
Supershipの5つのバリュー「Super simple」「Super focus」「Super challenge」「Super honesty」「Super ジブンゴト化」。そのなかの「Super challenge」をテーマにして不定期に開催している社内勉強会「Experts Keynote」では、毎回、外部からお招きした講師に自身の経験をもとにSupership社員のチャレンジに向けたキーワードを教えていただいています。
今回のゲストは、元ラグビー日本代表の大西将太郎さん。ラグビーの精神から、日本代表に選ばれた経緯、そして現在の活動まで・・・。常に挑戦の連続にある大西さんのキャリアに迫ります!
■ラグビーは社会の縮図!?
――世界で500万人以上の競技人口を誇るラグビー。しかし、サッカーや野球に比べると日本での認知度はまだまだ低いものだと大西さんは語ります。
「ラグビーの世界大会である”ラグビーワールドカップ”は、夏季オリンピックやFIFAワールドカップと並んで、世界三大スポーツイベントのひとつとも言われていますが、日本ではまだまだメジャーではありません。次回のラグビーワールドカップは、2020年に開催される東京オリンピックの前年に日本で開催されるので、これを機会にぜひいろいろな方にラグビーを知っていただきたいですね
ラグビーは15人制のスポーツで、ボールを敵陣の奥に置くかゴールを決めることで点数を競い合います。自分より大きな相手に挑んでいくスポーツなので、挑戦心や度胸が重要です。
また、ラグビーはスポーツマンシップをとても重んじるスポーツです。ワールドラグビー(World Rugby)というラグビーの国際統括団体が定めた、ラグビーの規律や尊ぶべき精神があるのでご紹介します。
<ラグビーの5つの精神>
・品位(Integrity)
・情熱(Passion)
・結束(Solidarity)
・規律(Dicipline)
・尊重(Respect)
どこかSupershipの5つのバリューに似ていませんか?
ラグビーはチームメンバーのひとりひとりが異なるポジションを担当するため「社会の縮図」とも言われています。脚は速くないけれど力の強い人、背は小さいけど素早く敵陣をくぐり抜けることができる人など、メンバーによって個人の特徴はさまざまです。そんな互いの違いを尊重しあって、15人分以上のパワーを発揮し、勝利を目指すところは会社組織にも通じるものがあるかもしれません。ラグビーでは個性は大切にしながらも、“One for All”“All for One”の精神でプレーをしています」
■Less is More/自分にとって大切なことに集中する
――ここからは、大西さんの挑戦を時系列に沿って振り返っていきたいと思います。まずは、学生時代〜日本代表に選ばれるまでのお話をうかがっていきましょう。
「私がラグビーと出会ったのは9歳の時です。実家の近くにラグビー場があったので自分にとっては身近なスポーツで、ラグビーをはじめるのは自然な流れでした。それから大学までは順風満帆なラグビー人生が続きました。高校時代は花園の愛称で呼ばれている“全国高等学校ラグビーフットボール大会”で準優勝を勝ち取り、高校日本代表に選ばれてスコットランド遠征にも行くことができました。大学時代は主将としてチームを関西リーグでの連覇、そして全国4位に導きました」
――大学卒業後は、社会人をしながら、ラグビープレーヤーとして活躍していたという大西さん。しかし、ここで重大な決断をすることになります。
「大学卒業後は、企業のスポーツチームに所属してラグビーをしていました。企業のスポーツチーム所属の選手には、大きく分けて2種類の雇用形態があります。ひとつは社員契約で、こちらは、半日ほど会社で働いて仕事が終わった後にラグビーの練習に入ります。もうひとつは、プロ契約です。ラグビーに専念できますが、選手として引退したり、企業との契約が終了した場合、社員契約とは違いその会社で働くことはできなくなります。僕は社員契約だったのですが、ある時点から『仕事もラグビーも中途半端になってしまうのではないか』という気持ちが強くなっていきました。熟考した結果、ラグビーに100%の力で取り組みたいと決心して、思い切ってプロ契約へと契約形態を変更することにしたんです。
話は変わりますが、Supershipのバリューのひとつである『Super Simple』はとても素敵なバリューですね。ニュージーランドのチームの監督をしていた方が私に教えてくれた『Less is More』という言葉を思い出します。私はこれを『自分が本当に必要な物だけに集中しろ』ということだと解釈しています。何かに行き詰まったときに、シンプルに考えるのはとても大切なことですよね。この言葉があったからこそ、ラグビーに専念する決断ができたのだと思います」
■「Preparation&Mind Set」/日頃の準備とマインドセットの大切さ
――プロ契約の選手として日本で活動を続けていた大西さん。さらなる技術の向上を求めてスポーツ留学でオーストラリアに向かいます。そして2007年、念願の日本代表選手に選出されました。
「まずは、こちらの動画をご覧ください。
これは、私が代表に選ばれて参戦した2007年ラグビーワールドカップのフランス大会での最終戦です。対戦相手はカナダ。得点は10-12。残された時間は、ロスタイムの数分のみで、私のキック次第で、日本の引き分けか、負けが決まる、という、チームにとって重要な局面でした。
僕はキッカーではなかったし、以前の試合で肋骨を折って怪我を抱えている状態でした。でも、当時日本代表の監督を務めていたジョン・カーワン監督が『キックを任せる』と言ってくれたんです。
キックが上手くいったときの興奮は忘れられません!劣勢から引き分けにまで持ち込むことが出来たのは、自分のラグビー人生のなかでも誇れるエピソードだと思います」
――ここぞという瞬間で、見事なパフォーマンスを発揮した大西さん。大きなプレッシャーのかかる状況でキックを成功させた理由についてこう語ります。
『絶対に負けない』というマインドが自分の中にあったからこそ成功したのだと思います。もちろん、日頃の準備も大切で、常にそういった場面やシチュエーションを想定して練習していたことは大きかったと思います。
私自身の好奇心が強い性格も大きな要因だったと思います。私はキッカーではありませんでしたが、自分がキックを任されるシーンを想定して日ごろからキックの練習をしていたんです。監督はそれを知っていたこともあり、私に任せてくれたんでしょうね」
■Having a Go!/挑戦しよう!
――ワールドカップ出場後は日本のさまざまなチームでプロとして活躍し、2016年に37歳でラグビーを引退。現在は、母校でもある同志社大学のバックスコーチとして、未来の日本代表選手の育成にあたっている大西さんに今後の目標を聞いてみました。
「ラグビーのおかげで、素晴らしい仲間と巡り会うことができ、世界中に沢山の知り合いもできました。今後はコーチとして選手を育てるとともに、ラグビーというスポーツ自体の認知向上に貢献していくため、ラグビーのPRパーソン的な役割も担っていきたいと思っています」
――学生時代には主将を務め、現在もコーチングについての知識を深める勉強をされているという大西さん。世界に通じるチームビルディングの方法や、チームの中で活躍するために大切なポイントについて教えていただきました。
「マネジメント側で考えると、キャプテンとひとくくりにしても、いろいろなタイプがいます。私個人が大切にしているのは“まずは自分で手本を示すこと”です。口でいろいろ説明するよりも、自分が率先して行動を起こした方がメンバーには伝わりやすいと思ったんです。タックルを強化しようとメンバーに言ったら、まず誰にも負けないタックルを自分がする。もちろん人それぞれ、得手不得手はあるので、自分にあったコーチングのスタイルを見つけていくことが大切だと思います。
一方、プレイヤー側で考えると、チームで活躍するための大事な資質には『負けず嫌いなこと』があります。もし、負けたとしてもそこから学び、勝ちにつなげる精神が大切で、これがないと何事もいい方向にいきません。気分の切り替えも重要で、反省して直すべきところを見つけたら、それを良くしていく方向に気持ちをシフトする。いつまでも負けを引きずっていたら気持ちの面で負けてしまい、結局は、実際の勝敗においても負けがついてしまうんです。
プロのラグビーでは、一週間ごとに試合があります。私は、試合翌日を反省の日と決めて、チームメンバーと試合を録画した映像を見るなどして振り返りをしていました。その日は落ち込むこともありましたが、次の日からは気持ちを切り替えて練習に励みます。そして、ここぞというときにはこれまでやってきたことを信じて、絶対勝つんだというマインドで戦っていました。
あとは、明確な目標を持つこと。私自身は数年にかかるロングタームの目標と、2、3ヶ月毎のショートタームの目標を持つようにしていました。これに加えて、自分がしっかり振り返りをすることができる短期の目標を具体的な内容で設定するのも良いかもしれません」
——最後に2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップの見どころについてお聞きしました。
「注目していただきたいポイントは2つです。1つめは北半球の国の活躍。これまでの大会ではオーストラリアやニュージーランドといった南半球の国の優勝が多く、北半球の国が勝ったのは2003年の第5回大会におけるイングランドのみ。でも、今回は日本という北半球に位置する国での開催なので、もしかしたら、北半球に属する国が活躍するかもしれません。
そして2つめはイングランドの選手たちの戦いです。2007年のワールドカップで日本代表を率いたエディ・ジョーンズ監督がイングランドのチーム監督に就任してからというもの、他国を圧倒するプレーを見せています!
次回のワールドカップは日本で世界トップのプレーが観戦できる貴重なチャンスなので、ぜひ会場に足を運んでみてください。
本日は講演の機会をいただき、ありがとうございました。みなさんのSupershipというフィールドでの活躍を、またインターネットのフィールドでのSupershipの活躍を応援しています!」
<大西将太郎さんプロフィール>
1978年11月18日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。
9歳からラグビーをはじめ、啓光学園で花園準優勝を経験し、高校日本代表に選出されスコットランド遠征に参加。同志社大学でも主将として関西リーグ連覇や全国4位の成績を残した。2007年にはW杯日本代表に選出され、カナダ戦で試合終了直前の同点コンバージョンを決めて、引き分けに持ちこむ大活躍をした。2016年、現役を引退し、同志社大学のバックスコーチに就任、後進の育成に励んだ。その後はテレビの解説やラグビーのPR活動で日本中を駆け回っている。
- まとめ
- ラグビーの精神や、日本代表として取り組んだ自身の挑戦を熱く語ってくださった大西さん。たくさんのキーワードがあるお話のなかからポイントをピックアップしてみました。
①Less is More
何事もシンプルに考えると自分にとって大切なものが見えてくる。
②Preparation&Mind Set
日頃の積み重ね、しっかりとした準備によって自信はつくもの。
さらに、誰にも負けないという強い気持ちを持つことによって成功を引き寄せることができる
③Having a Go!
まずは何事も率先して取り組み、「負けず嫌い」のマインドを持つこと。
負けを引きずらずに次への糧にすることで、勝利を掴むことができる