Rokt・Supership ECサイトのリテールメディア化を実現するプロダクトを紹介【前編】 ーECサイトにおける購買~購入完了まで、ユーザー体験と収益性を高めるためにやるべきことー
流通・小売事業者が運営するECサイトや店舗アプリ、リアル店舗の店頭に設置されているデジタルサイネージなどを通して、新たな顧客体験や収益機会を創出する「リテールメディア」が注目を集めています。
中でも、ECサイトや店舗アプリに広告枠を設置し、広告による収益を得る取り組みは、3rd Party Cookie規制の流れを背景に1st Party Dataのマーケティング活用需要が高まっていることや、コロナ禍による消費者の購買行動の変化を受け、海外では既に広く普及しています。
SuperMagazineでも「リテールメディア」をテーマに取り上げ、皆さまに海外での事例やリテールメディアビジネスに必要な準備についてお伝えしてきました。
リテールメディアとは? ―「小売店舗・ECサイトの新たな収益機会」と「メーカーの効果的な販促プロモーション」を創出する注目の最新マーケティング手法のメリットを紹介―
ECサイトをリテールメディア化するために必要な準備とは? ―データ分析に基づいたきめ細やかな提案で、ECサイトにおける広告収益とユーザーベネフィットを最大化するプロダクト「S4Ads」を紹介―
今回は、Supershipが2022年8月に戦略的パートナーシップを締結した、eコマーステクノロジーカンパニーであるRokt(ロクト)の大野氏をゲストに迎え、S4Adsのセールスを担当する宇田川と、EC事業者がリテールメディアビジネスの導入を検討するにあたって押さえておきたいポイントと、その効果を最大化するための考え方について対談した様子をお届けします。
両社は、リテールメディアが注目を集めるようになったコロナ禍以前より、市場をリードする形でプロダクトの提供を開始し、多数のEC企業のリテールメディア参入の支援やカスタマーエクスペリエンスの向上に尽力しています。
ECサイト運営の「いま」と「これから」に必要なポイントを、ユーザー視点でのメリットを交えながら前編と後編に分けてお伝えします。
”ユーザーが最も幸福を感じる瞬間”に、広告効果が高まる
ー最初に、Roktのソリューション「Rokt Ecommerce」と「Rokt Ads」について、概要とそれぞれの提供価値や強みを教えてください。
Rokt大野:Roktはオーストラリアで創業され、現在ニューヨークに本社を置くEコマーステクノロジー企業です。私たちは、ECで消費者が商品を購入する瞬間を「トランザクションモーメント」と呼び、その瞬間に着目したマーケティングソリューションを提供しています。購買直後に、各消費者に対しパーソナライズされた広告オファーを届けることで、高い広告パフォーマンスを実現し、EC事業者の収益性拡大を支援しています。
現在、ECサイトの広告収益の創出、顧客体験の最適化を支援する、EC事業者(媒体社)向けのサービス「Rokt Ecommerce(ロクトイーコマース)」と、ECサイトにおいてユーザーが購入を完了する瞬間にリーチできる高精度な広告配信サービス「Rokt Ads(ロクトアズ)」という2つのプロダクトを展開しています。
【動画】Roktのプロダクトについて
Supership宇田川:トランザクションモーメントの瞬間を狙って表示する広告プロダクトは、これまであまりなかったですし、既存のメディアが掲載している広告とは全く性質が異なります。今後、EC事業者がリテールメディアを検討する上で、こうした広告プロダクトは非常に重要な施策の一つになると思います。
ートランザクションモーメントにリーチすることで、なぜ広告効果が高まるのでしょうか。その理由について教えてください。
Rokt大野:図版1のとおり「SNSで投稿する」「動画を視聴する」など、あらゆるオンライン行動の中で最も幸せを感じる時間が「商品を検討している状態から、実際の購入に移る時」だということが、Roktの調査でわかりました。私たちは、ユーザーの受容性とエンゲージメント、集中力の全てが最も高まっているこのトランザクションモーメントにこそ、大きなビジネスチャンスがあると考えています。
加えてRoktのプロダクトの大きな強みは、ユーザー個人の興味・関心を学習する機能を備えていることです。
購入完了の瞬間は、配送先情報やお支払い情報などの顧客情報、また購入した商品についての情報といったデータが集約されるタイミングでもあります。これらの1st Party Dataをもとに、AIによる機械学習で人間では予測できない関連性やニーズを検知することに加え、ユーザーの嗜好性を瞬時に分析し、ニーズに合致した広告やオファーをリアルタイムで届けることができるため、非常に高い広告効果を実現します。実際に、Roktが購入完了画面で表示する広告やお知らせに対してユーザーがクリックする確率は、従来のディスプレイ広告と比較して数十倍高くなることも少なくありません。
Roktのテクノロジーが集結したAI・機械学習から導かれた精度が高い広告を、意欲が一番高まっている購入完了の瞬間にフォローアップできることは、マーケティングの観点においても非常に大きな利点なのではないでしょうか。
RoktとSupershipが”戦略的パートナーシップ”を締結した理由とは
ー「Rokt Ecommerce」の導入支援をSupershipが行うことで、2022年8月に“戦略的パートナーシップ”を締結したわけですが、締結に至るまでにどんなきっかけがあったのでしょうか。
Rokt大野:両社ともECソリューションを提供しているという共通点があったので、まずは情報交換から始まりました。その中で、お互いのプロダクトの強みを上手く組み合わせることで、より多くのEC事業者に貢献できるのではないかと協議が進み、異例のスピードでパートナーシップ締結の運びとなりました。
Supershipの「S4Ads(エスフォーアズ)」がユーザーの購買過程のタイミングで出店者であるメーカーやブランド(広告主)の広告を出すというソリューションであることに対し、Rokt Ecommerceは購入完了後のタイミングで外部広告を表示するので、ソリューションの内容と提供価値が重複しない点も、パートナーシップ締結に向けての両社の合意を早めたポイントになったと思います。
Supership宇田川:大野さんのご説明のとおり、ECサイト事業者に向けた購入完了ページに特化した広告、加えて外部サイトに遷移させる広告ソリューションは、Supershipではこれまでカバーしていない領域でしたので、パートナーシップ締結により新しい取り組みができそうだと感じたと同時に、提供価値の広がりを見出すことができました。
これまでユーザーの購買行動が完了した画面に出す広告といえばレコメンド広告が大半で、購入目的でサイトに訪問したユーザーを外部サイトに誘導してしまうような広告はあまり受け入れられてこなかったのが本音であり、実情です。
Roktの活用事例をクライアントにあらためて説明したところ、購入完了画面に大きなビジネスチャンスがあることや、そこに外部広告を出すことを前向きに検討くださるクライアントが増えました。RoktのプロダクトとS4Adsで網羅的にカバーすることで、カスタマージャーニー全体に渡って、ユーザーの購買体験の向上に貢献できるのは非常に心強いですね。
Rokt大野:宇田川さんが仰るとおり、これまでECサイト上に外部広告を出す、という考え方はあまり一般的ではありませんでした。懸念としては、顧客の離脱もそうですが「不適切な広告が出てしまい、自社サイトにおけるブランドの世界観が毀損されてしまうかもしれない」あるいは「広告を表示することで、ユーザーの満足度が下がってしまうのでは」というポイントがあったと思います。
Roktのプレースメントは、コンバージョンを獲得した後に表示されるため、商品をカートに入れたものの精算せず購入に至らないケースや、離脱の心配はありません。収益化の観点で購入完了画面を十分に活用できている事業者様はまだまだ多くはないため、追加収益を創出できるという発想は、むしろ皆さまに前向きに受け止めていただいています。
また、一人ひとりの消費者に合わせて最もメリットがあると思われる広告が表示されるため、顧客体験を高めることにもつながっています。あるクライアントからは「導入時はクレームが入ることも想定していたが、それは殆ど無く、むしろ『あの広告をもう一度見たいんだが、どうしたらいいか』といった内容のお問い合わせが多く寄せられている」というフィードバックもいただいたことがあります。
Roktはグローバルで成長していますが、日本市場においてもさらにペースを上げて成長を加速させるフェーズです。引き続きSupershipと連携を強化していければと思います。
ーRoktとSupershipの両社で、具体的にどのような協力体制を敷いて連携しているのでしょうか。
Supership宇田川:両社がそれぞれサポートさせていただいているクライアントに、双方のサービスをご提案しています。Rokt EcommerceとS4Adsのどちらか片方だけでなく、両方を導入いただくことで、より高い広告パフォーマンスを実感いただけますし、収益性を高めるサポートをより強固にすることができます。
Rokt大野:営業活動での連携以外にも、定例ミーティングの場においてさまざまなディスカッションをさせていただいています。今後Roktでは、トランザクションモーメントの価値を更に高めるべく、購入完了画面だけでなく支払画面(商品購入時の決済)まで含めたソリューションの提供を予定しています。そのローンチに向けてのディスカッションもさせていただいていますね。
国内のEC市場は伸長、その中でやるべきことの一つが「リテールメディア」への着手
ー前編の最後に、両社から見た昨今のEC市場の市況と、EC事業における課題と取り組むべきポイントについて教えてください。
Rokt大野:EC市場全体としては伸長しており、それに伴いEC化率(ECで商品などを購入する割合)も上昇しています。また、商品を購入するだけでなく、多種多様なサービスをオンラインで受ける機会がコロナ禍以降、特に増えたことは皆さんも実感されているところではないでしょうか。 中国、アメリカ、イギリスに続き、日本もビッグマーケットになっている現状を鑑みても、ECサイト事業者が生き残りをかけた厳しい環境に置かれていることは確かです。
また、言及すべきもう一つのポイントは、リアルの接客が伴わないオンラインでの購買は、他との差別化ポイントがとにかく価格一点に集中しがちなことです。価格の透明性が非常に高いので、1円でも安いサイトで購入したいという消費者マインドが強く働くので、価格競争を勝ち抜くためには大きな負荷がかかります。
このようなECサイト事業特有の環境に加えて、3rd Party Cookieの規制という流れを受け、自社で保有する1st Party Dataの価値を認識し、新たな収益創出のチャンスを探っているEC事業者が増えてきていると思います。1st Party Dataの活用を検討する時は、CRMの強化に考えが偏ってしまうケースも多いですが、リテールメディアの考え方や、外部広告枠の設置により、広告在庫を増やす取り組みがEC事業者、広告主、ユーザーにようやく受け入れられ、浸透し始めているフェーズではないでしょうか。
Supership宇田川:ECサイトでの購買は、コロナ禍で在宅時間が増えたことで一気に加速しました。しかしながらそうした需要の高まりにECサイト事業者側の対応が追いついていない実情も見て取れます。
また、コロナ禍以降はShopifyなどのEコマースプラットフォームを使ってサイトを立ち上げる方が増えていることも、EC市場が活況と言える一つの要素です。
市場自体が活況である中、これから控えている3rd Party Cookieの規制があり、今後リテールメディアに取り組むECサイト事業者が増えると予測しています。先日S4Adsが出展したイーコマースフェア東京2023でも、来場いただいたお客さまから多くのお問合せやご相談をいただきました。しかしながら、日々の運営で手一杯な現状で踏ん張られているEC事業者も多くいらっしゃると思いますので、国内でリテールメディアのリーディングカンパニーとしてクライアントのサポートをしてきた私たちに、是非ご相談いただきたいです。
リテールメディアについては、ユーザーに受け入れられやすい場所に、適切なロジックと形で広告を出すことで効果を最大限に高めることが成功の秘訣です。詳しくは後編でお話しますので、ぜひそちらもチェックしてください。
ーありがとうございました!対談の後編では、リテールメディアと両社のプロダクトについて深堀してご紹介します。近日中に公開しますので、どうぞお楽しみに! 後編はこちら!
Supershipでは、Rokt Ecommerceの導入支援を行っております。導入に関するご相談は、Supership・Roktのどちらにいただいても構いません。是非お気軽にお問合せフォームよりご連絡ください!
S4Ads・Roktに関する詳細・お問合せ
https://www.s4p.jp/s4ads/
Rokt Ecommerceに関する詳細・お問合せ
https://www.rokt.jp/rokt-ecommerce/