Interview 17.04.14

組織開発コンサルティングの島津清彦さんから学ぶ「禅とビジネスの関係性」後編

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Supershipの5つのバリュー「Super simple」「Super focus」「Super challenge」「Super honesty」「Super ジブンゴト化」。Experts Keynoteは、そのなかの「Super challenge」をテーマにして不定期に開催している社内勉強会で、毎回、外部からお招きした講師に自身の経験をもとにSupership社員のチャレンジに向けたキーワードを教えていただきます。

今回のゲストは「禅」や「座禅」をビジネスに活かす会社シマーズの社長、島津清彦さん。前編では、島津さんが独立するまでのチャレンジについて触れました。後編となる今回は、自身の会社の経営をしながら禅の道も探求するという、2つの道を突き詰めていくことになった島津さんがSupershipの5つのバリューに禅を絡めたお話をしてくれました。禅と5つのバリューの関わりとは・・・?


■手放すことで大切なことが見えてくる

ーーSupershipの5つのバリューを見て「禅と通ずるものがある」と感じたという島津さん。一体どんな部分が似ているのでしょうか?まずは「Super Simple」からみていきましょう。

「まず、『禅』という字は『単』純に『示』すと書きます。さらに、禅では”手放す”ことの大切さを説いています。自分が今持っているものは本当に必要なものなのかを考え直し、よにかく捨てよ!という考え方です。何かを捨てることで、本当に大切なものが見えてくるのです。

私は初めて勤めた会社を辞めた時、人事部長をしていました。そこではたくさんの人を採用し、たくさんの人が私に共感して入社してくれていたので、いざ自分が辞めるときには、後ろめたさがありました。しかし、新しい人生をスタートするには、そういった気持ちや責任感さえも断ち切らないと前に進めませんでした。そこで、京都にある縁切神社として有名な安井金比羅宮に行って自分の気持ちを整理することにしました。

捨てることで本当に大切なものが見えてきます。それは物もそうですし、人も同じです。みなさんのお仕事に関係がある話題では、Webサイトも5年前や10年前に比べてデザインなどがシンプルになっていると思います。それは情報が多すぎたところで意味がなく、核心を突くような、端的でわかりやすい言葉やデザインで伝えた方が良いからではないでしょうか。何事もSuper simpleに。これが大事なんです」

 

■今、この瞬間に集中する

ーー続いては「Super Focus」。禅ではどんな教えに当たるのでしょうか?

「Super Focusの意味は、一点集中ですよね。禅にも”前後際断(ぜんごさいだん)”という言葉があります。ここでいう”前”は未来、”後”は過去を指します。そしてその境目(”際”)を”断”つというもの。つまり未来や過去について考えるよりも、今に集中しようということです。

明日の心配をしても仕方がありません。また、過ぎ去ったことをいつまでも引きずるのもやめましょう。どうにも出来ないことに悩むのではなく、今この瞬間に集中する、Super Focusするべきなんです」

 

■達成しても、さらにもう一歩踏み出すことの大切さ

ーー3番目はこのKeynoteのテーマでもある「Super Challenge」です。

「”百尺竿頭進一歩(ひゃくしゃくかんとうしんいっぽ)”という禅の言葉はSuper Challengeに通じます。百尺というのはとても長い竿の先のことで、禅の長い修行の末に至った悟りの極致を表しています。たとえ高い境地に至ったとしても、その場に居座り続けていたらそれ以上は何も得られません。悟りの極致を超えても怠けずにさらにその先を目指そう、ということなのです。

またこの言葉には、すでに努力、工夫を尽くしたとしても、さらにもう一歩進んで、限界を超えて考えてみよう、目標に到達しても、そこからもう一歩進もうという意味も含まれています。がんばった先の一歩と、超越という意味を持つSuper。さらなる一歩を踏み出した人だけが到達できる境地があると私は思います」

 

■人のためを思う心を忘れない

ーー次は「Super Honesty」について。

「honestyの意味はご存知の通り、正直さや誠実さです。禅には”発心正しからざれば万行空しく施す”という言葉があります。これは最初の動機が正しくなければ、何をしても意味はない、というもので、禅のなかでは、他人のことを思う純粋な心を持っていなければ、どんな修行をしても悟りは得られないという教えにつながります。

しかし、人は簡単には私利私欲の心を捨て去ることができないものですよね。そんなときに覚えておいていただきたいのが、”動機善なりか、私心なかりしか”という言葉。これは実業家の稲盛和夫さんが仰っていた言葉で、個人的な欲は本当にないのか、やろうとしている気持ちは本当に善なのか、ということを何度も自分に問いかけるものです。この教えはSuper Honestyに通じるものだと思います」

 

■主体性を持てば、どんな場所でも自分の居場所になる

ーー5つ目は「Super ジブンゴト化」です。これにつながる禅の言葉とは・・・?

「禅には”随処作主 立処皆真(ずいしょさくしゅ りっしょかいしん)”という言葉があります。意味は、どんなところでもあなたが主体性を持って力を発揮すれば、そこが本当の居場所となる、というもの。異動や転職、引っ越しなど、仕事や生活をしているとひとつの場所に留まることはなかなかありませんが、たとえ希望の場所でなくても、腐っていては何も良い方向に動き出しません。やるしかないのです。自分なりに戦略を立てて、どうやって成果を出していくのか、しっかりと考えれば、物事は必ずプラスに働きます。また、それ自分がやります! というように自主性を持って動くと、周囲に活気が生まれ、リスクを回避することにもつながります」

 

■個人であってもチームであっても、潜在能力を全て活かす

ーー最後に島津さんが紹介したのは「全機現(ぜんきげん)」という言葉でした。

「誰にでも強みはあります。その長所だけではなく、潜在的に持っている能力も含めて全て発揮しよう、というのが“全機現”です。主人公という単語がありますが、これは禅が由来の言葉で、本来は自分の中に眠っている本当の自分を指します。人生は一度きり。その眠っている自分すらもすべて活かしていこう。自分の持っている才能、長所、短所を理解し、今いる場所で発揮させることができるのかが大切になってくるのです。

チームであれば、メンバーの1人1人が持っているものを活かしきれるかが大切になってきますよね。人によって長所や性格は異なります。その多様性を活かし、自分の潜在能力もそこに組み合わせる。それが“全機現”です。座禅などの修行をすることで、潜在的なものを余すところなく引き出していく、ということが禅の目的なのです」

 

ーーリーダーシップについてもこのように語っていただきました。

「リーダーシップというのは本来1人1人の中にあるもの。自分の中に眠っている主体性なので、各々が自分のリーダーシップを発揮すれば、解決できることの幅も大いにひろがるのです。リーダーシップとは、自分自身をしっかりコントロールすることでおのずと発揮できるものだと思います。禅を通じてみなさんの可能性に気付いていただければ大変嬉しく思います。ご清聴ありがとうございました」

禅とビジネスについて自身の経験を踏まえながら、丁寧にお話ししてくださった島津さんでした。次回もお楽しみに!

前編はこちら

 

<島津清彦さんプロフィール>
経営・人事・組織を熱くする「発熱組織プロデューサー」。
前職スターツグループでは、取締役人事部長として急成長する組織の制度・風土構築を推進。特に評価制度を中心とした人事制度の内製化に強みを発揮。またグループ会社の経営トップとして、業種や職種を問わず、現場との粘り強い対話を特徴とした経営スタイルで事業や風土の改革を推進。
これら現場の「実践知」を日本の企業に提供すべく、コンサルタントとして起業。

まとめ
島津さんの講演の後半となる今回。たくさんのキーワードがあるお話のなかからポイントをピックアップしてみました。

①Supershipの5つのバリューは禅の教えにつながる
・「Super simple」→「禅」
・「Super focus」→「前後際断」
・「Super challenge」→「百尺竿頭進一歩」
・「Super honesty」→「発心正しからざれば万行空しく施す」
・「Super ジブンゴト化」→「随処作主 立処皆真」


②自分の長所だけでなく、潜在能力も発揮しよう
禅語では「全機現」。チームでは多様性と潜在能力をうまく組み合わせることが重要

③リーダーシップは自分のなかにあるもの
自分のなかに眠っている主体性をコントロールすることで、リーダーシップとなる
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