セミナーレポート

Supership×Mininglampグループで日本と中国のデータマーケティングはどう変わる? #NEXT DIGITAL BUSINESS SUMMIT 2019 セッションレポート

今年8月、Supershipは、中国でデジタルマーケティング事業を手がけるMininglamp Technology社(明略科技集团有限公司)とその日本法人である株式会社Leading Smart Systemsとの、データマーケティング支援における業務提携契約の締結を発表いたしました。

プレスリリース:SupershipとMininglamp Technology、データマーケティング事業における日本初の戦略的パートナーシップを締結 〜日本と中国におけるクロスボーダーマーケティングを可能にする新規プラットフォームを構築〜
https://supership.jp/news/2019/08/23/3683/

この発表と同じ日にPTMIND社が開催した、日中のデジタルビジネスにまつわるサミット「NEXT DIGITAL BUSINESS SUMMIT 2019」にて、Leading Smart SystemsのVice President 宣 皓杰 様と、Supershipの取締役副社長CRO 宮本によるセッションが行われました。

今回の業務提携により目指す将来像や、日中のデジタルマーケティング事情について語られた、このセッションの模様をお届けします。

<登壇者>
MC:イー サムソン 様
Business Insider Japan ビジネスプロデューサー
宣 皓杰 様
Leading Smart Systems Vice President
宮本 裕樹
Supership株式会社 取締役副社長CRO

(※以下敬称略)


中国における広告費のデジタルシフトは急激に進行中

イー サムソン 様(以下:サムソン) Business Insider Japanというビジネスメディアで、ビジネスプロデューサーとしてデジタルマーケティングや戦略まわりの仕事をしています、イー サムソンと申します。今回のセッションは、企業があまり得意としない、国をまたいで消費者をデータ分析する際に「買ってもらったはいいけど、その次はどうすればいいのか?」という点に関係する話になってくると思います。

Business Insider Japan ビジネスプロデューサー イー サムソン 様

ではまず初めに宮本さんと、Mininglampの宣さんから自己紹介をしていただきます。

宮本 裕樹(以下:宮本) Supershipの宮本と申します。当社ではデータを活用した、広告やマーケティングのプロダクトを手がけています。

Supershipではマーケティング事業を全般的に展開しているのですが、質の高い、信頼性のあるデータをもとにユーザーを分析し、データを活用した提案をすることができます。また、多くのデータサイエンティストを中心とした会社も同じグループにいるため、データサイエンスの領域に長けている点が大きな特徴となっています。

宣 皓杰 様(以下:宣) 皆さんこんにちは。宣と申します。弊社、Mininglamp Technologyは、デジタルマーケティングテクノロジーの会社として中国で活動しておりまして、中国国内にいる十数億の消費者のビッグデータを処理・分析し、「デジタル広告の全てを知る」ことを目標としています。具体的には、市場の状況や消費者の動向についての情報や、広告がどこの誰に表示されているのか、効果はどこまで出ているか、といった点になります。

サムソン 中国ではどういった方がお客様になりますか?直接ブランドとコミュニケーションを取られているのでしょうか。

 中国では広告主さんや広告代理店さんがお客様になりますが、当然パブリッシャーに対してもいろいろ最適化の提案をさせていただいています。

サムソン ありがとうございます。

宮本 まず、今回のセッションの前提として、私から、日本と中国の広告事情についてお話させていただきます。

中国では、全体の広告費におけるデジタルの比率が去年のベースで6割を超えています。一方日本では、デジタルの比率は30%弱となっています。この対比からは、中国ではデジタル化に対する変化のスピードがとてつもなく速いことや、日本の人口構成比は高齢の方が多く、テレビのリーチ力が高いことから、まだ急激な変化は訪れていないのではないか、といった様々な示唆が感じられます。

とはいえ、日本の広告市場の媒体別の推移を見ていくと、過去5、6年でデジタルだけはずっと上昇傾向、他の媒体は横ばい、ないしは少し下がっているという状況が見て取れます。今年か来年にはデジタルがテレビを追い抜き、またテレビやOOH(=Out Of Home media)のデジタルシフトも考えると、今後デジタルが最も高いシェアを占める可能性もあり、そういった意味では、中国の状況に近づいていっているというのが日本におけるトレンドかなと思います。

「爆買い」インバウンドにリーチする

サムソン 今回、なぜお二人が一緒に登壇されているのか?ということですが、今朝(8月23日)ちょうどプレスリリースが出されていまして、SupershipとMininglampが日本国内で協業するというお話です。

皆さん、たまに秋葉原などでいわゆる「爆買い」をされる中国人の方々を見かけることがあるかと思います。いわゆる「インバウンド」と呼ばれる方々ですが、日本国内の広告主はこの方々に対し、日本滞在中や中国に帰国された後にコミュニケーションをとることが困難でした。その問題を両社の提携により解決するというイメージ・・・なのですが、具体的にはどのように取り組んでいくのでしょうか?

宮本 中国の方が日本で買い物や宿泊施設などを利用された際の体験が、果たして心地の良いものだったのか?ということについて、日系企業のマーケターからすると、中国の方々のデータが取りきれていないために困難になっているという課題がありました。

Mininglampさんはソーシャル分析における中国でのシェアも高く、例えば、「weibo」の投稿のデータを保持されていたりしますので、今回の提携により、そういった点がわかるようになると考えています。投稿の中にはポジティブなものもネガティブなものもあるかと思いますが、そういった点についても日本の会社が手軽にわかるような仕組みを整えていきたいです。

Leading Smart Systems Vice President 宣 皓杰 様

 日系企業が中国に進出される際は、「自分たちのお客様はこんな人たち」という考えがまず前提にあって進出を検討されているかと思います。しかしながら中国の市場は非常に複雑で、皆がどのようにその商品を見ているのかという点を事前に調査しないと、日本の施策をそのまま移したところであまり効果は出ないと思います。

中国の国土は広く、格差もあります。14億人がそれぞれの想いを持っている中で、皆がその商品についてどう考えて、どのように購入しているのか、という情報を十分に取得した上で施策を行うべきであると私たちは考えていて、その情報を提供させていただいています。

サムソン 広告の施策についてもそうですが、例えば「SNSでネガティブな部分があるから、この部分に気を付けましょう」といったふうに、日系企業が中国に進出する際のアドバイスもされているのでしょうか。

 そうですね。そういった不安や課題を解決しよう、ということです。

サムソン Supershipではどういった役割を担っていますか?自分たちが利用できるデータと中国のデータをどういう風にお互いが使えるようにするのでしょうか。

宮本 Mininglampが保持されているのは中国人の方々の「行動データ」ですが、Supershipからは、例えば「商業施設のロケーション」といった日本国内のエリアのデータを、Mininglampのデータと合わせて、今までできなかった分析ができるようになるというイメージになります。

サムソン SupershipのDMP内にあるデータがMininglampのDMPに送り込まれるわけでは無い、ということでしょうか?

宮本 そうですね。個人情報や、個人を特定できるデータが混ざるわけではありません。

 日本国内でのデータの管理は厳しくなっていますし、Supershipでも厳格な管理をされているかと思いますが、中国でも同じようにかなり厳しく管理されています。厳しいセキュリティを守ったうえで、いかにデータを活用して中国国内の膨大なユーザーにリーチするか、というのは日系企業にはかなり厳しいと思われます。

我々の会社は、中国の一番厳しいデータ管理の規制を守ったうえでリーチできるようなシステムですので、日本のお客様が中国で広告を出す際も、安心した環境でターゲット層に接触できる環境を整えることができます。

現在の日本の広告市場はテレビとデジタルの“交差点”

サムソン Supershipとしては、今回の提携に限らずどういった方針で事業を進めていく方針なのでしょうか?

Supership株式会社 取締役副社長CRO 宮本 裕樹

宮本 これまでは、「デジタル」と言うとPCやスマホだけがその定義にあてはまっていたと思うのですが、看板などのOOHや、テレビのデジタル化が進んでいく中で、流通店舗などの「オフライン」と、今まで私たちが携わってきたPC・スマホをつなげていくというのが大きな方向性ですね。

サムソン ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、中国では大規模なサイネージ広告や、携帯と連動する広告などが至る所で見られるようになっています。日本では今のところデジタル広告と看板広告は別々で、「お互いの畑に踏み込まない」雰囲気が見てとれるようで、その辺りはまだまだ時間がかかりそうかなと感じるのですが。

宮本 そうですね。今まさにこれから、ビジネス開発が始まってきていて、数年先にそういった世界がやってくるのではないかと考えています。

サムソン Mininglampはこれから東京オフィスも設立されるということですが、これから日本市場ではどのように活動していきたいと考えていますか?

 宮本さんからも冒頭にお話がありましたが、今の日本国内の広告市場は、ちょうとテレビとデジタルの”交差点”にあると感じていまして、現在の中国のちょうど5年前という感覚があります。

これから「5G」も普及していきますし、屋外広告もデジタル化して全て測定できるようになります。元々は“知らないうち”に広告のインプレッションが発生していたところから、それがどんどん把握できるようになり、お客様との接点がたくさん出てくるようになります。そのような環境になると、私たちの強みを日本でも発揮できるようになると考えています。

サムソン Supershipなど、日本国内の関係者にも多く会われているかと思いますが、そうした中でギャップを感じたことや、驚いたことはありましたか?

 中国では、生活環境はほぼデジタル化されています。例えば、テレビはもう殆どスマートテレビになっていて、情報が双方向になっています。それが何を意味しているのかというと、「ビッグデータ」の世界になる、ということです。

日本では、スマートテレビがあまり普及しておらず、普通の「地デジ」テレビがまだまだ主流ですよね。視聴率調査においても、サンプリングデータによる計測で、調査がデジタル化されていないかと思います。それが、これからはどんどんデジタル化されていって、より正確なデータが出るようになると考えられます。そういった意味では、日本はこれからもっと急成長するのではないかと思います。

まずは、インバウンドマーケティングの「正解」を出す

サムソン 両社の提携についてもう少し詳しく伺いたいと思います。これからSupershipとMininglampが手を組んで提供していくのは、中国でどう広告を打つのかということや、そもそも、中国で広告主企業となるメーカーなどがどういうふうに言われているのか、どう思われているのかという調査などということですよね。

宮本 まずはインバウンド、越境ECというところですね。これまでは、コンビニや家電量販店などで中国人の方が購入したのかどうかがわかりませんでしたが、そこを私たちSupershipの国内のコネクションを使いながら、流通の会社とパートナーシップを組むなどして、把握できるようにしたいです。

インバウンドのマーケティングは、正解がまだ無いと感じていますが、今日この会場にいらっしゃっているのは、日中間のマーケティングに興味を持たれている方々だと思いますので、その正解を私たち2社のみならず皆で作っていければと考えています。

サムソン それこそ「日本のデータと中国のデータをどのように合わせれば、面白いことができそうか」という話でしょうか。

宮本 そうですね。宣さんとも以前話したのですが、現状、個人情報は中国のほうが法律的には厳しくなっていますが、日本においても来年以降、個人情報保護法が改正される方向で議論が進んでいます。そうした中で、しっかりとルールを作ったうえでアクションを起こすことで、今までできなかったことができてくるようになってくるのではないかと考えています。

サムソン 例えば、日中共通のIDで、日本で何か買って帰国後にどういったつぶやきを投稿したのかなどがわかってくるということですか?

 中国の方が日本で買い物をして、それを中国に持って帰った後で、どのようなやりとりをしているのか。「買ってよかった」とか「使ってよかった」とか、「他の人にも紹介したい」とか、そこは広告主さんやメーカーさんが知りたいところだと思います。

メーカーさんの悩みとして、「中国人が“爆買い”しているが、その理由が何なのかわからず、増産に踏み切れない」というものがあります。そうした中で、中国や、その消費者のことをちゃんと知って、把握したうえで、次の施策はどうしようと考えるようになってくると思います。

サムソン 日系企業が中国に今すぐ進出しようと考えていなかったとしても、自分たちが(“爆買い”によって)本当に増産するべきかどうかという点も含めて、中国でのフィードバックや、どういった風に言われているのか、というところに鍵があるということですね。

 そうですね。また、なかなか全ての日系企業が中国に支社を作るのは難しいですが、とはいえ中国という巨大な市場を無視することはできないと思います。その中で、いかに中国を理解し、複雑なメディア環境の中で、どのメディアにどういった広告を出せば一番リーチし、理解してもらえるのか。広告を出した後はどうなったのか、ユーザーは店舗を訪れているのか、自社の商品は売れているのか。その一気通貫の情報をわかったうえで、プロモーション活動をするというのが非常に重要なポイントとなってくると思います。

サムソン お二人から、最後に伝えたいことはありますか?

 商品の販売は相手のことをよく知っていないと勝てないと考えています。やはり「情報」が一番大事かと思います。また、広告は何も考えずに出していると予算はいくらあっても足りないので、誰にどこでリーチするか、いかに効率よく予算を使うのかというのは永遠の課題です。その中で、デジタルマーケティングの力を借りてデータドリブンでスマートな広告を出す、ということが非常に重要になってくるのではないでしょうか。

宮本 私は、クロスボーダーでのマーケティング活動を成功させるためにも、中国の方々と日本の方々はもっとお互いにわかりあったほうが良いと感じています。その障害となっているのが言葉の壁ですが、Supershipでは専門のチームを作り対処を進めています。例えば、Mininglampさんで行ったデータ分析の結果を、中国語から日本語に翻訳し、日本のマーケターがわかりやすいように提示する、といったことに現在は取り組んでいます。

今回のパートナーシップは、まずは広告から、という形になりますが、今後は広告に限らず様々な面において両社が連携し、データを活用したソリューションで、日中の企業がより互いの国でビジネスを展開しやすい環境を整えていきたいと思います。

データマーケティングコンサルティング

Supershipは、データを活用したマーケティングパートナーです。データとテクノロジーでイノベーションを生み出すマーケティングコンサルティングサービスを顧客理解から効果検証まで、ワンストップでご提供しています。

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