2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

【DX推進、AIによる広告運用の自動化、インハウス化…デジタルマーケティングはどう変化する?】 ツールベンダー2社から見た今後のデジタル広告市場の展望

セミナーレポート

【DX推進、AIによる広告運用の自動化、インハウス化…デジタルマーケティングはどう変化する?】 ツールベンダー2社から見た今後のデジタル広告市場の展望

本ウェビナーの目的

DX推進の旗印のもとマーケティング領域では、これまでアナログで行っていた業務の効率化を目的として、新たなMAツールの誕生や既存ツールのアップデートが進んでいます。特にデジタルマーケティングの要となるデジタル広告では、規制とイノベーションが平行して進んでいます。今後、デジタル広告とマーケティングの関係はどうなっていくのでしょうか。ツールベンダーの立場から、今後の展望についてディスカッションを行いました。

プロフィール

竹下 智視(株式会社Shirofune)

メインスピーカー:竹下 智視(株式会社Shirofune)
取締役

京都大学時代の卒論でリスティング広告を研究。サイバーエージェントに新卒で2007年に入社し、約10年間、一貫してリスティング広告運用の業務に従事。広告運用における社内育成の仕組みづくりや、初期構築専門の部署の設立、運用ルール・オペレーションにおける社内ルールの設計、及び組織作り等を行う。株式会社Shirofuneでは、主にアカウントの構築・改善施策部分の独自アルゴリズムの研究・開発、及びカスタマーサクセスを担当。

中川 剛(Momentum株式会社)

共同スピーカー:中川 剛(Momentum株式会社)
カスタマーサクセス

インターネット広告代理店、広告主企業のマーケティング担当(運用型広告)、DSPベンダー勤務などを経て、2020年Momentumに入社。 デジタルマーケティング業務に対して幅広く従事した経験・理解が武器。

川口 あい(株式会社ユーザベース)

モデレーター:川口 あい(株式会社ユーザベース)

NewsPicks Studiosシニアエディター。昭和女子大学大学院文学研究科修士課程修了。小学館クリエイティブ、ハフポスト日本版Partner Studioチーフ・クリエイティブ・ディレクターを経て現職。

ツールベンダー2社から見たデジタルマーケティング市場の問題点

デバイス、プラットフォーム、ツールが多数登場し、更に複雑化していることと比例してデジタルマーケティング市場が拡大を続けています。その一方でプレイヤーも増加し、まさにカオスな状態となっていますが、この現状についてどのように捉えられているか教えてください。

竹下:デジタルマーケティングそのものの重要性が増している中、昔のように「広告だけ」「WEBサイトだけ」という領域ではなくなっています。”事業の中核”という観点で考えると色々な領域があり、それに付随して様々なプレイヤーが存在することでこのようなカオスな状態になっていると捉えています。ただ、Googleなど媒体側の自動化が進んだり、またテクノロジーベンダーも出始めているので、従来よりは広告運用もやりやすくなっていると思います。

デジタルマーケティングの市場そのものは広いけど、各々の役割が整理されてきているということでしょうか。

竹下:はい。なお且つ、各々の役割の中でも整備が進んできているのではないかと捉えています。

中川:「テクノロジーありき」で考えると、広告主様の選択肢が非常に多いので、逆に難しいと考えます。したがって、広告主様の事業としてどのようなことを行いたいのか、また、どういった戦略・戦術を展開していきたいのか、まずは青写真をしっかりと描いた上で「その戦術を、楽で確実に行うためのテクノロジーはどれなのか」という視点を持って探っていくことが近道であると考えます。

混沌とした市場の中で、両社が行っているサービス開発についての思いを教えてください。

竹下:弊社(株式会社Shirofune)が事業を通じて価値を提供している分野は「広告運用」です。ただ「デジタル広告」と一言で言っても、Facebook、Google、Yahooなど、様々な媒体が存在し、各媒体の特性を理解して扱うこと自体、人力だけに頼るのは限界があると考えます。また、貴重な人的リソースこそデジタル広告の中でも「クリエイティブ」の部分で使い、人が介在する価値を発揮していくためには、オペレーションと呼ばれる「作業」はテクノロジーの力を使って解決したいとも考えます。まさに「誰でも自由に、プロ級の広告運用ができる」そんな世界を実現していきたいです。広告運用の全てを自動化するというより、「人×テクノロジーの力」で広告運用のパフォーマンスが上がる状態を目指したいと考えています。

中川:弊社(Momentum株式会社)は一貫して「無価値な広告をゼロにする」ということをミッションに掲げています。その中で大事にしているポイントは「効果的である」「使いやすい」「属人化を避けられる」、この3点を押さえたツールであることです。インターネット広告が普及した一方で「自社の広告がどんなメディアに掲載されているのか」、そのすべてをトラッキングすることがほぼ不可能な状態にあります。そうした中で、ブランド毀損につながるような悪質なメディアに広告が表示されたり、広告費を騙し取る「クリックファーム」に代表される広告詐欺など、広告主様のビジネスの成長に悪影響を及ぼす事象が発生しています。このような問題を解消したいという強い思いを持って事業を展開しております。

インハウス化の背景には何があるのか

運用型広告が登場した当初、広告主様の多くは外部パートナーに広告運用業務を発注していましたが、昨今のDX推進の号令のもと、多くの企業でデジタル広告を扱うようになりました。知見を蓄積しデジタル化を進めようという流れのもと、インハウス化が進んだ理由の一つです。このインハウス化が進んでいる流れについて、どう捉えられているかお聞かせください。

竹下:過去にも何度かインハウス化が進む流れはあったのですが、外部への委託コストを削減したいなど、目先の利益追求を目的にされていたことが多かったと捉えています。しかしながら最近では、デジタルマーケティングの中でも重要な部分を占めるデジタル広告の分野を外部パートナーに委託することでブラックボックス化してしまい、自社にナレッジが蓄積されていないことに対して疑問を持つことをきっかけにしたケースが増えてきているように感じます。

中川:「自分たちは、何をやりたいのか?」ということについて、明確な意思を持たれた広告主様がどんどん増えてきていることの表れであると捉えています。その中で「単なる作業」を簡単にするツールが登場してきた結果、インハウスについても検討・実現しやすくなってきているのではないでしょうか。

竹下:広告運用と呼ばれる業務が、従来のように独自の専門性を持った人にしか運用できない属人的且つそこにしかノウハウが蓄積されていかない状態から、FacebookやGoogleに代表されるメガプラットフォームと呼ばれるテクノロジーの力を使って、広告運用のベースを自動化し始めています。広告運用のハードルが昔より下がってきているという事実に、広告主様サイドもお気づきになっているのだと思います。

インハウス化の背景にある理由として、「人材の継続的な教育・採用の難しさ」についてはいかがでしょうか。

中川:「デジタルマーケティング」と一言で言っても、広告代理店の方と広告主側でマーケティングを担当されている方に求める能力やスキルは違うものと考えます。広告主、いわゆる事業会社の方だと、戦略を詰めたりそれを社内の他部署ともみ合うなど、事業の本質部分に根ざした仕事が多いと思います。一方、広告代理店ではテクノロジーの知見を全面的に求められるケースが多いです。同じデジタルマーケターと呼ばれる仕事をされる方でも、その担当者のバックボーンを理解した上で、採用や教育をしていくことが求められる大変さや難しさはありますね。

竹下:デジタルマーケティングの業務は多岐に渡るので「全部出来る人」は限られます。求める経験とマッチする人を採用することは難しいですね。また、広告代理店の方からお聞きするのは育成した人が転職や個人事業主としてステップアップしていかれるケースです。昨今では日本でも人材の流動性が高まっているので、自社で育成した人を確保し続けることの難しさは、どの業界においてもあると思います。そういった背景もあり代理店の立場においても、すべてのお客様に、豊富な経験とノウハウを持たれた人材を提供し続けることが難しくなってきていると感じます。

今後、CPAとブランド毀損対策のプライオリティは同等となるのか

これまでデジタルマーケティングの指標はCPAに代表される「獲得効率」におかれてきました。一方、最近ではCPAとブランド毀損の関係性についても議論されており、今後双方が同じくらい重要なものになっていくという見立てについて、ご意見をお伺い出来ますか。

竹下:デジタル広告を出稿された後のケアもきちんとされている企業様はブランド毀損に対しても敏感になっている一方で、ようやくデジタル化に着手されたような企業様に関しては、まだまだその点における意識が低い部分があるのが現状だと捉えています。

中川:昨年には「ファスト映画」と言われる違法動画を投稿をして広告収入を得ていた投稿者に、初の有罪判決が下された事件がありました。そういった違法動画が投稿されるサイトやチャンネルにも一定数の登録者が存在するため、そこでマネタイズ化されてしまっています。こういったところにも行政や司法が明確にメスを入れるようになってきましたが、明らかに法律違反とされている面に広告が表示されてしまうことで、広告主様の企業コンプライアンスの側面においてダメージを受けてしまう事例は、今後益々増加するのではないかと推測しています。広告主様はCPAだけではなく、「自社の広告がどんな面に表示されているのか」という点もしっかりウォッチしていかなくてはなりません。

今後、広告代理店に求められること

様々な環境変化の中で、広告代理店の役割も変わってきているのではないかと思いますが、今後広告主が広告代理店に対して期待することについてお聞かせください。

中川:これまで「広告の枠を買う」というアクションが、ある種特殊なことのように捉えられていましたが、今はその敷居がとても低くなって来ています。広告の配信技術自体はコモディティ化し、誰でもできるようになってきているということです。今後広告代理店は、広告主様と一緒に戦略・戦術を設計したり、立てた戦術が確実に実行出来ているのかなど、事業のPDCAを共に回す、「ビジネスパートナー」としての存在感を強みとしてお示ししていけるといいのでは、と考えます。

竹下:広告主の方のニーズがこれまでと180°変わったということではないと捉えています。元々は、広告運用の細かい設定や最適化といった部分でしっかりパフォーマンスが出ていた状態から自動化が進んできた昨今、対価+αを求めることは当然です。だからこそ、それ以外の領域で「プロ」の提案をしていかなければならないフェーズに来ているのかもしれません。

さらに、最近ではDX支援企業や総合コンサルティング企業なども広告代理店の事業領域に参入される企業や個人事業主が増えてきていますが、そうした中で広告代理店はどのようにバリューを発揮していくべきとお考えでしょうか。

竹下:これまでのお話のとおり、広告運用のベース部分の自動化が進んでてきている中で、新規参入の障壁も低くなってきているのかもしれません。どんなプレーヤーも従来の「広告運用」に加え、別の切り口を追加した新しい価値を作っていくことが重要かなと感じております。

広告代理店もアップデートが必要ということですが、まさにこのセミナーの冒頭でおっしゃっていた「ツールを自動化して属人化を防ぐ」、「クリエイティブの部分に人的リソースをあてる」という話につながってきますね。

竹下:広告運用における分野の成熟とともに、均一的で生産性を上げるための自動化や、そこにどのような付加価値をつけることが出来るのか、ということが競争力のポイントになってくるのだと思います。もしかしたらこれは広告業界のみならず、いろいろな産業が発展していく中で起きている必然的な流れなのかもしれませんね。

中川:自動化できるものはツールにある程度任せてしまい、戦略策定やお客様との緊密なコミュニケーションを充実させるなど、人の介在価値がある部分に時間を捻出していくべきと考えます。ベンダー各社が提供しているツールを使うことで、属人化を防ぎ、時間効率を上げていくことを解決できる時代がすぐそこまで訪れていると思います。

本日はありがとうございました。



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SupershipグループのMomentumは、日本語に特化した言語解析技術と独自データを活用したアドフラウド検知技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションソリューションカンパニーです。アドプラットフォーム・広告主・広告代理店など、様々な企業のニーズにあわせた「HYTRA」ブランドのサービスを提供しています。

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