2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

広告主のためのアドベリフィケーション入門(後編)〜4つのステップで“アドベリ”の費用対効果をアップ〜

コラム

広告主のためのアドベリフィケーション入門(後編)〜4つのステップで“アドベリ”の費用対効果をアップ〜

アドベリフィケーション専業ベンダーとして代理店や広告主等に向け様々なソリューションを提供している、Supershipのグループ会社 MomentumにてHead of Business, Sales, Partnership を務める柳谷 俊輔が、広告主にとってのアドベリフィケーションの必要性について解説する「広告主のためのアドベリフィケーション入門」。

前回の記事では、「そもそも何故“アドベリ”が必要?」と題し、アドベリフィケーションで検証する項目や、アドフラウドのリスクなどについてお伝えしました。

本記事では、広告主がアドベリフィケーションを実践するに際し、その効果を十分に発揮し、広告の費用対効果を向上させるための4つのステップについて解説いたします。

※この記事は、「Web担当者Forum」に寄稿させていただいた記事を再構成したものです。


アドベリフィケーション、4つのステップ

1. 自社の広告配信の状況を把握する
2. アドベリフィケーションの施策としてどういった方法があるのかを知る
3. 自社に合った方法を選定して実施する
4. 実施した施策を検証する

 

【ステップ1】
自社の広告配信の状況を把握する

まずは、自社のプロモーションにおいて、どんなデジタル広告が配信されているか、現状を把握してみましょう。

<デジタル広告の種別>
運用型広告(プログラマティック広告)
予約型広告(枠買い広告、純広告とも)

運用型広告に限らず、予約型広告も含めたプロモーションの現状を把握することで、アドベリフィケーションの優先度やアプローチは変わってきます。例えばPMP(※)のようにプログラマティックであっても枠買いに近い要素を持っているものは、緊急度は低い、といった判断で優先度を下げて問題ないかと思います。

※ PMP・・・プライベートマーケットプレイスの略。参加できる広告主とメディアが限定されたプログラマティック広告の取引市場。広告主にとっては質の高い枠に絞って広告を出稿できる利点がある。

運用型広告の場合は、広告配信プラットフォーム側がアドベリフィケーション対策機能を備えているか、あるいは第三者のアドベリフィケーションベンダーを受け入れる体制が整っているか、いずれかの条件を満たしているかを確認する必要があります。

以前に比べれば状況は改善されつつあるものの、まだまだ体制が整っていないプラットフォームやメディアも存在するため、まずは自社の広告配信が経由しているプラットフォームがアドベリフィケーションに対応可能なのかを確認したうえで、対策を優先すべき広告配信はどれか、優先順位をつけましょう。

 

【ステップ2】
アドベリフィケーションにはどのような方法があるのかを知る

自社のデジタル広告配信の現状を把握したら、次は、どういった方法でアドベリフィケーションを実施できるかを確認します。

アドベリフィケーションには、「アドベリフィケーションベンダーのサービスを活用する方法」と「自社または代理店側で行う方法」の2つのパターンがあり、一般的なのは前者です。まずはこちらから説明します。

 

アドベリフィケーションベンダーを活用する方法

アドベリフィケーションベンダーは世界に数十社あります。日本では、筆者の所属するモメンタムをはじめとする専門ベンダーのほか、事業の一角としてアドベリフィケーションツールを提供するベンダーを合わせても、10社に満たない程度です。

それぞれの特徴によって異なりますが、アドベリフィケーションベンダーを活用する場合は、広告配信前(Pre)広告配信中(Post)広告配信後(After)の3段階のタイミングで対策を行うことができます。
ここでは、一般的な「Post-Bid対応」と「Pre-Bid対応」について詳しくご紹介します。

3段階のタイミング

 

Post-Bid対応とは?

「Post」は「~のあとに」、「Bid」は「入札」という意味です。つまりPost-Bid対応は、入札をしたあと=広告配信をした結果、どれだけの「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」のリスクがあったのかを可視化し、リスクがあった場合に対応を行う方法です。

たとえば、「ブランドセーフティ」の場合で説明すると、公序良俗に反する面に配信された場合は、

代替広告に差し替える
背景色を被せることによってユーザーに視認されないようにする
クリックをさせないようにする

などの対策をとって、ブランドリスクを下げます。

ただし、広告配信自体が行われた後での対応になるため、CPM(Cost Per Mille=1000インプレッション単位の課金)形式の広告配信の場合は、インプレッション数に応じた課金が発生します。

Pre-Bid対応とは?

「Pre」は「~の前に」という意味です。Pre-Bid対応は、DSPからの広告配信リクエストがあったとき、入札をする前に、そのリクエストが事前に設定していた「リスク」(アドフラウドやブランドリスクなど)か否かを解析します。そして、もし「リスク」であった場合、Bidリクエスト自体を止めるという処理をおよそ数ミリ秒以内で処理する方法です。

Pre-Bid対応はBidリクエスト自体を止めるため、広告が配信されない、つまり無駄な広告配信費が発生しないというところに特徴があります。これがPost-Bid対応ともっとも異なる点です。

ただし、

● プラットフォーム側での設定時に追加料金がかかるケースがある
● アドベリフィケーションベンダーとDSP等の配信プラットフォームでPre-Bid用の連携がなされている必要がある

など、一概にPre-Bidが優位とは言えないケースもあるので、事前に契約条件などを確認したほうがよいでしょう。

 

自社または代理店側でアドベリフィケーションを行う方法

広告主や代理店によっては、これまでの配信実績をもとに、ドメインやURLのブラックリストを保有している場合があるかと思います。そのブラックリストを、広告配信を除外するリストとして、利用しているDSPやアドネットワークに設定することでリスクを下げることができます。

この方法のメリットは、それぞれの広告主が定めた独自の基準に沿ったブラックリスト運用が可能になるという点です。

ただしリスクもいくつかあります。その一つが「リストの更新頻度」です。
インターネット上では日々新しいドメイン、URLが生まれては消えていきます。つまり過去の配信実績だけでは、新たに生成され続けるブラックなドメインを捕らえきれません。

一方、アドベリフィケーションベンダーの作成したブラックリストを使って価値のない広告配信を除外することも可能です。こちらのケースでは自社でブラックリストを運用していくのに比べて、リストの更新頻度が高く、また広告主の配信実績に関わらず対策を行うことができるため、より高い効果が得られるでしょう。

 

【ステップ3】
自社に合った方法を選定して実施する

アドベリフィケーションの実施方法を決定したら、できるだけ早く実行に移しましょう

ベンダーを利用する場合、実施に必要な作業は比較的簡単です。

【Post-Bidの場合】
ベンダーから付与される解析用のタグを広告と併せて入稿する
【Pre-Bidの場合】
管理画面上からアドベリフィケーションに関する項目をオンにする など

ただし実施する前に検討しておかなくてはならないのが、アドベリフィケーションの費用の問題です。個人的には、これが日本企業のアドベリフィケーション導入における課題の1つになっていると考えています。

 

アドベリフィケーション費用のシミュレーション

アドベリフィケーションを実施すれば、もちろん費用が発生します。この費用は通常、CPMで課金されます。アドベリフィケーションの費用を加算したCPMを通常の広告のCPMと比較すれば、表面的には単純な費用増と見なされてしまうことが多く、これをもって「アドベリフィケーションは費用対効果が低い」と誤解され、結果として施策が頓挫してしまうケースがあるのですが、ここは費用の内訳を正確に見たうえで比較検討する必要があります。

アドベリフィケーションを実施する場合としない場合の費用比較(例)

アドベリフィケーションの施策を何も行なっていない場合、ブランド毀損やアドフラウド等のリスクのある「無駄なインプレッション」にも費用を支払っていることになります。つまり、CPMで支払っている広告費の中に「無駄な費用」が含まれているのです。

これに対し、アドベリフィケーションを行なっている場合は、そういった無駄なインプレッションへの支払いをカットすることができます。

アドベリフィケーションを実施した場合としない場合、両方のケースを「実際のCPM」で比較してみると、導入したほうが「費用対効果が高い」と言える場合が多くなるはずです。

 

【ステップ4】
実施したアドベリフィケーションの施策を検証する

アドベリフィケーションの実施が完了したら、さらなる改善へつなげるための検証を行いましょう。

検証の際には、モメンタムを含めた各アドベリフィケーションベンダーが計測・開示している「Norm値」(基準値、標準値)をもとに、自社の検証結果のデータと比較することで、業界水準と比べて良い数値かそうでないかを判断することができます。

そのうえで、良い結果が出なかった場合には、ブラックリストを精査したり、配信プラットフォームを変更したりといったアプローチをして数値の改善を図りましょう。

モメンタムでは、2018年1月、「アドベリフィケーション推進協議会」において、国内のNorm値を掲載した実態調査レポートを公開しました。ご参考までにご覧ください。

他にも、アドベリフィケーション施策を行なった際に注意する必要があるのが、CPC(クリック単価)、CPM(インプレッション単価)を中心とした、既存のKPIでの比較についてです。

たとえばCPCをKPIとして追っていた場合、偽装クリックを含めたアドフラウドによるクリックを除去することでCPCが大きく上昇するケースがあります。CPMも、アドフラウドによるインプレッションや視認されていないインプレッションを除去することによって上昇する傾向があります。

こういった理由から既存のKPIだけに囚われるのではなく、vCPM(※)を始めとした新たなKPI指標を定義する必要があり、広告主側でもそれを求める傾向が強くなっているように思います。

※ vCPM・・・ビューアブルCPM。実際にユーザーが閲覧できる状態にあったインプレッション1000回あたりの広告コストを指す。

新たな広告KPI「True impression」

モメンタムでも、新たなKPIとして「True Impression」を定義しています。

<True Impression>
ブランドリスクが無く、ビューアブルであって、アドフラウドも無いインプレッションを示す指標で、真に価値ある広告がどれだけ配信できているかを示す

こちらの指標を用い、業界水準と比較することで、自社の広告が価値あるものになっているかを判断できますし、一度測定できれば、True Impressionに対しての費用対効果を見ていくことも可能です。

こういった指標を新たなKPIとして利用いただくことが、プログラマティック広告の分野において透明性を担保するために重要になっていくのではないでしょうか。



Momentum株式会社

モメンタムは、日本語に特化した言語解析技術を基盤に日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションカンパニーです。アドフラウド対策やブランドセーフティにおいて世界最高水準の認定団体である「Trustworthy Accountability Group(TAG)」より日本で初めて認定を受け、さらに「Media Rating Council(MRC)」の認定を受けたパートナーとの連携によりビューアビリティ計測にも対応し、全方位型で精度の高いアドベリフィケーションソリューションの開発・提供を行っています。

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SupershipグループのMomentumは、日本語に特化した言語解析技術と独自データを活用したアドフラウド検知技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションソリューションカンパニーです。アドプラットフォーム・広告主・広告代理店など、様々な企業のニーズにあわせた「HYTRA」ブランドのサービスを提供しています。

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