2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

最新調査レポート『アドベリフィケーション 意識調査2021』解説
コラム

最新調査レポート『アドベリフィケーション 意識調査2021』解説

このたび、Momentum株式会社が加盟するアドベリフィケーション推進協議会が、アドベリフィケーションに関する意識調査を行い、サマリーレポートが公開されました。
今回の調査結果を受けて、インターネット広告業界におけるアドベリフィケーションに対する意識や対策の状況、さらに今後業界として取り組むべき課題をMomentum株式会社にうかがいました。

恩田 基輝(Momentum株式会社)

恩田 基輝(Momentum株式会社)
マーケティングチーム リーダー

大学卒業後、新卒で入社した広告代理店を経て、2019年にMomentum社に入社。同社ではセールスとマーケティングを担当。宣伝会議の特別号への寄稿や、外部講座の登壇、自社メディアでのアドベリフィケーションに関するコンテンツ作成なども務めている。

登壇・執筆実績
・『宣伝会議』2020年5月号別冊 新・メディアの教科書2020
・『宣伝会議ONLINE』教育講座 ネット広告効果測定講座(ライブ配信)
・『宣伝会議ONLINE』教育講座 ネット広告効果測定講座(オンデマンド配信)

目次

まずは、今回の調査主幹となった『アドベリフィケーション推進協議会』の設立目的や活動内容について教えて下さい。

恩田「日本国内のインターネット広告業界において、未だアドベリフィケーションに対する認知度が低いという背景があり、アドベリフィケーションやインターネット広告に潜むリスクへの対策の認知拡大を目的として、アドベリフィケーション推進協議会が設立されました。
アドベリフィケーションの啓蒙活動と認知・浸透状況の把握が主たる活動内容となりますが、インターネット広告に存在するリスクを調査し、ホワイトペーパーを作成するといった活動にも取り組んでいます。」

今回の調査の目的や対象者、サンプル数について教えてください。また、これまでの調査と変更点があれば、その背景を教えてください。

恩田「インターネット広告に関わるステークホルダーとしてアドバタイザー(広告主)、エージェンシー(広告代理店)、プラットフォーマー(広告配信事業者)の存在がありますが、今回の調査は、各々のアドベリフィケーションに対する認知度とインターネット広告におけるリスク対策の実施状況を明らかにすることを目的としています。

今年の調査はアドベリフィケーション推進協議会が実施しましたが、それ以前の3年間はMomentum株式会社が毎年同じテーマで調査を行っていました。Momentum株式会社が実施していた調査も含めると今年で4回目の実施となります。

調査の概要としては、インターネットでの定量調査を行い、アドバタイザーが412件、エージェンシーが358件、プラットフォーマーが198件のサンプルより集計、分析を行ったものとなります。
またアドバタイザーは前回まで、対象を上場企業に限定していましたが、今回は非上場企業も含めました。さらにプラットフォーマーも新たに調査対象として回答を得ています。この結果、国内のインターネット広告に関わる全ての重要なステークホルダーを含めた調査となり、より現状に則したデータが得られました。」

『アドベリフィケーション関連キーワードの認知度』において、事業規模やステークホルダーのカテゴリーによって異なる傾向が見られました。
この結果をどのように分析されていますか。

※「アドベリフィケーション 意識調査2021」より抜粋

恩田「アドベリフィケーション関連キーワードの認知度においては、アドバタイザーが一番低いといった傾向となり、これは意外な結果となりました。
昨年までは、上場企業のみ調査対象としたアドバタイザーとエージェンシーとの比較においてアドバタイザーの方が認知度が高かったのですが、今回はアドバタイザーに非上場企業を含めたことで傾向が異なりました。これは取り扱う広告予算が関連し、予算が少ないケースでは、アドベリフィケーションなどが注視されていないといったことが想定されます。

一方、これまでと同じ対象条件のエージェンシーについては、昨年の結果と比較すると10ポイント上昇し、認知度が50%となり、アドベリフィケーションの認知が浸透してきた印象があります。
また、初めて対象としたプラットフォーマーも、各キーワードが70%〜80%と、かなり高い認知度となっています。

しかし、アドベリフィケーションやブランドセーフティといったキーワードは様々なところで露出することで認知されつつありますが、さらにその先の具体的な内容となると、実際ビジネスで携わらないと理解が進まない状況です。プラットフォーマーは直接、業務上でアドベリフィケーションに関わることで浸透してきていますが、プラットフォーマー以外は、実際に問題に直面しないと具体的なリスクや対策の理解まで至らない状況にあります。

業界全体としては、アドベリフィケーションを実施したアドバタイザーがポジティブな事例を発信する傾向にあります。これにより、これまでは『マイナスがゼロになった』といったメッセージが中心でしたが、最近では『ゼロからプラスになる』といった評価があり、これも認知度向上の要因と考えています。単純に広告の費用対効果が改善されたといったことだけでなく、長期的な取り組みによってインターネット広告の環境が健全化され、結果として各ステークホルダーにとって非常にメリットがあると認識されつつあります。」

『対策の実施有無』については、エージェンシーで大きな改善が見られ、新たな調査対象であるプラットフォーマーで高い対策実施の回答となっています。こちらの要因はどういったものでしょうか。

恩田「エージェンシーで大きな改善が見られましたが、これには技術の進化に伴って実施しやすい環境が整備されてきている点が大きいと思われます。
また、ブランドセーフティーは対策が取りやすく、その範囲も拡大していることと、国内のアドベリフィケーションベンダーも増えてきたことも要因です。
アドバタイザーをみると一定規模を超えると対策に取り組んでおり、これは認知率と同様の傾向です。リスクヘッジの対策にはそれなりのコストをかけないとメリットが感じられないので、広告予算に比例した結果になったと思われます。

一方、ビューアビリティに関しては微増となりましたが、これは効果を実感しづらいことが影響しています。ビューアビリティは一律で対策できる手段がなく、個別の案件毎で課題や施策の対応が異なるので、浸透に時間がかかってしまう状況にあります。
広告予算が大きいアドバタイザーが主導役となり、事例を積極的に公開頂くなどの取組が必要だと感じています。」

『対策実施のきっかけ』は、どのような傾向があり、今後の取り組みにおいて重要なポイントはどこでしょうか。

※「アドベリフィケーション 意識調査2021」より抜粋

恩田「アドバタイザーは導入事例を見て、ポジティブな結果であれば検討されると思われます。先ほどの施策の実施有無と同様に、アドバタイザーから公開された事例は非常に重要となります。

また、エージェンシーはアドバタイザーが実施するとなれば、対応せざるを得ないので、アドバタイザーの動向がきっかけになるものと考えられます。

プラットフォーマーにおいては、アドフラウドやブランド毀損が問題になっている状況で、自社の配信プラットフォーム経由で問題があるサイトやページに広告を表示してしまうことで商品価値を下げてしまいます。それを回避するのはもちろんのこと、競合との差別化を図る必要もあり、こういった背景が調査結果に反映されています。

『対策しない理由』では、プレイヤーによって異なる傾向がありましたが、それぞれどのような課題があるのでしょうか。

恩田「アドバタイザー、エージェンシーの理由としては『キーワードを知らなかった』と回答されたことから、やはり認知度の向上が課題となっています。

一方、プラットフォーマーは『対策方法がわからない』となってます。アドベリフィケーションベンターの活用が手っ取り早いですが、費用的な面から自社開発の意向があることも影響しているのではと思います。」

『対策の効果』では、どのような回答が得られましたか。また、その結果に至る要因はどのようなものと分析されますか。

※「アドベリフィケーション 意識調査2021」より抜粋

恩田「ポジティブな結果とネガティブな結果を比較すると、ポジティブな回答が多くなっています。
例えばアドバタイザーもエージェンシーも、ブランドセーフティに関する設問では『ブランド毀損にあたる広告を防ぐことができている』といった回答や、アドフラウドに関して『アドフラウドのリスクを軽減できている』といった回答から、対策の効果に対して基本的にはポジティブに捉えられている傾向です。

一方で、『とくに効果は出ていない』といったネガティブな回答も見られました。これはそもそもインターネット広告のリスクを理解し、KPIなど設定しているケースでは効果を実感してポジティブな評価となりますが、こういった取り組みをしていないと効果を実感できずネガティブな評価になってしまっています。」

『アドベリフィケーションのコスト負担』は、以前から業界の課題として挙げられていました。今回の調査結果でアドバタイザーが負担すべきという傾向について、どのようにお考えですか。

恩田「アドバイタイザーは、自社広告のため自身でコスト負担するといった回答であり、これは海外の認識とも合致しています。一方、エージェンシーとプラットフォーマーは自身以外が負担するといった結果になりました。
アドベリフィケーションと一言でいっても、どういった対策をするかによって対応が異なるので、エージェンシーとプラットフォーマーは最低限の品質保証は必要になるかと思いますが、アドプラウドに対してはアドバタイザーとエージェンシーでは対応ができないので、プラットフォーマーの対応に頼らざるを得ないところがあります。
対策と対応範囲の体系を整理し標準化することが重要だと感じています。

今回の調査結果より、インターネット広告業界はどのような取り組みを行っていくべきと思われますか。

恩田「取り組みのきっかけとして『導入事例を見て』が一番多い回答であったこと、取り組んだ結果ではポジティブな評価が多かったことから、導入事例が数多く公開されることで、アドベリフィケーションに対する認知度が向上し、さらに問題意識や取り組みについて好循環が生まれると思います。

アドバタイザーからの事例公開がもっとも効果的だと思いますので、アドベリフィケーションベンダーであるMomentumとしても積極的に働きかけを行っていくのはもちろんのこと、アドベリフィケーション推進協議会も業界を横断して積極的に情報発信をしていきます。

今後、アドベリフィケーション推進協議会としては国内のインターネット広告のリスク状況やIVPに関する調査の実施を予定しています。

Momentum株式会社

モメンタムは、日本語に特化した言語解析技術を基盤に日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションカンパニーです。アドフラウド対策やブランドセーフティにおいて世界最高水準の認定団体である「Trustworthy Accountability Group(TAG)」より日本で初めて認定を受け、さらに「Media Rating Council(MRC)」の認定を受けたパートナーとの連携によりビューアビリティ計測にも対応し、全方位型で精度の高いアドベリフィケーションソリューションの開発・提供を行っています。

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SupershipグループのMomentumは、日本語に特化した言語解析技術と独自データを活用したアドフラウド検知技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションソリューションカンパニーです。アドプラットフォーム・広告主・広告代理店など、様々な企業のニーズにあわせた「HYTRA」ブランドのサービスを提供しています。

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