化させる仕組み」

森岡:「デジタル広告を支える一切の仕組み」

田端:「広告主と、メディアの2者はもちろんのこと、テクノロジーベンダーや運用アウトソーサー、フリーランスのクリエイティブ製作者、第三者の効果トラッキングSDKなど、様々なステイクホルダーが、生態系を創りながらお互いに相互に依存しつつ、付加価値を共創する場」

佐藤:この定義を踏まえて、スマートフォンで変わってきたデジタル社会に適したプラットフォームを一言で言うとどういったものになるのでしょうか?

森岡:Supershipはインターネット通じて多くの「つながり」を生み出す、ということを会社のミッションにしているのですが、つながりにも良いものと悪いものがあって良いインパクトを起こせるものでなければ、まず持続ができません。どんなプラットフォームも人が使うものですから、結局のところ愛を持ったプラットフォームであることが大事だと思っています。

小池:ユーザーが気持ちよく体験できる広告作りを私たち作り手があきらめないこと。技術を駆使しながらユーザーのために追求し続けることが必要だと考えています。

田端:ビジネスサイドの人間として思うことは、バランス感ではないかと。白黒ではっきりさせるのは難しいことも、ひとつひとつ議論をしながらバランスを取っていくことが大切ですよね。

佐藤:みなさんがおっしゃる通りで、プラットフォームも大きくなればなるほど道徳観を求められるようになっていますよね。デジタル上での法律や指針を作っていくのは、先駆者ですから、まさにここにいるみなさんはその指標を作っていく役割を担うのだと思います。

最後に、それぞれ一言ずつ、今後の目標などをお願いします。

森岡:Supershipはプラットフォーマ―としてはまだまだブラッシュアップすべき点がありますが、みなさんのお力をお借りしながらおもしろい世界を作っていきます!

小池:サイバーエージェントの持っているプラットフォームはまだまだ規模が大きくないので、まずは主力であるメディアサービスを伸ばしていきながら、インターネット上でのオープンな活動をしていきたいと考えています。

田端:広告主さんから見るとプラットフォーマ―に言いたいことってたくさんあると思うんです。LINEは日本に本社を置く企業ですから、ご意見があれば直接対話をさせていただきますので、何でもぶつけてください!

佐藤:広告配信においてプラットフォーマ―の存在は必要不可欠になっています。今日のセッションを通じて新しい関係が生まれていけば嬉しいです。
本日はご聴講ありがとうございました。

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