KDDIグループのデータテクノロジーカンパニー、Supership。2026年の新体制発足に際し、同社は「クライアントの利益最大化への貢献」を新たなスローガンに掲げました。代表・稲葉のインタビューを皮切りに始動したこの連載企画では、新体制のもとで推進される各現場の変革を、領域責任者たちのリアルな視点から明らかにしていきます。本記事では、広告とCRMの融合によってLTV(顧客生涯価値)の最大化を追求する「マーケティングアーキテクチャ機能」の責任者である松原が登場します。

松原 寛弥 Supership株式会社 マーケティングアーキテクト部 部長
大手通信会社にてマス・デジタルの統合マーケティングをリードしたのち、2017年にSupershipへ参画。 「Supershipならではのデータ価値の最大化」をテーマに、DMPを用いた0次分析や媒体DCR活用などの支援サービスを立ち上げる。並行して、数々のプロジェクトを通じて、データ起点のコミュニケーション戦略(上流コンサルティング)から施策PDCAの仕組み化までをハンズオンで実践しながら、自社のマーケティング支援領域を拡張させる役割を担う。 直近では「LTV最大化」を掲げ、広告とCRM領域を統合するマーケティングアーキテクチャを推進し、会社の成長を牽引している。
広告費の増大と、LTVが伸びない「分断」の正体
——LTV(顧客生涯価値)の向上が叫ばれていますが、多くの企業で成果が上がっていません。なぜでしょうか。
松原: 結論から言うと、マーケティング施策が「点」で管理され、顧客体験が分断されているからです。
インターネット広告への投資は年々拡大していますが、現場では新規獲得の広告部門が「CPA」を追い、CRM部門が「継続率」を追うというように、組織もKPIもバラバラになっています。
成果を上げるためには、こうした部分最適を脱却し、「LTV最大化」を目的にすべての施策を捉え直すことが重要です。
——具体的にはどういうことでしょうか。
松原: 私たちは、顧客との接点を大きく「認知・集客(広告)」と「契約前・後を含めたナーチャリング(CRM)」の2つのフェーズで捉えています。
一般的にCRMというと、購入や契約後のメール配信などを想像されがちです。一方で、LTVを高める上で今極めて重要になっているのが「契約“前”のナーチャリング」です。 広告で「自分にぴったりのサービスだ」と期待値を持ってもらっても、遷移先のLPやLINE、アプリでの初動体験が画一的であれば、顧客の熱量はすぐに冷めてしまいます。
だからこそ、広告で打ち出したメッセージや文脈を、その後のナーチャリング体験へとシームレスに引き継ぎ、連動させなければなりません。この「データと体験を循環させる一丁目一番地の取り組み」として、私たちはCRM領域の支援を強く推進しています。

LTV最大化を阻む、データと体験の「断絶」
——体験を線で繋ぐ上で、何が障壁になっているのでしょうか。
松原: LTV最大化を実現するためのコミュニケーションの変数は、大きく3つに分解できます。「①Data(何をシグナルに)」「②Logic(誰に/何を)」「③Action(どこで/どのように)」の3つです。これらの間の「結節点」がシステム的に接続されず、データと体験が断絶していることが最大の障壁です。
例えば、Dataのレイヤーにおいて「属性(静的データ)」と「行動(動的データ)」が分断しているとします。そうすると、顧客のステータスか、その瞬間の行動のいずれかでしかコミュニケーションができません。その結果、すでに購入済みの優良顧客に対して不要なクリエイティブを出し続けるなど、不快な体験を与えてしまいます。
また、Actionのレイヤーでチャネルごとの施策運用がバラバラだと、アプリ・LINE・メールで同じ顧客に同じ内容を何度も通知してしまい、それが「ノイズ」となって顧客の離反を促進してしまうのです。

「出口」のコミュニケーションから逆算し、実務で使える環境を整備する
——その「断絶」を、Supershipはどう解決するのですか。
松原:私たちは「マーケティングアーキテクト」として、まずはマーケティングに関わる構成要素の全体設計図を描きます。その上で、各変数や構成要素間で断絶が起きないよう、自らの手で「結節点」を泥臭く繋ぎ合わせます。
ここで重要なのが、システム構築を先行させるのではなく、「理想の顧客体験(Action)」から逆算するアプローチ(Action-Back)をとることです。
一般的なシステム構築では、「とりあえず全データを統合した巨大な基盤」を作りがちです。しかし、いざMAツール等で施策を打とうとすると、「データの粒度が粗くて出し分けに使えない」「連携にタイムラグがあり、顧客のモーメントを逃してしまう」といった壁に必ずぶつかります。これは、システム構築側とマーケティング運用側の視点が離れているために起こりがちな事象です。
私たちは、MAツールや広告配信プラットフォームといった「出口」が、具体的にどのような仕様で動き、どういう形式のデータを受け取れば発火(トリガー)するのか、実際の運用レベルまで熟知しています。
だからこそ、「その瞬間にそのメッセージを出すためには、裏側にどんなデータと環境が必要か」という出口からの精緻な逆算が可能になります。基盤を肥大化させていくのではなく、既存のシステム環境を活かしつつ、施策の実行に直結する「必要十分なデータマート」やAPI連携だけを、ピンポイントで実装できるのが私たちの強みです。

Fortunaデータが「AI効果」を高め、両利きの知見が「運用」を統合する
——システムを繋いだ後、どのように成果を向上させるのでしょうか。
松原: 結節点を繋いだ後は、そのパイプラインの上でパフォーマンスを継続的に向上させます。ここでSupershipの強みである「データ資産」と「運用知見」が活きてきます。
まず、LTV向上のためにはAIによる自動最適化が不可欠ですが、自社の保有データ(1st Party Data)だけではAIの学習材料として不十分なケースが多々あります。そこに、KDDIがお客さまから第三者提供の同意を得た属性情報・サービス利用情報(※キャリアデータ)を、プライバシーに配慮した形で活用できるパブリック DMP「Fortuna」に、Supership独自のWeb行動ログを元にしたインタレストデータを掛け合わせることで、特化型AIによる自律的な学習効果と施策精度を向上できます。
顧客情報がある既存層には「ルール」で確実に接客し、情報が不足している未知の層や無数の変数に対しては「AI×Fortuna」で自律的に勝ちパターンを学習し、施策を自動最適化して回し続ける。このハイブリッドなロジックにより、人手だけでは運用しきれない規模と精度で最適化を継続できます。
そして何より重要なのが、システムを作って終わりにしないことです。Supershipは「集客(広告)」と「ナーチャリング(CRM)」の両領域において、深い運用ノウハウを持っています。
「どんな広告クリエイティブで入ってきた顧客に、どういうCRMシナリオを当てれば定着するか」の知見も活かしながら、システムだけでなく「日々の運用」においても断絶を起こすことなく、一気通貫で統合した伴走支援が可能です。

CX診断から始まる、実装へのステップ
——導入に向けて、企業は何から始めるべきでしょうか。
松原: まずは、「CX診断」をおすすめしています。
いきなりゼロから大掛かりなシステム改修を行う必要はありません。現在のマーケティングアーキテクチャやCXの取り組み状況を診断し、施策(Action)から逆引きして、「どこが断絶しているのか」「施策のブラインドスポットはどこか」を特定します。
私たちが数多くの企業を見てきた中で、LTV向上の最大の障壁となっているのは「ツール」ではなく、「組織とKPIの壁」です。だからこそ診断では、システムだけでなく「人と運用の断絶」までを可視化します。
その診断で浮き彫りになった不足点は、コンサルタントやエンジニアといった「人」の力と、データやAIといった「プロダクト」の力で改善し、全体最適へと引き上げていきます。
「綺麗な絵」を描いて終わるのではなく、出口から逆算した実装をやり切り、システムから運用までを断絶なく統合する。それが、私たちSupershipの使命です。
集客(広告)から、契約前後のナーチャリング(CRM)まで。すべての体験を一本の「線」で繋ぎ、LTVを最大化する。
その重要性が分かっていても、多くの企業が「点」の施策から抜け出せないのは、複雑に絡み合ったシステムと組織の「どこに断絶があり、どこから直せばいいか」が分からないからです。
Supershipは、その問いへの答えを「CX診断」で可視化し、LTV最大化に向けた逆算型の設計から実装・実行までを伴走します。まずは無料診断から、ぜひお声がけください。
Supership独自のCXソリューションサービスはこちら
https://supership.jp/business/cx-consulting/
参考事例:設計を成果に変えた現場から
本記事で述べた「Data・Logic・Action を一本の線で繋ぐ」設計は、実際の支援現場で成果につながっています。マーケティングアーキテクトの考え方が現場でどう実装されたのか、2 つの事例をご紹介します。
- UQ WiMAX(Web接客の高度化)
- 行動データが蓄積される前の初回訪問から、パブリック DMP「Fortuna」と CX プラットフォーム「KARTE」を掛け合わせ、属性に応じた接客を出し分け。自宅セット割のご案内で申込率が約1.5倍に。
https://supership.jp/magazine/column/14506/
- 行動データが蓄積される前の初回訪問から、パブリック DMP「Fortuna」と CX プラットフォーム「KARTE」を掛け合わせ、属性に応じた接客を出し分け。自宅セット割のご案内で申込率が約1.5倍に。
- Pontaパス (CRM戦略策定〜施策実行まで一貫支援)
- 施策・ツール・データの分断を乗り越え、データドリブンな CRM へ。小さな仮説検証を高速で回す「初心者LP」施策で、アプリ再来訪率が2倍に。
https://supership.jp/magazine/column/14163/
- 施策・ツール・データの分断を乗り越え、データドリブンな CRM へ。小さな仮説検証を高速で回す「初心者LP」施策で、アプリ再来訪率が2倍に。
(※)KDDIお客さまの同意データ利用について
Supershipは、KDDIグループのデジタルマーケティング事業を担う中核企業として、KDDIがお客さまから第三者提供の同意を得た属性情報及びサービス利用情報の提供を受けています。この情報には広告IDなどのユーザ識別子、性別・年齢・居住地などの属性情報に加え、KDDIサービスの加入、利用状況や端末情報が含まれています。
Supershipでは、この業界最大規模の質の高いデータ資産を活用し、分析から配信まで一貫した支援を行うことで、データ環境の変化に左右されない持続可能なマーケティングの実現を目指しています。
プライバシー保護のため、利用するデータは適切な加工処理を施しており、氏名や住所など個人を特定できる情報は含まれていません。また、電話番号・メールアドレスについてはハッシュ化による安全な加工を行っています。
詳しい情報は、KDDIの「当社グループ会社を介したデジタル広告の配信等」のページをご確認ください。
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