2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

急成長する「動画リワード」市場の変化と知られざる問題点って?Ad Generation中の人が語る開発秘話
プロダクト

急成長する「動画リワード」市場の変化と知られざる問題点って?Ad Generation中の人が語る開発秘話

本記事では、2017年3月8日に開催された「【アドジェネ ビールナイトvol.14】アドジェネ、動画リワード始めます。〜後発だから、きっとできることがある。〜」のイベントの様子をダイジェストでお送りします。

▼目次
とにかく在庫がなかった2015年
とにかく在庫をかき集める時代ではなくなった2017年
在庫優先の先のメリット提供を
静止画のように単純にはいかない動画リワード広告
在庫確保優先設計が注意すべきユーザーへの負担
在庫が増えた今、アドネットワークを接続しすぎると危険!
だから、アドジェネは「エコで儲かる」動画リワードをつくりました
収益性UP(for メディア様)
└RTBに対応
└公平で正確なeCPM評価で収益最大化
無駄な通信コストCUT(for エンドユーザー)
└パケ死対策
実装しやすさと品質管理(for エンジニア)
└アプリ起動時初期化メディエーション
└テストモード
└デバッグモード
└品質管理(自動テスト)
まとめ

グローバルで歴史的ヒットとなったアプリ「クロッシーロード」に代表される、ユーザーの自由意志による動画視聴に対してインセンティブを与える広告手法「動画リワード広告」が国内でも一躍注目を集めてから早いもので2年ほど経過しました。

国内外で動画リワードアドネットワークが次々と増え、国内でも既にいくつかのSSPが動画リワード広告のメディエーションに対応し、さらにはGoogleのAdmobメディエーションでも動画リワードの正式対応を宣言したことで、ますますアプリ市場における動画リワードのニーズが一気に高まっている今日このごろ…。

アドジェネも、ついに「動画リワード広告」をリリースいたしました!!!!!

今回のビールナイトは、満を持してリリースとなった「アドジェネ動画リワード」についてお披露目するとともに、動画リワード経験者も未経験者も、みんなで集まって一緒に動画リワードの未来について考えませんか!?という熱い思いで開催いたしました。

前回から約半年ぶりの開催となったビールナイトでしたが、今回も即日チケット完売という盛況ぶりに、アドジェネ一同少しでもご参加いただいた皆様にお返しをしたく、いつもよりちょっとだけ豪華なお食事にておもてなしをさせていただきました。

↑株式会社エウレカ様の会場をお借りして開催されたビールナイトの様子

アドジェネ動画リワードX〜「在庫重視の設計思想」からの脱却〜
Supership株式会社 迎 昭宏

1つめの講演はアドジェネ動画リワードのプロダクト責任者 迎昭宏(Supership株式会社)より、【最先端の動画リワードメディエーション機能】に関するご紹介です。

日本の動画リワード市場をもっと大きくしたい!という熱い思いで、動画リワードをマニアックなまでに突き詰める迎による、マニアックな内容となった本講演。

”動画リワードマニア”の迎がサービスを研究し、既に導入済みのメディア様、ひいてはアプリユーザー様の声に真剣に耳を傾けて感じた「こうした方がもっとメディアさまが収益を得られるのに」「こうしたほうがユーザーはうれしいのに」「こんな機能があればエンジニアは実装が簡単なのに」という課題に向き合って完成させたこだわりのプロダクトに関して、ここに簡単にサマリー致します。

とにかく在庫がなかった2015年

プロダクトの話をするまえに、少しだけ動画リワードの歴史を一緒に振り返りましょう。
<動画リワード広告表示の流れ>

動画を最後までみた人にインセンティブを与えるという「動画リワード」広告が日本に上陸したばかりの2015年は、広告主の数も動画アドネットワークの数も少なかったため、1つの動画アドネットワークだけで運用するには広告在庫の数に不安を持つメディア様が少なくありませんでした。よって、動画リワードを運用するには複数アドネットワークをメディエーションするのが常識でした。

とにかく在庫をかき集める時代ではなくなった2017年

あれから早2年。2017年の動画広告市場は2015年と比較して約2倍へと急成長し、国内でもいくつもの動画アドネットワークが登場するようになったことで、動画リワードの広告在庫数は出来たてホヤホヤの2年前と比較して確実に増えている状況です。

参照:サイバーエージェント、国内動画広告の市場調査を実施 / 株式会社サイバーエージェント

2年で動画広告市場は2倍に成長したが、動画リワードの市場シェアは変わらず

在庫優先の先のメリット提供を

とにかくアドネットワークの広告在庫をかきあつめるだけでは時代のニーズに合っていないのです。在庫確保のフェーズから一歩進んで、いかに多くのメリットやサービスを利用者に提供できるかでSSPの存在価値が問われる時代になったのではないでしょうか。

静止画のように単純にはいかない動画リワード広告

実は、バナーに代表される従来の広告タイプと動画リワードではメディエーションの方法が大きく異なります。
バナーのような一般的な広告タイプは、基本的にはサーバーへ広告をリクエストして返却された広告を表示する、というシンプルなつくりです。

例えばSSPのSDKからアドネットワークのサーバーへ広告をリクエストし、広告在庫が無いと返答されれば別のアドネットワークのサーバーへ改めてリクエストをしなおす、といったような方法でメディエーションが可能でした。

※イメージです

しかし動画リワード広告の場合はそうはいきません。動画リワード広告を表示するには、まずアドネットワーク側のSDKを「初期化」するとアドネットワークサーバーからキャンペーンリストを取得して、いくつかのキャンペーン案件の動画ファイル(mp4)の「読み込み」が実行され、広告の表示準備が完了したよという通知を受け取るというように、ひとつのアドネットワークを表示するのにもいくつかのステップを踏まなくてはなりません。

静止画と違い、15~30秒のある程度長い動画素材を読み込む都合上、この工程で1つのアドネットワークの動画を読み込むには、早くても約4〜10秒(Wi-Fi接続の場合、キャンペーンによる)ほどかかってしまいます。しかも、こうして時間をかけて広告の用意をしようとしても、結果的にフリークエンシーキャップ(※)次第では表示できる広告がない、ということもありえるのです。
そこから、別のアドネットワークの広告を準備する…ということをしているうちに、広告を表示したいタイミングで表示ができない、あるいはユーザーを待たせてしまうという最悪な事態が起こってしまいます。このように、動画リワードと従来のバナーでは根本的にメディエーションの設計を変える必要がありました。

※フリークエンシーキャップとは
動画リワードアドネットワークでは、1人のユーザーに同じ広告を繰り返し表示することでユーザー体験の悪化や収益性が低下してしまうリスクを防ぐため1人のユーザーに対して広告の表示回数を制限する「フリークエンシーキャップ」という仕組みが導入されています。

在庫確保優先設計が注意すべきユーザーへの負担

そこで在庫があるかわからない動画を最短でメディエーションをする場合にとられた方法が、利用中のアドネットワーク全てに広告の準備をするよう呼び出す方法。在庫の有無は無視して毎回全アドネットワークに通信することになりますが、早く確実に広告在庫を集めるには手っ取り早い仕組みです。

在庫が増えた今、アドネットワークを接続しすぎると危険!

しかし、動画広告市場が成長し、広告在庫が増えてきた今の時代に、上記の手段でたくさんのアドネットワークを利用しようとするとどうなるか…いままでの話で想像がついた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
アプリのユーザーは視聴しない動画まで過剰に読み込む通信負担を強いられることになり、パケ死やアプリが落ちるなどのストレスをユーザーを与えてしまった結果、アクティブ率を上げるどころかユーザーを逃がしてしまう、といった悲劇が起こる可能性があるのです。

実際に、国内外で誰もが知っているような某有名アプリの動画ファイルの読み込みを確認したところ、複数の動画リワードアドネットワークの利用によるユーザーの通信負担の大きさをはっきりと確認することができました。

▼1度の読み込みでこれだけの動画が読み込まれた
1つのファイルは2~4M程度ですが、これを9個も読み込むことで合計25Mもの動画ファイルをダウンロードしていました。

だから、アドジェネは「エコで儲かる」動画リワードをつくりました

前置きが長くなりましたが、ここからがアドジェネの動画リワードの話です。
アドジェネではこれまでの「在庫確保優先」の思考から脱却し、今の時代に本当に必要とされる「エコで儲かる」設計へとブラッシュアップしたプロダクトを時間をかけて丁寧に完成させました。

まず、アドジェネの動画リワードでは、下記3社の動画広告の配信が可能です。

プロダクトのコンセプトはこの3つ。

収益性UP(for メディア様)

まず、メディア様の収益UPのためにアドジェネが提供するのは2つ。

  • RTB対応
  • 公平で正確なeCPM評価で収益最大化

●RTBに対応
Supershipの持つScaleOutDSP他、接続中の各種DSPを使い、RTBでの広告配信が可能となります。これによりアドネットワーク各社よりも高いeCPMで入札されたRTB案件を最優先に配信することができるため、RTBによる収益の底上げが期待できます。

▼RTBで収益底上げ!

さらに、RTBがアドネットワークよりも低いeCPMで入札された場合、万が一アドネットワーク側で表示できる広告がない場合は、空き枠の補填とするように無駄なく設計してあります。
▼空き枠補填にもRTB!

 

●公平で正確なeCPM評価で収益最大化
実は動画アドネットワーク各社の管理画面で確認できるeCPMはバラバラの基準で算出されているのをご存知でしょうか?
ユーザーが広告表示に同意(表示開始)し、動画の再生が開始され(視聴開始)、最後まで再生が完了(視聴完了)するという各ポイントのなかで、どこをインプレッションとするかはアドネットワーク事業者によってバラバラなのです。これでは、同じインプレッション数で比較しても、正確なeCPMが算出できません。

よって、アドジェネではユーザーへの インセンティブ付与ポイントである「視聴完了」を統一基準とした平等なeCPM評価にて、これまで培ってきた自動最適化ロジックをつかった収益最大化を実現しました。

※セミナーでは省きましたが、例えば、同じアドネットワークA社とB社で同じインプレッション、収益のレポートが表示されていても、インプレッションの定義や、海外と国内アドネットワークでよくある(税抜き/税込み)の違いによって、蓋を開けてみると実は2社のeCPMが正しく評価できていない、ということがよくあります。

※イメージです

無駄な通信コストCUT(for エンドユーザー)

●パケ死対策
前にも触れたとおり、早く広告を準備するために複数のアドネットワークを呼び出すと、通信環境によっては動画ファイルをダウンロードする処理が重複することで、アプリの挙動が重くなる可能性や、なによりもアプリを使ってくれているユーザーに対して無駄な通信コスト負担を強いることになります。
結果的にユーザーのアクティブ率やストアの低レビューにつながってしまう恐れがあります。
そこで、アドジェネでは無駄な通信をなくすために、最初にRTBでの入札をかけ、もし入札がされなかった場合は、優先順位の高いアドネットワークから順番に初期化するエコな仕様を実現しました。

▼最優先でRTB入札されれば最もエコ

▼RTB入札がされなくても、エコ
優先度の高いアドネットワークから順番に呼び出し。在庫が確保できれば次のアドネットワークを呼び出さない。

実装しやすさと品質管理(for エンジニア)

 

●アプリ起動時・アドネットワークSDK・初期化メディエーション
動画リワード広告は、広告を初回表示するのに時間がかかってしまう特徴があります。
例えば、ゲームオーバー時のライフ回復や育成ゲームの時短の目的で頻繁に動画リワードをみせる場合ならいいのですが、非ゲームアプリで見かけるようなアプリ起動直後のログインボーナス目的で実装する場合など、1日に1回しか表示するチャンスが無く、もし広告の準備が間に合わず表示ができなかったら、大きな機会損失となってしまいます。

よって、アドジェネでは広告の準備が間に合わず表示に失敗することがないよう、アドネットワークSDKの初期化をアプリ起動時に行える機能をご用意しました。

▼先に初期化しておけば広告の読み込みがスムーズに

なお、初期化するアドネットワークSDKは、下記の通りメディア様のお好みにあわせて3つのモードから選択が可能です。
(デフォルトはAUTO)

●テストモード
面倒だったアドネットワーク各社のテストモード切り替えがソースコード1行設定するだけで、全アドネットワークのテストモードへの切り替えと連動して設定完了するので、テストにかかる工数を大きく減らすことができます。

●デバッグモード
広告が表示されない、インセンティブ付与の通知が受け取れないなど何らかの問題があった場合、詳細を調査するためには各アドネットワークのデバックログを出力して自力で解決するか、それでもわからない場合はアドネットワークに問い合わせることになります。
問い合わせにはデバッグモードで出力されたログを提出いただく必要があります。
エンジニア様の手間を少しでも省くため、デバッグモードの切り替えもソースコード1行追加いただくだけで各アドネットワークのデバッグモードと連動した設定が可能です。

●品質管理
動画リワード広告のテストを行う場合、バナー広告と違って毎回15〜30秒程度の動画を最後まで見る必要があるため、特に種類の多いAndroid端末では気が遠くなるような時間と手間がかかってしまいます。
そこで、アドジェネでは本来手動で行うテストの工程を自動化し、国内でシェア率の高い端末を優先的に購入して自動テストを実行します。保有していない端末であったとしても、クラウドの端末レンタルサービスを利用して可能な限りテストを実行しています。

▼自動テストの様子

検証結果はAd Generation(アドジェネ)FAQページにて公開しております。
Android検証結果はこちら
iOS検証結果はこちら

自動テストにより、特定端末で発生するバグを早期発見することができるようになっただけでなく、配信されている広告キャンペーンのなかで不適切なものが無いか確認できるようになりました。
なお、自動テストだけでなく、手動でのテストも専任の担当をつけておこなっております。

まとめ

アドジェネ開発メンバーが頭を捻ってこだわりぬいた動画リワードの特長をまとめるとこの通り。

◎収益性UP(for メディア様)
・RTBで収益底上げ(在庫補填も)
・公平で正確なeCPM評価で収益最大化

◎無駄な通信コストCUT(for エンドユーザー様)
・パケ死対策

◎実装しやすさと品質管理(for エンジニア様)
・アプリ起動時初期化メディエーション
・テストモード
・デバッグモード
・品質管理(自動テスト)

アドジェネ動画リワードは、メディア様だけでなく、関わるみんながHAPPYになれるような、「エコ」で「儲かる」プロダクトです。
もちろん、まだまだこれで終わるつもりはありません。

今後も、更にプロダクトに磨きをかけるため、以下の機能も現在準備中です。

  • 自社広告配信機能
  • 課金/無課金ユーザーへの広告出し分け
  • Unity版、Cocos2d-x版
  • S2Sサーバコールバック
  • RTB接続連携強化

以上、非常に細かくて長い内容となりましたが、ディレクターさんも、エンジニアさんも、さらにはアプリのエンドユーザーさんにも喜んでいただけるこのプロダクトで、動画リワード市場のさらなる成長に貢献できればこれ以上に幸せなことはありません。

少しでも本プロダクトにご興味を持っていただけましたアプリ事業者様は、アドジェネ営業サポートまでお気軽にお問い合わせください。

まとめ
動画リワード広告は、アプリ媒体者にとって広告収益UPだけでなくユーザーのアクティブ率を上げるコンテンツの一つとして、今後更に日本のアプリ市場で実装が進んでいくことが予想されます。
Ad Generation(アドジェネ)SSPの動画リワード広告は、動画広告市場の未来を見据えた最先端のプロダクトとして、今後もさらに機能追加やリクエストへのお応えができるよう、鋭意開発を進めてまいります。

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Supershipの「Ad Generation(アドジェネレーション)」は、楽しく、自由につかえる、パブリッシャー向けアドプラットフォームです。国内外の主要な広告配信事業者とのパートナーシップにより、広告の自動最適化配信や、収益レポートの一元管理を行うことで、広告収益最大化と広告運用コスト削減を支援します。
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