セミナーレポート

マーケターとプラットフォーマーから見るアプリマーケティングの今と未来 #Next Marketing Summit2018レポート

2018年4月19日(木)に開催された日本最大級のゲームアプリ事業者向けカンファレンス「Next Marketing Summit2018」に、Supershipのアプリ専門マーケティングアドプラットフォームAppAmore(アップアモーレ)は出展と登壇をさせていただきました。

本記事では、AppAmoreが、株式会社イグニスの高原様をゲストにお迎えして開催したアプリマーケター向けセッション「マーケターとプラットフォーマーから見るアプリマーケティングの今と未来」の様子をダイジェストでレポートします。

<セッション概要>
タイトル:マーケターとプラットフォーマーから見るアプリマーケティングの今と未来
モデレーター:
Supership株式会社 マーケティング事業本部 デマンド事業部 プロダクトマーケティング室 室長 小嶋 泰我
ゲスト:
株式会社イグニス PRM TEAM 高原 康生様

トークセッションの様子(写真左からSupership 小嶋、イグニス高原様)


本セッションは、プラットフォーマー側の立場にいるSupership小嶋と媒体側のマーケターであるイグニス高原様による最新のアプリマーケティングに関する対談となりました。

<テーマ>
【1】ブランドマーケティング
【2】リテンションマーケティング
【3】アドベリフィケーション

【1】ブランドマーケティングについて

最初のテーマは、「ブランドマーケティング」についてです。
アプリのプロモーションでブランディング、といってもなかなかピンとこないという方が多いかなと思いますが、なぜあえてこのテーマ設定をしたかというと、オーガニックのインストールに広告が与える影響が実は大きいからです。
アプリの計測ツールベンダーであるTUNEの統計調査によると、日本も含めグローバルでみても世の中のアプリのDL経路の大半はオーガニック経由であり、そのオーガニックの獲得にあたって広告が貢献しているアトリビューションの効果が少なからず存在しています。
つまり、アプリのオーガニック獲得にはブランドパワーが少なからず寄与しているのです。

アプリDL経由の大半がオーガニック経由

出典:Mobile marketing: How paid app installs impact organic downloads/TUNE(英文)

 

ブランディングに関して気をつけていることはありますか?というSupership小嶋の質問に、イグニス高原様は「ひとことで「ブランディング」といっても、切り口は多岐にわたるでしょうし、まだ自分自身全くできていないと思っている。ただ、デジタル広告という切り口で一つ言える事として配信する広告クリエイティブは、“その広告が広く拡散されて本当にいいのか”と言う事を立ち止まって意識しなくては、と思っている。」とコメント。

株式会社イグニス 高原 康生様

デジタル広告界隈では複数のクリエイティブのなかでCTRやCVRなどが高かった所謂“当たりクリエイティブ”のキャラ・構成・コピーなどの構成要素を少しずつ変えて、ある種機械的に量産する、というやり方はよくある方法ですが、そのクリエイティブが量産されることでブランドダウンにつながる可能性もあります。そこで、イグニスでは「横展開されて量産されても大丈夫なクリエイティブか?」を広告クリエイティブの可否基準としているのだそうです。

例えば、リアルタイムでギルドバトルができる『ぼくとドラゴン』というアプリでは、ゲーム制作側が設計したコンセプトとユーザー側が感じるコンセプトにギャップが生じないようにクリエイティブにも気を使っており、実際のユーザーにアンケートやインタビューで伺った声を訴求に落とし込んだ広告を作成する方法も取り入れているそうです。

こうして丁寧に育て上げたブランドパワーは、間接的な広告効果としてオーガニックの流入数だけでなく、流入してきたユーザーの継続率やLTVにまで影響を及ぼす可能性があり、無視できない重要な武器と言えるのではないでしょうか?よって、高原様の語られたブランドのイメージダウンにならないようにクリエイティブにまで配慮する取り組みはとても重要なことだと感じました。

最近は特に漫画やアニメやゲームの版権(著作権)をつかった「IP」を軸に事業を多角化していくケースもよく見られます。だからこそ、先々の事業を見据えてアプリにおけるブランディングは非常に重要なポイントであると言えます。

【2】リテンションマーケティングについて

次のテーマはリテンションです。ここで新規ユーザー獲得施策とリテンション施策について整理します。

まず新規ユーザーの獲得施策については、広告収益モデルのカジュアルゲームなどのアプリの場合はユーザー数×ゲーム利用時間=収益になるため、大量のユーザー獲得をしていくプロモーションが前提となります。
ソーシャルゲームなどのフリーミアムモデルの場合は、課金収益を前提としているので、課金してくれそうなユーザーを発掘する必要があります。ただし、課金してくれそうなユーザーのみをターゲティングすることは難しいため、結局のところどれだけ多くの大量のユーザーを獲得できるかが重要となります。
対して、リテンション施策の場合は大量ユーザーの獲得というよりも優良見込みユーザーをどれだけ育成していくかというポイントが重要になります。
つまり、新規ユーザーの獲得施策により大量にユーザー(資産)を集めて、リテンション施策によって集めたユーザーのなかの優良顧客へとピンポイントにアプローチすることにより、収益化を狙うのがアプリのプロモーション手法として鉄板ではないかと思います。

ただ、アプリ事業者様のなかには新規インストール獲得施策は行っていても、リテンションに関してはなかなか踏み込めていないという方も多いと思います。そこで、高原様にリテンションマーケティングにおけるポイントやコツをお聞きしたところ、3つのポイントについて語ってくださいました。

<リテンションマーケティング3つのポイント>
①事業フェーズに合わせた予算配分
②セグメント定義とKPI設定
③ハマる経験の定義

まず、リテンションマーケティングにおける①つめのポイントが事業フェーズに合わせた予算配分の決定です。アプリの事業フェーズによって、実施タイミングや投下すべき予算は変わるので、第一ステップとしてそこを運営チームや代理店などと整理し、仮設を立てたうえで実施するのが前提条件になるとのことです。

②つめのポイントはセグメント定義とKPI設定になりますが、その前に必ず関係者同士で実施前にやっておくべき事前準備として「言葉の認識を合わせる」ことの重要性が語られました。
例えば、「ID」という言葉をひとつとっても、代理店が指す「ID」と社内の開発メンバーが普段つかっている「ID」が全く別のものを指していたというケースも実際あったのだそうです。
分析やリテンションの施策を実施する前段階の時点で、関係者それぞれの計測環境や使っている言葉の定義をはっきりさせておくのは、手間がかかっても非常に重要であるとのことです。

こうした計測環境や言葉の定義を整備したうえで、キャンペーンで設定すべき的確なセグメント設計を行って施策を実行し、そのデータをまた次の施策に活かしてブラッシュアップしていくことでリテンション施策の効果を最大化することができます。

とはいえ、まずはやってみる、というのも大事とのこと。撤退ラインを設けて、何をもって成果とするかの最低限の指標を設けてまずは実施してみて、PDCAを回していく方法も有効だそうです。

なお、セグメント設計においてAppAmoreでは、アプリ内で保有しているイベント参加履歴や課金額などの1st Party Dataだけでなく、3rd Party Dataとの掛け合わせによりユーザーをさらに立体化させることで優良ユーザーへの“狙い撃ち”を支援する運用を行っており、本件については後半のセッションにて小嶋よりご紹介をさせていただきました。

最後に語られた③つめのポイントが、「ハマる経験の定義」です。イグニスでは、この行動をしたユーザーは高確率で課金してくれる、とか、高確率でゲームに残ってくれる、というような“ハマり要素”にあたりをつけて、きちんとそこが計測できるタグを仕込んでおく、というような環境整備を徹底しているそうです。これによって、KPIとして設定した復帰率が正確に計測できるほか、休眠防止なのか、休眠復帰なのか、という目的まで明確化させ、それぞれの施策でアプローチやクリエイティブを変えるなどでさらに効果をあげることも可能となります。
かといって、セグメントを細かくしすぎると効率が悪くなるケースもあるので、そこのバランスをとっていくことも必要とのことでした。

【3】アドベリフィケーションについて

最後のテーマはアドベリフィケーションについてです。
P&G社の最高ブランド責任者マーク・プリチャード氏による「”murky at best, and fraudulent at worst”(ネット広告の世界は、よく言っても不透明、悪く言えば詐欺だ。)」という有名な演説は昨年末に出版された東洋経済の週刊誌でも「ネット広告の闇」という特集で取り上げられ、国内でも大きな話題となりました。さらに、直近では漫画村でのアドフラウド問題がテレビ報道でも大きく取り上げられるなど、いま、業界内だけでなく、日本国内においてアドベリフィケーションへの注目が高まっている状況です。

アドフラウドに焦点をあてると、例えばレポート上のインプレッションやCTRが異常に高い場合、botによる不正の疑いがあります。また、CVRが異常に高いにも関わらず継続率が低い場合はクリックインジェクションによる不正の疑いがあります。このように、広告成果における異常値の裏側には様々なアドフラウドの可能性が存在しており、こうした“ノイズ”がマーケティングを捻じ曲げ、事業を誤った方向に導いてしまう危険性があります。

こういった状況下で、イグニスではアドベリフィケーションについてどのようにお考えなのかお聞きしました。

高原様によると、「私たちも色々なアドフラウド対策機能のある計測ツールの導入や、配信レポートで不自然な数字がないかチェックする、というような基本的な事は行っている」とのこと。
とはいえ、「もはや問題や手口が高度化しすぎており、専門家であっても先回りして100%対策をするのは不可能であるため、どこまで時間とコストをかけるかをしっかりと決めたうえでの対策を行う必要があると考えている。ただ、心構えとして最も重要な事は、『自分を律すること』である」というコメントが非常に印象的でした。

その理由は、代理店も広告主もメディアも、それぞれが報告する相手を騙せてしまう実態にあります。

不正なメディアは、掲載面を偽ったり虚偽の数字を代理店に報告したりすることで、広告売上を騙し取ることができてしまいます。
代理店は、広告主へ報告するエクセルのレポート上ではいい数字を報告したいものです。よって、アドフラウドの疑いのあるインプレッションが混在していても優良数値のレポートを広告主に報告し、なにか指摘があった場合はメディアのせいにすることができてしまいます。
広告主も、アドフラウドの疑いのあると気づきながらも優良である数字を上司に報告することで、業績を評価されたり追加予算の獲得ができたりするかもしれません。もしなにか問題になれば配信を依頼した代理店のせいにできてしまいます。
このような状況では、いくらアプリ事業者だけがアドベリフィケーション対策をしたところでアドフラウドは永遠に撲滅できません。

こうした理由から、高原様は「アドフラウドを撲滅するには、業界全体が手を取り合い、それぞれが自分を律し、業界全体で危機意識をもって、各々の立場で対策をとる必要がある」とコメント。
同時に、「被害者側の立場で語られることが多い広告主としても、対策を怠っていたら知らず知らずのうちに加害者になってしまっているということも自覚すべきだ」とも語られました。
プラットフォーム側の立場の小嶋にもこれに大きく同意するかたちで、アドベリフィケーションに関するテーマの対談が締めくくれられました。

まとめ

最後に、【1】ブランドマーケティング、【2】リテンションマーケティング、【3】アドベリフィケーションの3つのテーマについて語られた本セッションから「価値ある広告」を提供するためにアプリマーケターとして重視すべきポイントがまとめられました。

アプリマーケターとしてもプラットフォーマーとしても、非常にためになる濃厚なセッションとなりました。

「我々もアプリ広告専門のプラットフォーマーとして、全力でアプリマーケターさまを支援していきたい」とSupership小嶋よりコメントがあり、前半のセッションが終了いたしました。

ご協力いただきましたイグニス高原様、貴重な講演ありがとうございました。

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