Marketing 17.11.08

「CPAではみていない」セゾン自動車火災が取り組むデータドリブンな最新マーケティング事例 #アドテック東京セミナーレポート

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今年の「ad:tech tokyo 2017(アドテック東京2017)」は総来場者数 1万4,095人(前年比35%増) と多くの来場者で賑わいをみせていました。
Supershipからは、公式セッションにて代表取締役 森岡康一や広告事業本部CMO 中村大亮をはじめ、展示ブースでも何名かスピーカーとして登壇の機会をいただきました。

本記事では、その中から、KPIソリューションズ様の展示ブースにおいて開催された講演をサマリーしてレポートいたします。


<テーマ>
「セゾン自動車火災保険のマーケティングデータ活用~Advanced編~」

<スピーカー紹介>

セゾン自動車火災保険株式会社 マーケティング部 マーケティンググループ課長 中島文平様

セゾン自動車火災保険は、損保ジャパン日本興亜のグループ会社で、40代、50代を主な対象にした「おとなの自動車保険」を手掛けています。
中島様の所属するマーケティング部ではテレビなどのマス広告からウェブ広告、メール発送などの全般を統括 しており、中島様はそのなかでマス以外の全ての領域のマーケティングを担当されています。

Supership株式会社 デジタルエージェンシー事業部 営業3部 グループリーダー 市川真樹

Supershipのデジタルエージェンシー事業部では、セゾン自動車火災保険様を中心に様々な大手事業者のデジタルマーケティングパートナーとして、テレビでの認知以降のデジタルコミュニケーションを最適化するための広告の企画設計、運用を様々なデータ・ツールを駆使して行っています。

モデレーターを務めたのはKPIソリューションズ株式会社 営業本部 デマンドサイドテクノロジーグループ アカウントエグゼクティブ 内藤レイ様です。

代理店型からダイレクト型へのシフトに向けたマーケティングのアプローチ

「おとなの自動車保険」は、その名前の通り大人をターゲットにしたもので、40歳以上の方を対象に、1歳刻みでできるだけ手頃な価格でプランを提供している点や、自動車事故に巻き込まれた時に、加入者の車に「つながるボタン」という小型のボタンや、「つながるアプリ」という専用のスマートフォンアプリを使うことで事故受付が簡単にでき、また事故現場まで綜合警備保障株式会社「ALSOK」が駆けつけ、事故対応をサポートしてくれるIoTのサービスを提供している点に特長があります。

加入者の92~3%がディーラーや保険代理店によって対面販売された代理店型のタイプである一方で、今後は代理店型から顧客がインターネット上で直接選んで加入するダイレクト型へと市場のニーズがシフトしていくことを見込み、ダイレクト型の契約獲得に向けた顧客へのアプローチを強化すべく、ビッグデータを活用したデータドリブンなデジタルマーケティングを実践しています。

あらゆるチャネルで収集したデータをBigQueryに集約

データドリブンなデジタルマーケティングを実現する基盤として、セゾン自動車火災保険ではGoogle が提供するデータウェアハウス「BigQuery」を活用しています。

セゾン自動車火災保険 中島様「データベースが色々なところにあって、それらを統合するのが困難であるという課題は、特に我々のような金融系の会社において多いかと思います。弊社ではその課題をBigQuery(※)を活用することで解決しました。」

これにより、「散在していたデータが全て「BigQuery」にまとめられたことで、例えばGoogleアナリティクスで収集した顧客のウェブ上の行動履歴データと属性データとを紐付けた分析をすることができるようになったのは大きい。」とのこと。
さらに、「つながるボタン」で収集した走行データから分析した既存顧客の移動パターンや走行距離など情報だけでなく、契約前のユーザーがインターネット上で無料見積もりを行った際の入力データなど、あらゆるチャネルで接触したユーザーデータを統合・分析し、徹底的にユーザーを知る体制づくりが行われています。

Supershipでは、こうして収集された膨大なデータを読み解き、あらゆる仮説をたて、新規ユーザー獲得のためのPDCAをまわしながら広告設計のお手伝いをしております。

本当にやらなくてはいけないのは「刈り取り」ではない

多くの広告クライアント様が「CPA」という指標で広告評価を行うなか、セゾン自動車火災保険様では、「CPA」にとらわれない広告設計を行っています。

Supership市川「特に最近のデジタル広告設計においては既にサイトに来た人へのリターゲティング広告の配信をメインに行うケースが多いかと思います。
自分もよくインターネットで日用品を購入するのですが、もともと買いたいと思っていた商品を、たまたまネットサーフィンしているときに表示されたリターゲティング広告経由で買うことは多いです。

しかし、こうした既に買うものが決まっている人の再訪を促して「刈り取り」を行う広告ばかり出していては、見込顧客の母数を増やすことはできません。
「CPA」というわかりやすい指標ばかりを追いかけて広告設計をする代理店やクライアントはどうしても多いとは思いますが、本当にやらなくてはいけないのはユーザーの購入意欲を高めたり、商品自体の認知を広げて未来のお客様を増やすことであるはずです。」

これに対して中島様がこぼした「私はCPAという言葉が大嫌いなんです」というコメントがとても印象的でした。
セゾン自動車火災保険でもCPAを指標にした広告運用を以前まで実施していたそうで、中島様がジョインしてからは大胆な運用型広告の予算振り分けの見直しを行ったのだそうです。

見直しを行う前は、運用型広告の予算振り分けを、認知関心に10%、見積もりをしてもらうためのコミュニケーションで50%、契約を獲得するためのリターゲティングで40%という振り分けをしていましたが、現在は比率が完全に逆転しているとのこと。


Supership市川「本来オーガニックで獲得できるはずであった顧客への「刈り取り」のアプローチに広告コストをかけるのでなく、そういったコストを適切に抑え、その分興味関心や購入意欲を高めるような新規獲得に寄せる方針は、正しいと思います。

とはいえ、刈り取り型の広告と比べて広告効果が見えにくいのものなので、刈り取りと新規獲得の両輪のバランスをとりながらトータルで効果をあげていけるよう、全力でサポートできればと思っています。」

サードパーティーデータを掛け合わせ、様々な角度から新規顧客を発見

セゾン自動車火災保険では、独自に収集した広告配信データなどを「BigQuery」に統合して活用するだけでなく、サードパーティのDMPとの連携により、さらにユーザーを深掘りしたデジタルマーケティングを実践しています。

今回ご紹介いただいたのは、おとなの自動車保険の見積もり完了ユーザーから取得したデータと、KPIソリューションズが保有する月間3億UUほどのユーザーデータを連携させ、どんなユーザーがいるのかを可視化させたうえで、その情報をもとにSupershipが最適な広告の設計・運用を行うといった取り組みです。

この取組みはまだ始まったばかりですが、実施前、実施中、実施後の3つのフェーズでデータを比較し、その効果を追っていくプロジェクトとなっており、現在は実施前のユーザーの分析とクラスタリングを行ったところなのでまだ結果が出ていないものの、今回のセッションでは実際の分析結果から一部を紹介いただきました。

このスライドは、この取り組みのなかで見出されたレポートの一例です。
カラーリングされた点がUUを表しており、質重視かコスト重視かを縦軸、即決タイプなのか熟慮タイプなのかを横軸に敷いてクラスタリングしています。
さらに、この各クラスタのデータにはユーザーがウェブ上で読んでいる記事に含まれた単語から抽出した興味関心のキーワードも紐付けられています。
これらのデータからこれまで困難であったリアルなユーザーの姿が可視化できるようになってきました。

Supership市川「例えば、即決タイプ・めんどくさがりのクラスタには、キーワードとして「プリウス」が関連付けられることが多いようです。プリウスといえば燃費の良さで有名で、トヨタ車の代名詞としても知られており、多くの人が乗っている人気の車種ですが、なかでもめんどくさがりのクラスタにプリウス好きが多い理由は、おそらく考えるのが面倒で、“みんなが乗っているし、燃費もいいし、プリウスでいいや”というような考えの人が多いのでないかと想像しています。」

セゾン自動車火災保険 中島様「いままで行ってきたデータ分析では、年齢性別などのデモグラフィックな情報やどの保険会社から乗り換えてくれたのかといったような事実情報をこねくり回して想像でペルソナを設定するといったものでした。こうしてユーザーを可視化できたことにより、いままでの仮説が正しかったかの確認や、新たなユーザーの発見につながります。」

こうしてみえてきたユーザーの姿をもとに、次のフェーズではユーザーに応じた最適なメッセージを届けられるようSupershipで広告の設計・運用を行う予定です。

最後に、セゾン自動車火災保険 中島様は「いろんなデータを組み合わせていかないと戦っていけないと思っています。例えば、ニュースメディアでどんなニュースを読んだかといった行動データや、見積もり完了までしてコンバージョンしたデータだけでなく、コンバージョンしなかったデータを深掘りして原因を潰したり、おとなの自動車保険の認知拡大だけにとどまらず、さらに広い視野でマーケティングした結果を活かしていきたい。」との想いが語られました。

Supership市川からも、「今回の取り組みにより、ユーザーの姿をより具体的に想像し、PDCAをまわす環境が整ったと思っています。こうした分析の精度をさらに高めるための材料としてデータがあるとおもいます。今後も様々なデータを活用したデジタルマーケティングを企業様と二人三脚で一緒にサポートしていきたい。」と語られ、セッションは大盛況に終わりました。

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