
2019年10月17日にリリースされた、Supershipの新システム「Datapia(データピア)」は、複数のデータベース間をまたいで一元管理ができるハイブリッドなデータ環境を構築し、デジタルトランスフォーメーションにおける課題を解決するデータマネジメントシステムです。
この記事では、Supershipが今後推進していくデジタルトランスフォーメーションとDatapiaについて解説していきます。
最近、注目を集めている「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは?
近年、企業のあらゆる活動において、データの重要性が高まっており、商品開発・生産活動へのデータ活用のため、「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」が推進されています。
デジタルトランスフォーメーションという言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、ここでは、デジタルトランスフォーメーションは
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」 |
出典:総務省「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」
と定義されています。
一方現在の日本においては、経済産業省がデジタルトランスフォーメーションを以下のように定義しています。
「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 |
出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討~ITシステムに関する課題を中心に~」)
つまり、デジタルトランスフォーメーションとは、すべてがオンライン化した時代にあらゆるものをデジタルに置き換えたデータを活用して、ビジネス価値を提供する企業が変化を起こしていくことと言えます。
Supershipでも、企業のデジタルトランスフォーメーションをワンストップでサポートするため、DMP、マーケティングプラットフォーム、事前・事後データ分析などのさまざまなサービスを提供しています。
デジタルトランスフォーメーションの課題
このように注目を浴びているデジタルトランスフォーメーションですが、データ活用を実現するステップとしては
・データ戦略の策定
データをどのように経営・事業に活用するかの方針や目標を設定
・データ蓄積
事業や部門ごとでそれぞれの目的に応じてデータを蓄積
・データの加工・整理
加工したデータを事業や部門のニーズにこたえる形で活用
という工程があり、実現までには時間と工数が必要です。
また、事業や部門ごとのデータ活用の目的・課題意識の差があり、根本的な課題解決に届かないケースもあります。
加えて、DMP、MAツールなど、データの連携・管理・分析できるツールが普及したことにより、企業では「データベースの乱立によって統合が困難」「データが分断されていて一気通貫での分析ができない」「管理コストが増大している」など、 データ活用の障害となる課題も生まれています。
このような課題を解決するために生まれたのがiPaaSと呼ばれるサービスです。
デジタルトランスフォーメーションの新たなデジタル変革の潮流「iPaaS」
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、クラウドやアプリケーションの普及によって市場が急速に拡大しており、
昨年には世界で16億9,000万ドル規模 |
出典:インフォマティカ、ガートナー社により世界トップのiPaaSソリューションプロバイダーに5年連続で認定
となるなど、近年ニーズが高まっています。
オンプレミスとクラウド間でのシステム連携や、さらにはSaaSのシステムと別のSaaSのシステムを連携するSaaS間連携iPaaSサービスなども登場しています。iPaaSは、異なるプラットフォームやアプリケーション同士を繋げて、データ統合やシステム連携を簡易に実現するプラットフォームです。
そしてこの度、SupershipでもiPaaSの領域となるDatapiaの提供を開始しました。
ハイブリッドデータマネジメントを提供する「Datapia」
Datapiaはハイブリッドデータマネジメント環境を提供し、デジタルトランスフォーメーションの推進とデータマネジメントコスト削減を実現するシステムです。
ハイブリッドデータマネジメントとは、オンプレミス、マルチクラウドを統合してデータ管理する手法で、このハイブリッドデータマネジメントによって、これまでエンジニアに集中していた負荷を分散し、ビジネスサイドの人材への権限開放によりデータの民主化を実現できます。
このハイブリッドデータマネジメント環境は、自社構築した場合、時間・費用とともに膨大なコストがかかりますが、Datapiaを活用すると初期の環境構築が不要となるため、すぐに運用開始できます。

※Datapiaを導入した場合と自社構築した場合の比較イメージ
Datapiaの特長
Datapiaには3つの特長があります。
①ガバナンス管理
細やかな権限コントロールを実現することで、適切なデータ開放・共有を実現します。
②工数削減
マルチクラウド間でのデータ転送やワークフロー機能で、環境構築・保守管理等のエンジニアの工数を削減します。
③データの民主化
GUI上でのデータ環境によりエンジニアやサイエンティスト以外の、メンバーでもデータ活用できる環境を実現します。
Datapiaの機能
上記の特長の通りDatapiaでは、複数のデータベースとストレージをまたいでアクセス権限を一元管理できるため、ガバナンスコストを大幅に抑制することができます。
また、プログラミング不要でワークフローが構築できるため、マーケターや営業といったエンジニアリングの知識がないユーザーでもマーケティングや営業活動に必要な定期レポートの自動作成などが自身で作成可能となります。そのため、今までレポート作成に時間を割かれていたエンジニアの工数が削減でき、既存システムの拡張や分析基盤の構築といったより高度な業務に時間を使うことができます。
また、定期レポート作成はスケジュール登録をして自動作成ができるため、顧客へのレポーティング等にも活用ができ、報告の遅延を防ぐことができます。
さらに、それぞれのユーザーが作ったクエリが保存されるため、例えば、汎用的なSQLクエリを保存しておくと、SQLを使用したレポート作成が簡単に作成可能となります。
Datapiaの活用例
最後に、Datapiaの具体的な活用例をいくつかご紹介します。
例えば、旅行系企業では申込情報などの機密性の高い個人情報と、大幅にデータ量が変動しかつ情報量も多いブッキング情報などでデータの置き場所や管理方法が異なっていることがあるかと思います。
受注予測や新たなパッケージ開発、ダイナミックプライシング、新規旅行者獲得のためのマーケティング活動など、企業活動にはどちらのデータも欠かせないものですが、そういった異なる環境下にあるデータを一気通貫で分析するためには分析用の新たなプラットフォームが必要になったりそれぞれのデータ形式を合わせる作業が必要となったりと、エンジニアやサイエンティストの負担も大きくなります。
そこで、Datapiaを使ってデータを一元管理することで整合性の取れたデータを元に高度分析に時間をかけることができるため、各ユーザーのこれまでの傾向をもとに次の旅行先を提案したり、需要に合わせたダイナミックプライシングが実践しやすくなります。
また、小売・流通系の企業でECサイトなどのオンラインのデータと実店舗のPOS、来店計測データや各店舗の保有する在庫管理データといったオフラインのデータを別管理しているような分断されたデータを統合管理する場合にもDatapiaが役立ちます。
ほかにも、複数のグループがある企業群でグループ間や事業部間でデータの管理方法が異なる場合にDatapiaを導入すると、それぞれが管理している顧客データをスムーズに統合でき共同開発やクロスセルにおけるデータ連携が可能となります。この場合でも会社や役職、業種単位でデータガバナンスを設定することができるため、データ漏洩などのリスクは最低限にとどめながらも横断してデータ活用ができるのがポイントとなります。
ご紹介した以外にも、Datapiaでは外部プラットフォームとの連携を前提とした運用ケースにも対応しています。
Datapiaのハイブリッドデータマネジメントにより工数を大幅に削減することで、エンジニアは優先度の高い業務に時間を使えるように、マーケターも信頼できるデータをカジュアルに使えるようになり、企業のデジタルトランスフォーメーション化の実現に貢献します。
データマネジメントにお悩みの方は、ぜひDatapiaにお気軽にご相談ください。