コラム

優秀なデータサイエンティストチームをつくるために意識すべきは「ダイバーシティ」 #Supershipデータサイエンティストインタビュー

Supershipで、「Datapia」などのデータテクノロジーを基盤としたサービスの開発や、データ分析・活用における研究・ソリューション開発を進めている「データサイエンス&エンジニアリング部」。
このチームに所属するデータサイエンティストは、国内出身者のみならず、中国、ドイツなどさまざまな国の出身者で構成されています。

Supershipグループ内でも、特にダイバーシティに富んだこのチームは、どのような理念で率いられ、どのような思いで日々の業務にあたっているのか?

同チームを率いる部長の黒柳と、中国出身のデータサイエンティスト、庄と陳の2人に話を聞きました。


多様で大量なデータに魅力を感じ入社

Supership データビジネス事業部 データサイエンス&エンジニアリング部 データサイエンスG 陳 偉昌

陳は、留学のため来日し、名古屋大学大学院で自然言語処理によるテキストマイニングを学んだのち、ヤフーに入社します。

ヤフーでは、検索事業を手がける部署で辞書の構築やサジェスト機能の開発を担当し、その後、多様で大量なデータを扱えることを魅力に感じ、自らの言語処理のスキルを活かして新たなビジネスを創出したいと2018年にSupershipに入社。これまでに、広告配信セグメントに関するプロジェクトを手がけ、現在は、リテール分野における自然言語処理や画像処理の技術を活用した研究開発を進めています。

「Supershipに入社してからは、広告配信プラットフォームの配信ログから統計機械学習の手法を用いてユーザーの興味関心をクラスタリングしたり、『特徴量プール』(※)にまとまっている膨大な量の特徴量を統合して学習し、デジタル広告の配信セグメントを作成するための機械学習モデルの開発を担当していました。とくに、機械学習モデルについては自身の研究対象でもあり、人工知能学会に論文の提出もしています。

現在携わっているリテールテックの分野では、画像処理技術を活用してコンビニのレジを通さずに精算を完了できるシステムを開発したり、オンラインとオフラインの購買履歴を統合し、消費者の傾向の可視化や分析を進めたりしています」

(※)特徴量プール・・・機械学習に必要な特徴量(分析データの特徴を定量的に表現した数値)=ユーザーのアクセスパターンや、性別・年代といったデモグラフィック属性、興味関心などがまとまっているシステム。詳しくはSuperMagazineに掲載している黒柳のインタビュー記事もご参照ください。

Supership データビジネス事業部 データサイエンス&エンジニアリング部 データサイエンスG 庄 岩

一方、中国の大学で宇宙工学について学んでいた庄。その当時から数学や統計学に興味を持っており、ちょうど大学を卒業するころ(2013年)「ビッグデータ元年」と言われる中で、中国国内でデータ分析を手がける企業に入社しました。

そして2017年、Supershipに入社。陳と同じく、多様なデータを扱えることに興味を持ったということです。入社後は、社内のデータを整備することで、Supershipにおける業務効率化を実現しました。

「広告配信プラットフォームなどのSupershipのプロダクトに関する数値を、ダッシュボードにアクセスすることで簡単に知ることができるシステムを開発しました。これにより、例えば営業チームのメンバーが『DMPで利用可能なセグメント毎のID数はいくつか?』を知りたい時に最新(前週時点)の数値を素早く確認することができるなど、『データの民主化』を実現しました。
また、セグメントを最小限のエンジニアリソースで作成することができるツールを、クラスター分析の手法を使って開発し、社内の工数削減にも貢献しました。

現在は、機械学習モデルのアルゴリズムを自動的に構築するシステムの開発に携わっています。このシステムにより、ライフイベントやネットサービスの契約等で、コンバージョンが起こりそうなユーザーセグメントを予測する『予兆モデル』を様々な業態・業種に向けて構築しています」

言語を使い分け、コミュニケーションを進める

多様な国籍のメンバーがいる中で2人は、同僚と口頭で話す時には基本的に日本語を使っています。細かいディテールまで正確に伝えたい時や、Slackなどのオンラインツールでは英語を使うなど、場合や手段により言語を使い分け、周囲とのコミュニケーションを深めています。

その一方で、データサイエンスの分野においては、最新技術の情報は英語や中国語で公開されることが多く、チーム内のメンバーに共有するときも英語を使っているとのことです。

「前職では主に英語を使っていて、Supershipに入社するまでは日本語に自信がなかったのですが、同僚と日本語でコミュニケーションを取りたかったので勉強し、話せるようになりました。今ではどの国籍のメンバーとも口頭では基本的に日本語を使っていますが、皆英語のスキルも高いので、困った時は英語で相談したりもしています」

また、自由でフラットに発言できる雰囲気があり、個々に十分な裁量が与えられるため、仕事が進めやすいということです。そこには、リーダーの黒柳の影響も大きくありました。

「ほかの会社と比較すると、クライアントの案件を何としてでも完遂させるということよりも、社員の成長が重視されているように感じます。仕事の進捗だけではなく、自分の成長を含めてケアしてくれています。

面接の際には、黒柳とも話したのですが、話し方も『オープンマインド』(他者の意見も受け入れられる、心にゆとりがある状態)な印象を受け、魅力を感じました。その時の印象が良かったことも、Supershipに入社した決め手のひとつになったと思います」

「完全にフラット」な究極のチームへ

そんな黒柳は、2人について次のように評しています。

Supership データビジネス事業部 データサイエンス&エンジニアリング部 部長 黒柳 茂

黒柳「2人とも日・中・英のマルチリンガルで、技術者としての能力もズバ抜けています。陳は、最先端のアルゴリズムに関する論文実装ができる機械学習エンジニアです。そのアルゴリズムを深く理解・応用し、Supershipの広告ビジネスへ適用することが出来ます。

庄は、私たちがもつナレッジや技術をどのようにチームに還元できるかを常に考えてくれています。機械学習モデルは、同じデータや目的のもとに作られたものでも、データサイエンティストのスキルによってはクオリティに差が出てしまいます。そこでどのようにクオリティを担保するのかという点が重要になってくるのですが、庄が開発したモデルを自動的に作成できるAutoMLシステムを活用することで、経験の浅いサイエンティストでもある程度高品質なモデルを作ることができます」

さまざまな国籍のメンバーが集まるチームを率いる黒柳。そのチームビルディングにはどのような観点があったのでしょうか。

黒柳「2つ観点があり、まず『色々な考えをもつ人財に来てもらいたかった』ということが挙げられます。チームでミーティングをしていて、分析に関する議論だけでなく、データ組織の在り方やビジョン・ ミッションなど、さまざまな議題が上がった際に、ポジティブに考える人や、リスクを重視する人など、様々なバックグラウンドや考え方のメンバーに“忖度”無しに発言してもらうことで、本質的な部分に近づくことができると考えています。

もうひとつはシンプルに『優秀な人財を集めた』という点です。能力の高さを基準に採っていったら、結果的に国籍が多様になった、ということです」

フラットな環境の中で、データ活用による新しい価値の創造に日々突き進む陳と庄。そして、自らのチームをダイバーシティのもとに率いていく黒柳。最後に、今後の展望について3人に聞きました。

「現在の業務はR&D(研究開発)が中心なので、実際のサービスにおける運用に移行していきたいです。実用化を目指すのは、もちろん会社に利益をもたらしたいという考えからですが、それを通じて社会に新たな価値を創出したいという思いがあります。

技術面では、効率をさらに高めていきたいと考えています。ビジネスロジックにおける複雑な問題を、簡単な手法で効率的に解決したいです。限られたリソースの中で、早くアウトプットすることでビジネスに貢献していきたいですね。
また、培ってきた技術を、社外勉強会での発表などの形で社会に還元することにもチャレンジしたいです」

「今後、マーケティング以外の領域でもデータ分析の力を発揮していきたいです。リテールから製造業、農業まで、様々な業界のデータを扱って社会全体での課題解決に貢献していきたいです。

その中でも特に、製造業の課題に取り組みたいと考えています。中国においても日本においても高齢化社会が到来しつつあり、労働力人口が減少する中で、データを活用して世の中のリソースを効率的に配分することで、労働力不足を解決したいです」

黒柳「チームビルディングの視点では、よりダイバーシティを追求し、自分で課題を設定し自分で推進する能力をさらに高めていってもらいたいと思っています。現時点でもチームメンバーは皆かなりできているのですが、究極の形態は『現場で全て決め、全て議論し、かつスキルも学習して、アウトプットしていく集団』だと考えています。完全にフラットな組織になるのが理想ですね。

また、自分たちだけでなく、Supership社内の全体にデータドリブンな文化を根付かせるということも、私たちのチーム=データサイエンス&エンジニアリング部の役割だと考えているので、将来的には全社を巻き込んだプロジェクトにも取り組んでいきます」

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