2018年2月21日(水)~23日(金)に大阪で開催された先進事例や最先端技術が学べるITの専門展「Japan IT Week 関西」(リード エグジビション ジャパン社主催)にて、Supershipからは、動画を活用した最新の広告配信事例をデマンド事業部 営業部長の由田がお話させていただきました。
本記事では、講演の様子をレポートいたします。
<開催概要>
イベント名:Japan IT Week 関西
会期:2018年2月21日(水)~23日(金)
会場:インテックス大阪
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
https://www.japan-it.jp/kansai/sokuho/
講演タイトル:
動画広告の効果的な活用方法
~最新事例から見る動画広告をターゲティングに活かすには〜
こんにちは、Supershipの由田と申します。Supershipの動画広告プラットフォームのサービス統括をしております。
本日は、現在の動画広告市場のトレンドから活用事例まで、幅広くお話していければと思います。
どうして動画が生活者に浸透したのか?
動画広告市場が非常に伸びているというのは、みなさんも日々耳にすることも多いのではないでしょうか。では、どうして動画広告がそこまで伸びているのでしょうか?
理由は大きく3つ考えられます。
1つは、インターネットで得られる情報の増加です。これにより、生活者が情報を得る手段がテレビからスマートフォンへ移ったことで、動画広告の配信先が一気に広まったことが大きな理由の1つだと思います。
2つめに、通信インフラの整備により、大容量のデータ通信が当たり前になったことがあげられます。これによって、動画をスマートフォンで再生するハードルが一気に下がりました。
そして3つめに、スマートフォン・タブレットの普及による生活者のライフスタイルの変化があります。スマートフォンデバイスを持ち歩くのが当たり前の世の中になったことと、先程あげた2つの理由から、一気に動画市場が拡大していきました。
動画市場ではスマートフォンが主流に
このように、スマートフォンで動画を視聴する生活者が急増したことで、動画市場はスマートフォンが主流の時代となっています。企業による2016〜2023年の動画市場予測調査でも、PCでの動画市場がほぼ一定なのに対して、スマートフォンの動画市場はまだまだ成長途中となっており、非常に大きな期待が寄せられます。
出典:
動画広告市場推計 <デバイス別>(サイバーエージェント オンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べ)
また、10代などの若年層だけでなく50代においても、スマートフォンは既にPCを上回るインフラとして定着しており、これらの要素も動画市場への期待値をさらに押し上げるポイントになっていると思います。
インターネット人口は既にPCよりもスマートフォンのほうがシェアが大きく、また、年齢層を選ばず全ての世代の生活に根付いています。
こういった状況をふまえると、広告の出稿をするにあたって生活者と密着したスマートフォンを用いたアプローチをすべきなのは当然であり、動画広告のプロモーションにおいては、なおのことスマートフォンを中心に行うべきであると言えます。
出典:
〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2017年上期)/LINE調べ
動画には静止画約450枚分に相当する情報量が
とはいえ、「本当に動画のほうが広告効果がいいの?」「動画と静止画でそんなに違いがあるの?」というような疑問を持たれる方も少なからずいらっしゃると思います。しかし、動画と静止画では与えられる情報量に圧倒的な差があるということをふまえると、その訴求効果に大きな違いがあることがご理解いただけると思います。
たとえば、15秒尺の動画を1枚1枚分解すると、静止画約450枚分に相当します。つまり、静止画約450枚分の情報量が動画には詰まっていることになります。
ある広告キャンペーンで実施した独自調査によると、動画広告は静止画広告に比べて、広告認知度は1.6倍、広告理解度は1.8倍、利用意欲に至ってはなんと約7倍も効果が高かったという結果が出ました。与えられる情報量の圧倒的な差が調査結果に現れているのがわかります。
動画広告≒TVCM
さらに、TVとウェブのクロスメディアで実施したある動画広告キャンペーンのブランドリフト調査では、意外な結果も出ています。
視聴した動画の商品(サービス)を利用してみたいと回答したユーザーが最も多かったのは、TVとウェブ両方を視聴したユーザーという結果は想定通りでしたが、意外なことに「TVCMのみ」もしくは「ウェブ広告のみ」のどちらかの一方のみを視聴したユーザーから得られたポジティブな回答の数に大きな差はなく、むしろウェブのみを視聴したユーザーのほうが利用意欲が高まった数が多い、という結果が得られました。
もちろん、キャンペーンによっては同じ結果になるとは限らないとはいえ、動画広告がもたらす効果はTVCMと近しいものであると言えるのではないでしょうか?
動画広告の種類と特性を理解して使い分けを
次は動画広告のタイプとその特性についておさらいしていきます。
<動画広告の特徴>
■インストリーム広告
動画コンテンツの冒頭や間などで表示される動画広告です。
デフォルトで音声も出せ、TVCMに近しい配信が可能です。
例:YouTube、GYAOなど
■インフィード広告
主にアプリのタイムラインやコンテンツの途中(フィード内)に設置された広告枠に表示される動画広告です。
例:LINE、Twitter、Facebook、Instagramなど
■インバナー、インリード広告
従来のWebサイトの広告枠や記事中に表示される動画広告です。
音声は基本オフになっていますが、静止画(ディスプレイ広告)と同様に細かいターゲティング設定や大量配信ができるというメリットがあります。
例:ScaleOut、Teadsなど
このように、動画広告とひと言で言っても、インストリーム、インフィード、インバナー、インリードと、いくつかの種類があります。
また、それぞれの広告でリーチできるユーザー領域は必ずしも同じではありません。
とりあえずYouTubeに出しておけば十分だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ニールセンとTeadsが実施した独自調査によると、ひとつのキャンペーンのなかで大手動画コンテンツや大手SNSの動画広告だけでリーチできないターゲットは平均で20%程度は存在するというデータも出ています。
市場全体で20%というとそんなに大きなインパクトはないかもしれませんが、ターゲットユーザー全体の20%と考えると、インパクトは小さくはないのではないでしょうか?
以上のことから、動画広告出稿にあたっては、届けたいユーザーへ最大限にアプローチできるよう、戦略的に複数のタイプを組み合わせた配信を行う必要があります。
目先の数字に囚われすぎるのはナンセンス
さて、これまで「動画広告とは」という基本の話をしてきましたので、ここからは、いざ活用しようとする際に気をつけていただきたいことについてお話していきます。
これは動画に限らずディスプレイ広告全般で言えることなのですが、プロモーションを実施した際に、結果レポートのなかのこれらの数字を指標として追っている方は多いと思います。
・再生単価 ・再生回数
・再生完了率 ・再生完了単価
・リーチUU数
・CTR ・CPC
この数値ばかりこだわっていると、大事なところを見落として、結果、大変な自体を招く可能性があります。
昨年末に大手ビジネス誌が特集して明るみにでたデジタル広告を取り巻く問題の1つが、大手ナショナルクライアントの広告が某巨大掲示板やまとめサイト、あるいは政治的な要素やアダルト色の強いサイトになど、公序良俗に反する不適切なサイトに表示されていた「ブランド毀損」の問題です。
記者がクライアントの担当者へ行った取材によると、ほぼ全てのクライアントが自分たちの広告が不適切なサイトに掲載されていても、その事実を把握していなかったと答えたそうです。
ここで、これまでお話してきた動画広告の特徴を振り返ると、動画広告は静止画広告に比べて制作コストこそバナーよりも大きなものとなってしまいますが、その分、与えられる情報量が多く、視聴者へ強い印象を与えることができます。
そんな影響力のある動画クリエイティブがクライアントの意図に反する不適切なサイトに出てしまうということは、ネガティブな印象を強く与えてしまうということになり得るのです。
せっかく高いコストをかけてイメージアップのためにタレントを採用して綺麗な印象の動画を制作しても、それが不適切なコンテンツに表示されてしまうことで、かえって、ブランドイメージが悪くなったり、ひどい場合はユーザークレームにつながったというケースも実際あるようです。
再生数などの数字だけを追ってとにかくたくさん配信をする、というやり方だけは絶対にしてはいけません。
こうしたブランド毀損のリスクを排除して広告を配信することをブランドセーフティと言います。
影響力のある動画広告は、特にブランドセーフティを念頭に
配慮すべきはブランドセーフティだけではありません。
国内最大手のアドベリフィケーション事業を行っているMomentum社の調査によると、国内のプログラマティック広告の取引において、アダルトやヘイトスピーチなどを含むブランド毀損リスクのあるページに広告が表示されていた割合(ブランド毀損リスク)は全体の11.2%。ボットや不正事業者によるアドフラウドの恐れのある広告(アドフラウド)は全体の9.1%。そもそも視認できる場所に配置されている広告(ビューアビリティ)は全体の41.0%となっています。
動画広告の場合、クリック単価でなく再生単価で出稿することが多いので、もし出稿した動画の41%しか見られていない、という状況だとすると、企業のマーケターにとっても、代理店にとっても恐ろしいと思いませんか?
アドフラウドも同様です。ボットなどの人間でないプログラムによる再生数は無駄な投資となるだけでなく、マーケティングにあたってノイズとなってしまいます。
だからこそ、ブランドセーフティだけでなく、アドフラウド、ビューアビリティの3つの点に配慮した、アドベリフィケーションをしっかり行う必要があります。
世界一広告費に投資をしているP&Gやユニリーバなど、世界的な大手広告主も、ブランドセーフティに関しては非常に重要視されており、公式にこの危険性を提言しています。
その他、世界最大級の広告代理店ハバスが、不適切なコンテンツへの対策が不十分であったYouTubeから撤退し、反発の姿勢をとった、など、グローバルではこれに関連して様々なニュースを目にします。
<広告プロモーションにおけるリスクがもたらした様々なニュース>(海外編)
世界の2大広告主、P&Gとユニリーバがデジタル広告費を削減
世界最大級の広告代理店がユーチューブから撤退 悪質動画に反発
そのインプレッションに価値はあるのか?先行く米国で根付く「ターゲットリーチ」という新たな指標
日本国内においても例外ではありません。
なお、WFA(世界広告主連盟)が2017年に実施したグローバルなブランドマーケターへの調査によると、70%のマーケターがブランドセーフティへの投資額を増やすつもりであると回答しています。
出典:
Global marketers making radical changes to media management/World Federation of Advertisers
このように、特に動画広告においては、「ブランド毀損」の部分をしっかりと対策したうえで、最適なプランニングを行う必要があります。
これは我々動画広告を提供するベンダーとしても他人事ではありません。一度でもブランド毀損が起こればクライアント様からの信頼を大きく失ってしまうことになりますし、クライアント様・代理店様にとっても、生活者からのブランドイメージが低下してしまうことは売上にも直接的な影響を与える危険があります。
動画広告の成功の秘訣は適切なペルソナとマーケティング設計にある
動画広告は非常に効果的なプロモーション手法ではありますが、気をつけないといけない点もある、ということをご理解いただけたと思います。
今度はこれらを踏まえたうえで、いざ動画広告を活用しようというフェーズで設定すべきターゲットについてお話していきます。
設定したターゲット層が実は間違いであったり、目先の数字指標に縛られた効果検証をしていては、動画広告の効果を十分に発揮できません。
繰り返しになりますが、動画広告は静止画に比べて圧倒的に多くの情報量を伝えることができ、ユーザーへ与えるインパクトも大きい広告です。この特性を活かして、動画広告を市場調査やプロダクトマーケティングの手段として活用しない手はありません。
広告主様が持つ1stパーティーのユーザーデータはもちろん、2nd、3rdパーティーのあらゆるデータを掛け合わせた分析によって、広告に接触したユーザーの姿を可視化していくことができます。
動画広告を配信するだけで終わるのでなく、配信結果からターゲットが正しかったかの答え合わせ・反響の検証を行うことによって、これまでアプローチできていなかった新たなターゲット像の発見や、可視化したユーザー層にあわせた的確なメッセージの打ち出しによって広告効果の最大化が可能となります。
次に繋がるマーケティングデータの蓄積・ファネル設計ができるからこそ、動画広告は実施価値があり、マーケティングこそが動画広告の真髄であると考えています。
まとめ
以上、動画広告の基本と、実践にあたって注意すべき点や、マーケティングの事例などを解説させていただきました。
Supershipは、スマートフォンにおける動画広告を活用したデジタルマーケティングを行うパートナーとして、様々な企業や代理店様とのお取引実績が多数ございます。
動画広告を活用したデジタルマーケティングで、獲得やブランディング施策の最大化にご興味をお持ちいただいた方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。