セミナーレポート

【レポート】すげーと言われるために、インターネット広告ができること ~正しいことを正しく行うためには何が必要か〜

2021年12月17日(金)に「すげーと言われるために、インターネット広告ができること~正しいことを正しく行うためには何が必要か」というテーマでウェビナーを開催しました。
ウェビナーでは、インターネット広告代理店でアフィリエイト・サービス・プロバイダとしての側面も持つアドウェイズ社の山田 翔社長と、アドベリフィケーションに対する課題解決ソリューションを提供しているMomentum社の瀬戸 亮社長に登壇いただき、お話を伺いました。

本ウェビナーの目的

インターネット広告に関わり、「社会的な広告の意義」を強く意識されている両者が、事業を通じて社会に提供できる価値や、解決すべき課題について何を考え、今後どのように取り組んでいくのかを明確にしていきます。本セミナーを通して、セミナーに参加して下さるプレイヤーであろう方々に、「より良いインタ―ネット広告とは何か」について考えるきっかけにして頂きたいと考えています。

プロフィール

山田 翔(株式会社アドウェイズ)

山田 翔(株式会社アドウェイズ)
代表取締役社長

2007年アドウェイズに入社後、新規メディアの立ち上げを担当。2012年新規事業開発室室長に就任。2014年4月にアドウェイズ執行役員、2016年1月に上席執行役員に就任。2016年6月に取締役に就任後、2021年7月より現職。

瀬戸 亮(Momentum株式会社)

瀬戸 亮(Momentum株式会社)
代表取締役社長

インターネット企業の経営企画業務、M&A等を経験後、国内アドテク企業のIPO担当を経て、株式会社ドリコムにて経営企画のマネジメント等幅広い業務に従事。2018年12月Momentumに入社し、2021年より現職。

川口 あい(株式会社ユーザベース)

モデレーター:川口 あい(株式会社ユーザベース)

NewsPicks Studiosシニアエディター。昭和女子大学大学院文学研究科修士課程修了。小学館クリエイティブ、ハフポスト日本版Partner Studioチーフ・クリエイティブ・ディレクターを経て現職。

本質的な広告ビジネスの可能性

ではまず、本質的な広告ビジネスの可能性についてお伺いしていきたいと思います。山田社長が考える「本質的な広告ビジネス」とは、どのようなものでしょうか。

山田:これまでさまざまな広告ビジネスを作ってきた中で「本質的な広告ビジネスとは何か?」と考えた時、ユーザーにとって「価値のある情報」を広告を通じて届けた結果、広告主の収益に繋がり、広告主のビジネスが拡大し、広告への投資が増えるという循環が大切なのではないかと感じるようになりました。広告事業者が自社の利益だけを追求するために、ユーザーを欺くような広告や不快に思わせるような広告が蔓延する昨今、広告を見るユーザーの事を考え、「価値ある情報」として広告を提供する仕組みを作り、それが広告主の利益にも繋がる。これこそが、本質的な広告ビジネスだと考えています。今はまだそのすべてを実現出来てはいませんが、自分たちがなりたい姿として掲げていくべきだと思い、強くメッセージングしています。

強めにメッセージングするようになったきっかけはあるのでしょうか?

山田:弊社は上場企業なので、大前提として持続的な成長が求められます。「他社がうまくやっているから」「この方法が効果的だから」という理由で仕事をしていると、どうしてもそういった手法に流れてしまい、本質に向かうことが難しくなってしまいます。だからこそ「会社として本質的なビジネス以外はやらない」ということを断言し、そのように舵取りをしています。

瀬戸:規模が大きくなった会社でそのような意思決定をするということが凄いですね。ステークホルダーが多い中で実行して、それを経たうえで成長軌道に乗せていけたというのは、凄いの一言です。

広告本来が持つ、可能性と価値とは

本質的な広告ビジネスを語る上で、「広告本来の可能性、価値」とは一体何でしょうか。そしてそれが今、失われてしまっているのはなぜなのでしょうか。

山田:広告は一般消費者の方が普通に生活していると出会えないものに出会える、セレンディピティを得られるような存在であるはず、と思います。一方、昨今では同じような広告に追いかけまわされるような「気持ち悪さ」を感じるケースも増加しています。
そのためか広告のあるべき姿や、広告本来の価値が徐々に損なわれているのが現状です。一因として、広告主や広告事業を展開している私たちが利益を追求しすぎた結果なのではないかと考えています。私たち広告事業者は利益の追求だけではなく、広告主や広告に接触するユーザーなど関わるすべての方々に対し、どのような価値を創出し事業が出来るか、を考える必要があります。

とは言え、代理店目線ではクライアントさんの都合等もあるかと思います。どのようにしてバランス良く変化していくのが望ましいのでしょうか。

山田:弊社のサービスであるUNICORNの事例で言いますと、新しい取り組みを始める時に、理解されないことも多々あるので、クライアントには「弊社でコスト負担するのでやってみて欲しい」と提案します。施策実施後に「どういう意味があったか」を一緒に分析し、その事例を持って横展開していく、という手法を取り入れています。こういった取り組みを通して信頼関係を築いたクライアントや外部のパートナー企業が徐々に増えていっています。

瀬戸:「忍耐」ですね。自己利益で回っていく期間が長かったので、そこから戻していくには相当の時間がかかると思います。一時生じる売上低下などのダメージに耐えられるよう、他の事業で担保しながら会社が成長し続けることが求められるわけなので、更に難易度は高かったのではないでしょうか。
でも、広告ってありがたいですよね。広告が出ていることによって、例えば便利なアプリやサービスが無料で使えるようになったりとか。

山田:そうですね。しかし、このままではユーザーがどんどん広告を嫌いになって、最終的に「広告なんてなくなればいい」という話にもなりかねません。そうすると媒体側は「広告収益が無くなる代わりにサービスを有料化します」となり、結果、今まで無料だったサービスが使えず、ユーザーにとっても不便になる。こういった負のスパイラルにはまってしまう可能性がおおいにあります。だからこそユーザーにとっての広告は意味があるものにならなくてはいけないし、それがきちんとビジネスにならなければいけないと思います。

「本質的な広告ビジネス」を実現するためには

利益を上げながら「本質的な広告ビジネス」を実現するには、どうすればいいのでしょうか。

山田:まず「上場企業」を前提に考えると、投資家の皆さんも「今後の広告ってどうなるの?」という視点で見ていらっしゃいます。現在、広告業界は様々な企業が存在し、業界全体の調子が良いように見えますが、一般論的に「広告は嫌われているし、規制もすごく厳しくなっているのでこのままではまずいのでは?」と懸念されている事実があります。だからこそ「本質的な事業で成長させようと思っている」という話は投資家の方にも受け入れられますし、理解されやすくなっていることをこの3~4年で感じています。

ESG投資やコーポレートガバナンスコードも変化している中で、より良い企業活動やソーシャルグッドな概念に関しては、投資家の見方も変わってきていらっしゃるのかもしれませんね。

山田:SDGsの観点でも、広告業界自体はSDGsの概念の範囲に入っていないように見えますが、経済発展と社会的課題の解決など、事業を通して貢献出来得る項目は沢山あると思っています。
たとえ、どんなに私たちが収益を上げたとしても、裏側で本質からずれた良くないことをしていたら、「やっぱり広告や広告事業会社は良くないんじゃないか」という反応を生んでしまいます。
先ほどのどうやって利益を上げるのか、という点については、その市場で本質的に利益を上げようとしている企業がいなかったら、ブルーオーシャンです。短期的にはやりづらいですが、中長期視点で見るとかなりの成長市場です。すべてのステークホルダーに価値を提供することと利益を上げることを両立すればいいだけの話ですが、現実とのギャップが大きすぎるという難しさはありますね。

瀬戸:全うにやるとブルーオーシャンになるっていうのは、言い得てるなと思いますね。弊社はアドベリフィケーションを生業にしていますけども、まさに私たちがやろうとしていることとも近いなと思いました。我々のソリューションも含めアドベリフィケーションって贅沢品(コストが比較的高い)と言えます。いわゆる大手企業やトップブランドしか導入出来ていないのが現状で、国内では約2兆円のデジタル広告費のうち、およそ10億円しかアドベリフィケーションに投資されていないという状況です。一方、グローバルでは広告費のうち約10%はアドベリフィケーションに投資されている状況です。比較するととんでもない状況ですが、そこを諦めちゃいけないと思っています。

「無価値な広告」とは

アドベリフィケーションの話もありましたが、Momentumが考える「無価値な広告」とは何でしょうか。

瀬戸:今日のウェビナー冒頭でも話にあがった「本来の意味を失った広告」はまさにそれに該当すると思います。本来は良い広告なのに、ユーザーに全く見られていなかったり嫌われていたり。狙っている効果を得られず全然違う反応をされてしまうものもそうだと思います。例えば、ポイントを獲得できるようなサイトだとどんなに良い広告があったとしても、どうしてもポイント目当てになってしまいます。

山田:興味を持ってクリックしているのではなくて、ポイントをもらえるんじゃないかと思って誤認してしまう、という事象ですね。

瀬戸:そうですね。あとはリターゲティング広告のような、効果は期待できるかもしれないが一つの面で同じ広告が複数表示されるような事例は、逆に広告のことを嫌いになってしまう恐れがあるので、そういうものはやはり価値があるとは言えないと思います。
例えば、皆に広く理解・認知して欲しいという意図で広告を出した時、そうじゃないことをユーザーに想起させてしまったら、それは広告としては良くないんじゃないか、と。だからこそ私たちはそういった部分をスムーズにアジャストしていきたい。無価値な広告をゼロにすることをミッションに掲げてはいるものの難しいことなので、徐々に減らすことやユーザーの「見たい」「見たくない」の要望に応じてすみ分けられる世界をつくっていけたら、と思っています。

アフィリエイト広告の現状

アフィリエイト広告の現状はどう捉えていらっしゃいますか。

山田:アフィリエイト広告が悪だ、という認識が広まっているように感じます。アフィリエイト広告の仕組みを活用してコンプレックス商材をユーザーに押し付けるような事例が増えた、という事実はありますが、アフィリエイト広告の全てが駄目というわけではありません。一見、特徴が理解しづらい商材であるクレジットカードを例に挙げます。クレジットカードの比較サイトには一つ一つのリンクにアフィリエイト広告が埋まっていますが、アフィリエイト広告があるからこそ、商材を比較するコンテンツを作成する人が増加しました。ユーザーが閲覧・比較していずれかのクレジットカードに申し込めば、作成者は報酬がもらえる、というわけです。

瀬戸:クレジットカードのように選択肢が多い商材は比較しないとわからないですからね。

山田:そうなんです。単純な意思決定が難しい商材とアフィリエイト広告はすごく相性が良いです。アフィリエイト広告と一緒にコンテンツを提供することで、比較、検討した上で選択が出来るユーザーが増えるという意味ではすごく良いものですけど、一部過激なものがあるがゆえに、アフィリエイト広告のイメージが悪くなってしまっているので、そこに関しては残念な気持ちでいます。

本質的な広告ビジネスを実現するために今後、取り組むべきこと

正しいリテラシーを持ったうえでの判断が必要となりますね。では、最後の質問となりますが、今後、本質的な広告ビジネスの実現や無価値な広告をゼロにするために両社はどのようなことを行っていくのでしょうか。

山田:広告主のビジネスが成長できる広告配信を実現することです。また、きちんとユーザーが増えていくということが担保されなければいけません。「お金は使ったけど意味がなかった」となれば広告産業がどんどん廃れてしまいます。必ずビジネスの成長に寄与出来るような広告配信を追求し続けていくことが前提です。そのうえでユーザーと広告を通して適切なコミュニケーションが図れているのか、価値のある情報を届けられているかという点も加えてやっていくことが重要だと思っています。

瀬戸:まず全体として無価値な広告を減らしたいと思っているので、アドベリフィケーション対策をやっていない方々には是非やってもらいたいです。私はこの先3年くらいは採算度外視で、今日お話したような価値観の啓蒙をしていきたいと思っています。且つ、首都圏のみならず、地方の代理店さんや企業さんにもアプローチしていきたいです。そういった裾野を広げていく活動と、フェイクニュースの対応など、私たちに期待されていることも増えているので、それに対して応えていきます。

本日はありがとうございました。



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