Momentum株式会社(以下、モメンタム)では、アドベリフィケーション機能を広告主向けにパッケージングし、専門の担当者が導入から運用まで一貫してフルサポートを行うアドベリフィケーションサービス「Hyper Transparency for Advertiser(通称・ハイトラ)」を提供しています。
本サービスは、近年デジタル広告を取り巻く問題として注目されている、ブランドセーフティ対策、アドフラウド対策、ビューアビリティの向上を目的として、モメンタムの開発・提供しているツールを広告主それぞれの広告配信に合わせた形で活用いただくもので、今回、広告主の各種サービス・商品単位で独自のロジックを構築して適用する「カスタムロジック機能」の提供を開始しました。
「カスタムロジック機能」の導入第1号となった富士通株式会社様では、今回、商材の異なる3つのキャンペーンでカスタムロジック機能を適用した広告配信を行い、その結果、平均で11.96%のブランドリスク削減に成功しました。
今回のハイトラ導入の経緯や、今後の展望などについて、富士通株式会社 イノベーティブ IoT事業本部 フロントデジタルサービス事業部 部長 熊沢 剛様、同じくフロントデジタルサービス事業部の宇都宮 啓様、そしてモメンタム代表の高頭 博志にインタビューを行いました。
「ハイトラ」導入の背景
高頭「モメンタムのアドベリフィケーションツールは、今までは広告配信事業を行う代理店やツールベンダーでの導入が中心でしたが、ブランドセーフティ・アドフラウド・ビューアビリティのキーワードへ広告主の間での意識が高まるにつれ、お問い合わせをいただく機会も増えています。
『ハイトラ』の導入フローとしては、まず現状のブランド毀損リスクやアドフラウド率などの実態を細かく分析し、その結果を反映したロジックで運用していきます。運用後も、恒常的にモニタリングを行ってロジックを随時調整するなど、専門の担当者が導入から運用まで一貫してフルサポートを行うのがサービスの特徴です」
宇都宮様「弊社ではアドベリフィケーションツールの導入を検討していたものの、どういったツールを活用するか悩んでいたのですが、ハイトラはカスタムロジックのような柔軟性と、そもそもが国産のツールで日本語解析に優れている点が決め手となりました」
熊沢様「弊社では企業向けにデジタルマーケティングソリューションを提供しており、今年4月からはSupership社などと協業して効率的なインターネット広告配信を行う『FUJITSU Intelligent Data Service AD Drive』も提供しています。BtoBを中心に事業を行っている以上、ソリューションを提案する際には常に『社内で試してみたのか』と問われるので、健全なデジタルマーケティングをまず自社の広告配信において試してみるのは自然な流れでした」
宇都宮様「インターネット広告というと比較的“若い”業界だと思いますが、その中で企業としては比較的歴史を持つ弊社に依頼いただくお客様は、『ブランドを毀損しない』『安心安全』という点に期待していただいていると考えています。我々が手がける以上は、そこに対して明確にブランド価値を守れるというものを出さないといけないという思いがありました」
富士通様での社内検証 その結果は・・・
カスタムロジックの初適用となる富士通様の広告配信では、3つの商材が異なるキャンペーンを対象に効果の検証を行いました。
検証は半年にわたり、大きく分けて次の3つのステップで進められました。
①現状の広告配信リスクの分析
②富士通様専用にカスタマイズしたフィルタを構築
③フィルタ適用と適用を行わなかった配信の比較で効果を分析
第1段階で、リスクの分析を行なったところ、対象となった3つのキャンペーンにおいてはそれぞれ11〜14%のブランド毀損リスクがあることが判明しました。
この結果については、富士通の宇都宮様も「想像よりリスクが高いと感じた」と驚きを表しています。
<当初のブランド毀損リスク>
キャンペーンA:11.16%
キャンペーンB:14.5%
キャンペーンC:12.21%
第2段階のフィルタの構築では、違法性が疑われるコンテンツや成人向けコンテンツ、ヘイトスピーチに関するものなど、モメンタムが保有する汎用的なネガティブキーワードリストに加え、富士通様専用に抽出したキーワードを加えています。
高頭「モメンタムのブランドセーフティツールでは、フィルタに基づき、広告の表示に適しているページかどうかをリアルタイムでチェックして、不適切だと判断されたページには表示されないよう入札や表示の直前にブロックすることでブランド毀損を水際で防ぎます。
フィルタには、弊社の持つネガティブなキーワードのリストを用いますが、広告配信は“ケースバイケース”の側面があり、クライアントごとにカスタムのキーワードリストを構築しています。
カスタムキーワードの傾向は業界によっても異なりますが、企業そのものについてネガティブな言い方や揶揄をするようなもの、製品に対するネガティブなフィードバック、過去にあった不祥事や事件にまつわる単語などが挙げられます。
こうした言われ方をしているページに広告価値はなく、マーケティング活動において広告を表示すべき場所でない、という判断で、広告を表示させないという方針にしています」
こうしてカスタマイズされたフィルタを適用して広告配信を行った結果、フィルタを適用した3つのキャンペーンは、ブランド価値毀損のリスクをいずれも10ポイント以上削減できたことがわかりました。
いずれのキャンペーンも、ブランド毀損リスクを0〜1%まで下げることに成功しており、富士通の宇都宮様も「しっかりとリスク回避ができている」と効果を実感したと話しています。
ブランドリスクの無いデジタルマーケティングに向けて
高頭「いわゆる“海賊版サイト”における不適切な広告が問題となったことで、インターネット広告に対する目は厳しくなっています。
消費者や広告業界外からは、インターネット広告を掲出する場所は広告主側に選ぶ権利があり、正しい選択をする義務は広告主にあると捉えられていることが多いように感じます。
今後、アドベリフィケーションツールなどを用いてそういった部分への対策をとることは企業のコンプライアンスとして必須になってくるでしょうし、広告主だけでなく、代理店やメディア、弊社のようなソリューションベンダーも含めた広告業界全体で健全化に向けた取り組みを進めなければいけないと思っています」
宇都宮様「消費者の行動がデジタルへとシフトする中、チラシや屋外広告といったアナログな手法のみでは、働きかけたい消費者との接触ポイントを十分に得ることは困難ですが、BtoB領域においては、ルートセールスやセミナーなどの手法にマーケティングの軸を置いているお客様も多いかと思います。
弊社では、従来の手法に取り組みつつも、デジタル広告で集客してアプローチするような試みも多く取り入れていて、今回のモメンタム社との取り組みもそのひとつとして形になりました。
今後は弊社の『FUJITSU Intelligent Data Service AD Drive』に『ハイトラ』の技術を取り入れ、安心して広告が配信できる環境を構築し、BtoB領域のお客様などに積極的に提案していきたいと考えています。
一方で、送客数や単価を重視する広告主も多くいらっしゃいます。
弊社内でも、アドベリフィケーション対応(ブランドセーフティ・アドフラウド対策・ビューアビリティ)へ舵を切り広告単価が上がっても良いか、という視点では、どちらが正解かという判断はできていない現状です。
ただ、『ハイトラ』のようなアドベリフィケーションツールを活用し、質の高い送客を実現することで、サイトの滞在時間やセッション到達率を伸ばした方が圧倒的に良いはずです。そういった部分を広告主さんにはまず体感していただいて、送客数の担保とどちらを重視するか、両方を提示して選択いただきたいと考えています」
モメンタムでは、今後も様々な企業との連携を進め、広告配信事業者のみならず広告主にもアドベリフィケーションの技術を提供し、インターネット広告の透明化・健全化に取り組んでまいります。