Interview 17.03.15

ヨーヨー世界チャンピオンのBLACKさんから学ぶ「チャレンジの見つけ方」前編

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Supershipの5つのバリュー「Super simple」「Super focus」「Super challenge」「Super honesty」「Super ジブンゴト化」。Experts Keynoteは、そのなかの「Super challenge」をテーマにして不定期に開催している社内勉強会で、毎回、外部からお招きした講師にご自身の経験をもとにSupership社員のチャレンジに向けたキーワードを教えていただきます。

今回のゲストはヨーヨーパフォーマーのBLACKさん。ヨーヨーの世界で頂点に立つも、社会的評価が伴わず感じた苦悩や挫折。そして、その後シルク・ドゥ・ソレイユやTEDにチャレンジしてきた経緯についてお話していただきました。BLACKさんが経験してきたチャレンジとは・・・?


■「チャレンジを見つける」ための2つの質問

――「ヨーヨー世界一」「シルク・ドゥ・ソレイユ出演」「TED登壇」など、これまで様々な夢を実現してきたBLACKさん。大きなチャレンジを成功させるためには、一度考えておくべき重要なことがあるとBLACKさんは言います。

「本日は、まずは“チャレンジの見つけ方”についてお話しさせていただきます。チャレンジと言うと『困難をどのように乗り越えたか』という課題解決の部分が注目されがちですが、それ以前に『何に立ち向かうのか』という課題設定の方が重要であると私は考えます。苦労して乗り越えたとしても、それが的外れな課題であったら意味がないですよね。

例えばスポーツの世界では、自己記録や先人の記録といった分かりやすいチャレンジの対象もあります。しかし、仕事やプライベートにおいては、チャレンジの対象に前例がなく、自分で見つける必要があるケースも多いのではないでしょうか」

 

――チャレンジを見つける手段の1つとして、「自身の根源をたどる」という方法があるとBLACKさんは言います。

「皆さんに質問をしたいと思います。『本当は何をしたいんですか?』。どんな仕事をしたいと思ってSupershipに入社したのでしょうか? その仕事は、皆さんにとってどんな意味を持ちますか? あるいはプライベートも含め、自分の人生を通じて何を成したいのでしょうか? 少し時間を取りますので、お手元の紙に書いてみて下さい。

そしてもう1つ。『子供の頃の夢は何でしたか?』。お花屋さんになりたい、ケーキ屋さんになりたい、プロスポーツ選手、宇宙飛行士・・・。職業でなくてもかまいません。お金持ちや、有名人になりたかったなど、子供のころに抱いていた夢を書いてみて下さい。

さて、なぜこんな質問をしたのかと言うと、まさに、これこそが、私が思う“チャレンジの見つけ方”だからです。私の体験談を交えながら、このあと詳しく説明します」

 

■世界チャンピオンの苦悩

――大学時代にヨーヨーの世界チャンピオンに輝いたBLACKさん。しかし、そのあとの人生は、順風満帆とは言えませんでした。

「2001年、大学1年生の時にアメリカで開催されたヨーヨーの世界大会で優勝しました。しかし残念ながら、ヨーヨーはマイナーな競技です。世界大会で優勝しても賞金は0円。メディアからの取材が殺到することもなく、日本へ帰国した私は、それまでと変わらない冴えない大学生に戻っただけでした。

大学3年生になると、就職活動の時期がやってきます。私はこう思いました。“オレ、世界チャンピオンなのに普通に就活すんの?”と。『世界チャンピオンと言ってもたかがヨーヨーでしょ』と言う人が大半でしたが、私自身としては青春時代をすべて費やし打ち込んできたものであり、もはや自分のアイデンティティとなっていたんです。そんな自分が普通に就活をしてヨーヨーと関係のない仕事に就くというのは、“自分の過去の努力には価値が無かったのだ”と認めることであるように思えて、非常に強い抵抗感がありました。」

―紆余曲折の末、一般企業へ就職したBLACKさん。しかし苦しい毎日を過ごすことになります。

「就活には抵抗があるが、現実問題として、少なくとも今はヨーヨーで収入を得ることは難しい。私は“とりあえず”就職活動を始めました。そして、一刻も早く“不本意な就職活動”を終わらせたかったので、一番初めに内定をいただけた企業へ入社しました。しかし、企業理念への共感や業務内容への興味で選んだ入社先ではなかったので、仕事には身が入らず、私は自他ともに認めるダメ社員になりました。会社の役にも立っていないし、好きでもないことに時間を費やす毎日。『自分は生きていても価値が無い』と感じて、本当に辛かったです」

■本当に自分がなりたかったものとは・・・?

――自分を否定し続ける苦しい日々が続いたというBLACKさん。そんな彼が変わるきっかけになったのは、とあるサービスだったといいます。

「ある日、アスリートキャリアサポートというサービスを見つけたんです。これは、主に引退したアスリートの方を対象にキャリアカウンセリングや就業支援を行い、セカンドキャリアへの移行をサポートするサービスでした。

担当の方は、ヨーヨーというマイナー競技出身の私に対しても真摯に対応してくださいました。まずは自分に適したキャリアプランを探るべく適職診断を行うことになり、その一環として『自分年表』を作成することになりました。先ほどの2つの質問は、その自分年表作りからの抜粋です。

年表制作の目的は、「自分の好き嫌いの顕在化」でした。過去の出来事を漏らさず書くのではなく、大ざっぱでいいので、強く印象に残っていることを、その時の感情も添えて書く。それらの共通項から、自分が嬉しく感じること、悲しく感じることの傾向を見つけて、適している職業、就職先を検討するというものでした。

私の場合、この年表制作を通じて分かったのは、『人に感謝されたら嬉しい』『自分はヒーローになりたかったのだ』ということでした。私は幼少期いじめられっ子で、自分を助けてくれるヒーローをいつも待ち望んでいたんです。しかしTV番組の中では困っている人はヒーローに助けてもらえるのに対し、現実世界の私を助けてくれるヒーローは現れませんでした。『こんな世界はおかしい!』と現実を嘆くのと同時に、『それなら僕がヒーローになって、困っている人を助ける!間違った世の中を変えるんだ!』そんな思いを抱いていたことに気付いたんです」

■幸せの定義は、人生の行動指針になってくれる

――自分の中の「困っている人を助けたい」という気持ちに気がついたBLACKさん。そして、手を差し伸べる対象である「困っている人」として思い至ったのは、世界チャンピオンでありながらも社会からの評価が伴わなかった、過去の自分でした。

「世界チャンピオンになったのに、社会的評価が伴わない。これは、私に限った話ではありませんでした。ヨーヨーの大会は毎年行われており、毎年世界チャンピオンが生まれます。まがりなりにも世界一になるまで努力した彼らに対し、メジャースポーツの選手と同等とまでは言わずとも、もう少し社会的評価を受けられる環境を作りたい。それこそが、自分にとっての『ヒーローになる』ということだと思ったんです。

そのための手段として当時の私が思い至ったのは、『シルク・ドゥ・ソレイユの舞台でヨーヨーを披露する事』でした。世界から注目を集めるシルク・ドゥ・ソレイユの舞台で、それに見合うレベルのヨーヨーパフォーマンスができたら、ヨーヨーというジャンルへの評価も変わるのではないか。あわよくば、後輩のチャンピオン達にもスポンサーが付くなど、選手として活動がしやすくなるのではないかと考えました」

――自分なりのチャレンジを見つけたBLACKさん。自身の根源的な欲求から始まるチャレンジは、自然とモチベーションも沸きあがると言います。

「自分年表の作成によって、初めて『自分にとっての幸せ』とは何かを真剣に考えました。誰でも幸せにはなりたいものですし、そのためのモチベーションは自然と沸きあがってきますよね。『シルク・ドゥ・ソレイユ出演』は無謀なチャレンジだと自分でも思いましたが、幸せになりたい一心で突き進んだ結果、実現することが出来ました。

内なる自分と向き合うにはある程度まとまった時間が必要ですが、一度きちんと定義しておくと、あらゆるチャレンジへの指針となってくれるはずです。ぜひ一度、自分は何に幸せを感じて、どのような人生をおくりたいのか。仕事は人生においてどのような意味を持っていて、それを通じ何を実現したいのかを考えてみて下さい。皆さんにとってのチャレンジが自ずと見えてくるはずです」

次回は見つけたチャレンジをどうクリアしていくのか、BLACKさん流の「言い訳をつぶす」課題解決法についてお話を伺います。どうぞお楽しみに!

 

後編はこちら

 

BLACKさんのパフォーマンスや活動についてはオフィシャルサイト

 

<BLACKさんプロフィール>

ヨーヨーパフォーマー / シリアルドリーマー

東京都出身。青山学院大学卒業。
2001年、米国フロリダ州で行われたヨーヨー世界大会で優勝。
大学卒業後は会社員として一般企業に就職するも、ヨーヨーへの情熱を捨てきれず、2007年、プロパフォーマーとして独立。
2013年には世界最高峰の講演会「TED」に登壇。日本人として初めて正式にスピーチを行い、世界中から集まった1,000人の著名人らからスタンディングオベーションを得た。
2014年より、シルク・ドゥ・ソレイユ「KURIOS」に、シルク史上初のヨーヨーアーティストとして出演。ストーリーのカギを握る『時の支配者』役としてソロ演目を担当し、500回以上のショーを好演。100万人以上の観客を魅了した。
著書に「『好き』をつらぬこう」(PHP研究所)、「TEDスピーカーに学ぶ『伝える力』 魂を揺さぶるプレゼンテーション」(角川学芸出版)。

まとめ
BLACKさんの講演の前半となる今回。たくさんのキーワードがあるお話のなかからポイントをピックアップしてみました。

①「どうやってクリアするのか」の前に、「何にチャレンジするのか」を考えよう
  課題は与えられるものではなく、見つけるもの
  「何に挑むべきなのか」、チャレンジの対象を考え抜こう

②自分にとっての幸せを定義しよう
  チャレンジすべき真の課題は、「幸せになりたい」という根源的な欲求から見つかる

③自分年表を書いてみよう
  「本当は何をしたいのか」「子供の頃の夢は何だったか」
  過去の経験、感情から、自分にとっての幸せを見つけよう
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