コラム

5G時代本格到来!いま知っておくべき「VR」を徹底解説 〜2020年、エンターテインメントの鍵は「没入感」〜

近年、その言葉を聞く機会が増えている「VR」。その活用は、エンターテインメントの領域をはじめ、企業の研修などtoB領域まで進んでいます。

また、“大容量・低遅延・多接続”を特徴とする「5G」の実用化がスタートしたことにより、今後、VRの活用はさらに進んでいくことが予想されます。

今回は、コンテンツの可能性をさらに広げることが期待される「VR」のエンターテインメントからの側面に注目し解説していきます!


市場は継続的に成長することが予想されている

リサーチ会社・IDC Japanが発表した市場予測によると、全世界のVR/AR分野における支出(ハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスの合計)は、2018年では89億ドル(約9,700億円)で、2023年には1,606億ドル(約17兆5,000億円)に達するとみられています。2018年から2023年までの5年間にかけてのCAGR(年間平均成長率)は78.3%と、継続的に高い成長率が続くことが予測されています。

そのうち、3つの消費者向けユースケース=VRゲーム、VRビデオ/機能表示、ARゲームは2023年に合計で203億ドル(約2兆2,000億円)を占め、ヘッドセット向け支出のCAGRは189.2%と見込まれているなど、エンターテインメントとしてVRを楽しむということが今後さらに浸透していくことが予想されます。

「VR」「AR」「MR」・・・何の略?

・・と、ここまで「VR」や「AR」といった用語を使ってきましたが、そもそもこれらの言葉は何の略で、どういった違いがあるのでしょうか?
ここから、それぞれについて簡単に説明していきます。

【VR】

「Virtual Reality」の略で、和訳すると「仮想現実」となります。

定義としては、ディスプレイ等に映し出された仮想世界の中に、“まるで自分が居るかのような”体験ができる技術、となります。仮想世界の中にユーザーが飛び込む=没入するという点に特色があります。

【AR】

「Augmented Reality」の略で、和訳は「拡張現実」です。

現実世界に、CGなどで作った仮想現実を“拡張”させる、という意味で、仮想現実を作り、そこに入り込むVRとは、“現実世界がそこにある”という点で異なります。
具体例としては、「ポケモンGO」などのスマホアプリが挙げられます。

【MR】

「Mixed Reality」の略で、「複合現実」を意味します。

定義は“仮想世界と現実世界を複合させる”ことで、仮想世界が主体となり、そこに現実世界の情報を重ね合わせる形になります。例えば、医療の現場でヘッドマウントディスプレイを使用し、患者の診断画像から作成した3Dモデルを現実の視野に重ね合わせて見ることができるツールなどが挙げられます。

【XR】

上記の「○○ Reality」をまとめ、「多様な新しい現実」を表現するために使われる単語です。

エンターテインメントにとどまらず、VRやARが活用される際には、その「没入感」がキーワードとなります。

一般的には、VR>MR>ARの順で「没入感」があり、VRが最も没入感が高い、とされています。

各界に広がるVRの活用

エンターテインメントの領域のみならず、VR技術は各界にその“没入感”を活かした広がりを見せています。

不動産業界 ➡︎ 物件の「内見」をVRで実施
災害対策 ➡︎ VRで災害を疑似体験し、避難などアクションを起こすべきタイミングを学ぶ
建設業界 ➡︎ 足場からの落下や、やけど等の労災事故をVRで体験し、安全意識の向上につなげる

上記はいずれも、VRを活用してその世界に没入させることで、移動時間を短縮させたり、実際には体感できない(訓練という名目では体感させられない)シチュエーションを体験させることに成功しています。

エンターテインメント領域におけるVRの広がり

もちろん、エンターテインメントの領域においても、VRは広がりを見せています。ここではいくつか事例を挙げご紹介していきます。

【VR × 音楽ライブ】

2019年3月、HIP HOPアーティスト「AK-69」が行った日本武道館での単独公演にて、VRマルチアングルの生配信が行われました。HIP HOPアーティストが日本武道館で行ったライブを、VRで生配信する取り組みは初めてのことでした。

アングルは、客席に設けられた「アリーナ中央」「アリーナ後方」さらに「ステージ前」「ステージ後方」の4つが用意されています。

武道館の客席にいるかのような感覚で、現地と同じ時間にライブを楽しめるだけでなく、現地では見られない「最前列よりさらに前の視点」(=ステージ前)、「ステージ側からの景色」(=ステージ後方)を楽しむことができます(参考:XRstadiumのTwitter)。

この生配信はSupershipのVR配信プラットフォーム「XRstadium」で行われ、生配信のみならずビデオでの配信も行われました。

参考:史上初!HIP HOPアーティスト「AK-69」の15周年記念公演をVRライブ配信!(プレスリリース)
https://supership.jp/news/2019/03/20/3325/
(※コンテンツの配信はすでに終了しています。)

また、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的として、政府が大規模イベントの自粛要請を行い、各所で音楽ライブが中止となる中、多くのアーティストがライブ等の生配信を行っています。

その一つとして、アイドルグループ・ももいろクローバーZのメンバー、高城れにさんが、ソロコンサートを行う予定だった会場・カルッツかわさきからVRの生配信を行いました。

アングルは「最前列」「ステージ上」、そして「客席」に向けたものでは、出番前&出番を終えた出演者がステージを観覧する様子を観ることができ、まるでアイドルたちと一緒にステージを見ているように楽しむことができました。

(関係者以外は)無観客となった状況を逆手に取り、VRに特化したステージングが可能となったこともあり、撮影・配信を担当したアルファコード社によるとYouTube生配信の総視聴者数はおよそ12,500人にのぼったということです(参考:同社のプレスリリース)。

【VR × お笑い】

VRの活用は音楽のみにとどまらず、国民的なお笑い番組でも導入されていました。

毎年12月に生放送される“漫才頂上決戦”「M-1グランプリ」。2019年の大会は、史上最多となる5,040組がエントリーする中、“ダークホース”とされていた「ミルクボーイ」が史上最高得点の681点を獲得し優勝したことが話題となりましたが、この大会の最終決戦3組の漫才、さらに優勝決定の瞬間が「XRstadium」にてVRビデオ配信されました。

「最前列」「観客席後方」そして「司会席からの視点」「審査員席からの視点」の4つのアングルから見ることができ、漫才師の動きの一つひとつや、笑いの“うねり”が起こった瞬間を、まるで現場に居るかのような、テレビの生放送では見られない角度から楽しむことができました。

参考:「M-1グランプリ 2019」最終決戦と優勝決定の瞬間をVR配信プラットフォーム「XRstadium」でVR配信(プレスリリース)
https://supership.jp/news/2019/12/20/3984/
(※コンテンツの配信はすでに終了しています。)

また、このほか、お笑いコンビ「さらば青春の光」「カミナリ」の2組は、それぞれのネタの登場人物になったかのような体験ができるVR映像を有料配信しており、お笑い芸人たちは自分たちのコンテンツを活かした新たな体験の提供に取り組んでいます。

【VR × 映画】

ここまで紹介した音楽ライブやお笑いなど、既存のコンテンツにおける体験を広げる目的で活用されることの多いVRですが、それだけでなく、VRを新たな表現技法として活用した、ストーリー性のある映像作品も世界各国で制作されています。

全世界で行われている映画祭でも、VR作品が取り上げられており、「世界3大映画祭」のうちカンヌ国際映画祭とヴェネツィア国際映画祭ではVRの部門が設けられています。

このうち、2019年のヴェネツィア国際映画祭には、日本からフルCG作品「Feather」が出品され、VR部門「Venice Virtual Reality」にてプレミア上映されました。

 

この作品のあらすじは以下の通りです。

Featherは、ちいさな人形の少女がバレエダンサーになる夢を目指す物語です。古い屋根裏部屋にひっそりと置かれているドールハウスの中で、ストーリーは繰り広げられます。

Featherとは、『勇気』や『はげまし』の意味を内包するシンボルです。白くて軽くて、フワッとした羽の形をしています。少女が何らかの困難にぶつかった時、体験者のもとにFeatherが現れます。体験者は少女を見守るだけでなく、Featherを掴んで少女に手渡すことで、インタラクティブに作品の世界と関わることができます。
少女はFeatherを受け取りながらすくすくと成長していき、バレエダンサーになる夢へと突き進んでいきます。

出典:「VR映画『Feather』、12月19日(木)よりコニカミノルタプラネタリア TOKYO「VirtuaLink」にて日本初公開!」)

このように、VRならではの、作品に入り込めるインタラクティブ性があることが特徴で、体験者の行動によりストーリーが進んでいくという演出が没入感をさらに高めています。

同映画祭には、「攻殻機動隊」のVR作品がVR部門コンペティションに正式招待されており、今後も日本のクリエイターによるVR作品が世界へ羽ばたいていくことが期待されます。

ちなみに「Feather」のプロデューサーは、Supership VR戦略企画室の待場が務めています。これまで待場が参加してきた世界各国の映画祭でのVRの状況など、VR映画についてより詳しく知りたい方は以下のセミナーレポートもご一読ください!

「VR×ストーリーテリング」の現在と未来 〜世界の映画祭で注目を集めるVR映画〜 #XR Kaigi 2019 セミナーレポート
https://supership.jp/magazine/seminar-report/4048/

5G本格化でVRはさらに浸透する

そして2020年、携帯キャリア各社でサービスが本格始動した「5G」により、エンターテインメント領域におけるVRの活用はさらに進むことが予想されます。

「大容量・低遅延・多接続」という特徴をもつ5Gにより、大容量のデータのやりとりが必要となるVRもスムーズに配信することができ、また生配信における現地とのタイムラグが低減されることが予想されます。

5G時代の本格到来により、コンテンツホルダーにとっては「没入感」をキーワードとした、保有するコンテンツの魅力を活用したさらなる展開が期待できるようになるのではないでしょうか。

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