「Pontaパス」アプリ再来訪率2倍の裏側―「施策の分断」を乗り越え、“手探りのCRM”を“データドリブン”に変えたSupershipの伴走力
総会員数1,500万人超。エンタメ、おトク、あんしんといった多岐にわたる特典を提供するKDDI株式会社のサブスクリプションサービス「Pontaパス」。その裏側で、SupershipはCRM(顧客関係管理)戦略の策定から施策実行、分析までを一貫して支援しています。
膨大なサービス群を前に、お客様一人ひとりに最適な体験をどう届けるべきか―。多くの大規模サービスが直面するこの難題に、Pontaパスのマーケティングを率いるKDDIの加藤様は「正解がなく、手探りの状態だった」と当時を振り返ります。
なぜ、データに基づいた改善活動が思うように進まなかったのか。そして、Supershipを「伴走者」として選んだことで、現場にどのような変化が起きたのか。本プロジェクトのキーパーソンであるKDDI株式会社の加藤様と、Supershipの担当者との対談を通し、事業成長を加速させたパートナーシップの裏側に迫ります。

【登場人物】
- KDDI株式会社 パーソナル事業本部 マーケティング本部 サービス推進部 マーケティンググループ GL 加藤 千晶 様
- Supership株式会社 ビジネスプロデュース部 データマーケティングプロデュースG 猪股 信哉(本プロジェクトの分析・戦術設計担当)
- Supership株式会社 ビジネスプロデュース部 データマーケティングプロデュースG 佐藤 遼平(本プロジェクトのPM・施策実行担当)
施策もツールも「分断」され、事業インパクトが見えない。Pontaパスが抱えたジレンマ
——まずはじめに、加藤様が担われている役割と、Pontaパスがどのようなサービスか改めてご紹介いただけますでしょうか。

加藤様: Pontaパスのマーケティングにおいて、新規会員の加入促進から、Pontaパスアプリの利用を促すサービスへの送客、既存会員様の利用継続までを統括しています。
「Pontaパス」は、ローソンで使える週替わりのクーポンや映画割引といった「おトク」、映像・音楽・雑誌などの「エンタメ」、スマホのデータお預かりやセキュリティ機能などの「あんしん」という、大きく3つの価値を提供するサブスクリプションサービスです。
1年前に「auスマートパス」からリニューアルし、auユーザー以外の方にもPontaパスのサービスをご利用いただくことを目指すという大きな転換期をむかえました。
——それだけ多岐にわたるサービスを提供していると、課題も複雑だったのではないかと思われます。
加藤様: はい。Pontaパスは多くのサービスを1つのアプリを起点に提供しております。注力しているローソンクーポンはもちろんのこと、新しいサービスをお客様に提供しております。
それ故に、「お客様に何をどう伝えていけば、サービスの価値を実感して長くご利用いただけるのか」という問いに対する明確な正解がなく、手探りの状態でした。お客様のニーズに沿ったサービスとの出会いによる価値提供ができなければ、お客様の休眠化や退会にも繋がってしまいます。
また、施策設計・実行面ではPUSH通知やアプリ内のポップアップなど、マーケティングの施策ごとに使用するツールが異なり、業務フローやコミュニケーションが分断されていました。
効果検証・分析面においては各施策のレポートは存在するものの、「このPUSH通知を送った結果、最終的に有料会員の継続率が何%改善したのか?」といった、事業インパクトに繋がる横断的な評価ができていませんでした。結果として、どの施策に注力すべきかの判断が難しくなっていました。
——総会員数1,500万人を超えるサービスにおいては、何よりも提供するサービスの安定性を保つことが最優先されるかと存じます。マーケティング施策などの改善活動にリソースを割くのは難しかったのではないでしょうか。
加藤様: その通りです。日々の運用や、お客様にご迷惑をおかけしないためのサービスの安定稼働といった「守り」の業務は絶対に止められません。限られたメンバーのリソースはどうしても「守り」に割かれてしまうため、データ分析に基づいた改善といった「攻め」の施策は「後回しにされてしまう」状況でした。
やりたいことはたくさんあるのに、なかなか一歩を踏み出せない。そんなジレンマを抱えていたのが、プロジェクト開始前のリアルな状況でした。
「ハブ」として機能し共通目標を設計。Supershipが持ち込んだ「客観的な視点」と「実行力」
——そうした中で、Supershipがパートナーとして支援させていただくこととなりました。
加藤様: Supershipさんはデータに強く、かつそれを分析して「こう改善すべきです」と提言するだけでなく、具体的な施策として「実行」まで責任を持って担ってくれるのが大きかったですね。
そして、Supershipさんに加わっていただいたことによる何よりの変化は、プロジェクト推進のスピードです。KDDI社内にSupershipメンバーが常駐することで、週1回のミーティングだけでは得られない「圧倒的に情報量が違う」状況が生まれました。チャットや対面ですぐに「そこはそうじゃなくて…」と軌道修正できるこの密な連携が、意思決定の速度を劇的に上げてくれました。

(本プロジェクトの分析・戦術設計担当)
猪股: 我々の役割は、単なる配信システムの入稿や分析レポートの提出といったデータ領域のみの価値提供ではありません。データ分析部門、サービス企画部門、システム部門など、複数の部署の間に立つ「ハブ」として、データという客観的な事実を元に、事業成長に繋がる示唆・施策の設計を行い、実行まで推進することこそが、Supershipが提供する価値です。
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施策の分断という課題に対しては、まず事業目標(KGI)から逆算したKPIツリーを設計し、施策を評価するための「共通言語」を作りました。そして、各ツールから出力されるレポートを我々が統合・分析し、施策横断での貢献度を可視化する仕組みを構築しました。
加藤様: まさに「ハブ」の存在が大きいです。社内だけだと、どうしても予算感や様々な組織の事情、時には「しがらみ」に囚われてしまい、お客様にとって本当に価値のある施策が何かを見失いがちです。そこに社外の客観的な視点と、データという“動かぬ証拠”を持って「こうすべきです」と意見をもらえるのは、本当にありがたいと感じています。
——そのプロジェクト推進のスピードはどのようにして生まれたのでしょうか。
猪股: プロジェクト当初から「OODAループ」の考え方を強く意識しました。緻密な計画を立てるPDCAとは異なり、まずObserve(観察)で現状を把握し、Orient(状況判断)で仮説と検証する施策設計を立て、Decide(意思決定)したら、すぐにAct(実行)に移す。このサイクルを高速で回すことで、変化の速い市場やお客様のニーズに迅速に対応できます。「まずはミニマムな形からでもいいから仮説を検証してみて、結果を見て改善する」という、実行を重視するアプローチが、このプロジェクトには不可欠だと考えました。

データが導いた「勝ち筋」。大規模開発なしの「初心者LP」施策でアプリ再来訪率2倍を実現
——その「OODAループ」によって生まれた具体的な成果について、より詳しく教えていただけますか?

(本プロジェクトのPM・施策実行担当)
佐藤: 我々が徹底したのは「データを見て、仮説を立て、施策をミニマムに試してみる」というサイクルです。その象徴的な成功事例が、新規ユーザー向けの「初心者LP(ランディングページ)」施策でした。
猪股: まず、お客様のPontaパスへのご入会から初回利用、利用継続・退会に至るまでの行動を分析し、一連の「ジャーニー」を描くことから始めました(=Observe “観察”)。その中で、「長くサービスを使い続けているお客様は『お気に入り』機能を頻繁に利用している」という明確な傾向を発見しました。
これをお客様視点で捉え、「初期段階で離脱するお客様はサービスを使いこなす機能に気づけず、コンテンツの多さに戸惑っていたのではないか」という仮説を立てました。そのうえで、「新規のユーザーにもお気に入り機能を知っていただき、活用方法をおすすめすることで、お客様がPontaパスをご利用しやすくなるのでは」と考えました(=Orient “状況判断”)。
佐藤:その仮説を検証するために、数ヶ月かかる大規模な開発ではなく、まずは簡単に作成が可能なアプリ用WEBページ(LP)を制作して効果を測ることを決定しました(=Decide “意思決定”)。そして、お気に入り機能の便利な使い方を分かりやすく解説する「初心者LP」を制作し、新規会員様を対象にアプリ内で案内を開始しました(=Act “実行”)。
結果は明確で、LPを閲覧したユーザーは、閲覧しなかったユーザーに比べて、アプリの再来訪率が2倍に向上するという成果に繋がりました。
加藤様: この施策は、まさにSupershipさんと共にだからこそ実現できた好例です。数ヶ月かかるような大規模な開発改修ではなく、データに基づいた小さな仮説検証をスピーディに回していく。この「ミニマムでもまずやってみる」という姿勢が、「簡単なのに効果が出る」という着実な成果を生み出しています。

——PUSH通知施策でも成果が出ていると伺いました。
加藤様: はい。「併用利用」の促進施策ですね。Pontaパスの多岐にわたるサービスの中でお客様がどのような組み合わせをご利用されると、より長くPontaパスを楽しんでいただけるのか。それをSupershipさんに分析してもらったところ、特定のサービスが利用継続の向上に大きく貢献していることがデータから明らかになりました。
猪股: その分析結果を元に、まだそのサービスを利用されていないお客様に向けて、単なる宣伝ではなく『メリットのある活用法のご提案』としてPUSH通知を配信しています。これも「やりっぱなし」ではなく、A/Bテストを繰り返しながら、最も効果的なご案内方法やタイミングを探求し続けています。
加藤様:もちろん、全ての施策が成功するわけではありません。ですが、Supershipさんは施策が成功しなかった場合でも、「なぜ成果が出なかったのか」をデータから分析し、次のアクションに繋がる「知見」として蓄積してくれます。実はこの「成功しなかった事例」の分析こそが、我々にとって非常に価値のある資産になっています。
「未来の体験」を共創する。データで顧客の体験を紡ぐパートナーシップへ
——最後に、プロジェクトの今後の展望と、Supershipへのさらなる期待をお聞かせください。

加藤様: Pontaパスの前身である「auスマートパス」は12年間続いたサービスで、これほど長い間ご愛顧いただいたサービスというのは周りを見渡してもなかなかありません。この価値をさらに高めていくための大きな一歩として、「Pontaパス」への改称や、auユーザーではない他キャリアをご利用するお客様にも開かれた接点をさらに創出するリニューアルを敢行しました。
これを後押しする存在として、Supershipさんにはこれからも、データという強力な武器を手に、新しい視点で我々をリードしてほしいと強く期待しています。データが物語る事実は説得力がありますし、何より分析だけで終わらず、実際に行動に移してくれて、一緒に汗をかいてくれるというのが本当にありがたいです。
佐藤: このプロジェクトはまだ始まったばかりだと感じています。今後は、お客様一人ひとりの利用状況や興味関心に合わせて、「次はこのサービスを使ってみませんか?」と、よりPontaパスを有効に活用していただけるような提案をするなど、更にパーソナライズされた顧客体験の提供を強化していきたいです。
私たちの特徴は、マーケティング課題の把握からプランニング、そして運用までを一貫して行うことです。これからも引き続き、お客さまの事業成長に深くコミットする「伴走者」として、データ活用やオンラインとオフラインを繋ぎ込む新しい体験の共創に取り組んでまいります。
猪股: 今後は、ユーザーが入会してから定着するまでのジャーニーに合わせたストーリーを強化していくことが重要だと考えています。お客様の趣味嗜好や行動、思考をデータからより深く読み解き、一人ひとりにとって最適な「Pontaパスの楽しみ方」という“ものがたり”を提案していく。そのために、新しいデータソースの活用や分析環境も取り入れながら、パーソナライズのさらなる高度化など、常に新しい挑戦を続けていきたいですね。
そして、今回のPontaパス様のような、変化が速く、目標が高い大規模サービスをご支援する中で得た知見は、他の企業様にも必ず活かせると考えています。「データ活用の第一歩が踏み出せない」「なかなか実行まで手が回らない」という企業様に対しても、我々のようなデータに慣れたメンバーが伴走することで、着実な成果に繋げられると確信しています。
——本日は貴重なお話をありがとうございました!

サービスグロースを担う皆様へ
KDDI様のように大規模なtoCサービスが抱える課題は、貴社にも共通していませんか?
- 施策・ツール・データが分断されていて事業インパクトが見えない…
- 既存業務に社内リソースが集中し「攻め」の改善活動ができない…
- データ分析から施策実行におけるノウハウや人材リソースの限界…
Supershipは、データ分析基盤の構築から、複数の配信ツールが混在する複雑な環境下での運用体制整備、そして成果を生み出す高速OODAループに基づく施策実行までを一気通貫で支援します。
もちろん、
『まずはデータ活用の一歩を踏み出したい』
『CRM施策の実行リソースが足りない』
といった、特定のフェーズでのお悩みに対しても伴走が可能です。
『そもそも何から始めるべきか整理したい』といったご相談も歓迎します。
弊社の専門スタッフによる無料相談を受け付けております。LTV向上・CX改善にお困りの企業様は、ぜひ以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

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