クライアントが保有する1st partyデータから、データパートナーの2nd partyデータ、そして外部の3rd partyデータまで、シームレスに統合・分析できるパブリックDMP「Fortuna」。
デジタルマーケティングにおいて「Fortuna」を利用することで、大量かつ正確なデータをもとにしたセグメンテーションや、セグメントから類似する新規ユーザーへのリーチなどにより、より高い成果をあげることが期待できます。
今回は、LINEの国内最大級の運用型広告プラットフォーム「LINE Ads Platform(LAP)」においてFortunaをご活用いただいている、トランスコスモス株式会社のマネージャー・河西様と、SupershipでFortunaを担当する中嶋へのインタビューから、活用事例や今後の展望についてお伝えします。(以下敬称略)
●参加者 ・トランスコスモス株式会社 デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 インターネットプロモーションサービス本部 メディア推進統括部 メディア推進部 メディア推進課 課長代理 河西 優希 氏 ・Supership株式会社 プラットフォーム事業部 プロダクト企画部 データビジネス推進G GL 中嶋 真 |
FortunaでLAPの効果を最大化させる
河西「私はトランスコスモスで、インターネット広告のうち、LINEやFacebook、Twitterなどといった主要メディアの販売推進戦略を立案・実行する部署で、現場のマネージャーを担当しています。
中でも特にLINEの広告に注力しているのですが、競合も含め差別化が難しい状況で、クライアントに弊社ならではの価値を提供するのが難しいという課題がありました。
そうした中でSupershipさんのFortunaは、豊富で正確なデータが活用可能で、接続している2nd partyのデータソースも他社さんに比べて非常に幅広いため、Fortunaを活用することでクライアントによりよいサービスを代理店として提供できるようになると考え、導入を決めました」
−Fortunaを導入したことで、どのような価値が提供できるようになりましたか?
河西「LAPでは、例えば公式アカウントのフォローや、どういったスタンプを押しているかといった点から、恐らくこの人は男性で○歳くらいだろう、といったセグメンテーションを行っており、いわば“みなし”の属性ターゲットという形になっていたのですが、Fortunaを使うことによって、より正確なデータをもとにセグメンテーションができるようになったということが言えます。
さらに、正確なデータをもとにしたターゲティングから広げていって、そのユーザーに類似する新規のユーザーに対して広告を出すことができるという点に大変好評を頂いています。
クライアントは、新規のユーザーを獲得するという点に非常に苦労されていますので、そこをお手伝いできるようになったのはFortunaを活用させていただいているからこそだと思います」
−具体的な事例としてご紹介いただけるものがあれば教えてください。
河西「例えば、あるメディアポータルサイトの広告配信において、Fortunaを使ってアウトドアジャンルの興味関心でセグメントしたターゲティング配信を行ったところ、従来のリターゲティング配信よりも低いCPAで、LINEの友だちを多く獲得することができました。
さらに、獲得したユーザーのデータを拡張させて配信を行ったところ、従来よりも一段と低いCPAで1.5〜2倍近くのコンバージョン数を獲得でき、クライアントには非常にご満足いただくことができました。Fortunaのデータを使うことでこのような成果を得られたと思いますし、なによりクライアントに喜んでいただけたことが非常に嬉しかったですね」
−Supershipとして、Fortunaのどういった点に魅力を感じていただけていると考えていますか?
中嶋「現状、Fortunaはトランスコスモス様経由だけでも50以上と非常に多くのクライアントにご提供させていただいております。Fortunaの一番の魅力はなんといっても膨大なデータの“量”とそのデータの“質”、という2つを担保できているところです。現在およそ4.6億IDものデータ量を蓄えており、さまざまな業種のクライアントのご要望にお応えできるような、多種多様なデータを取り揃えています。さらに、Fortunaではキャリアデータ(※)が利用可能なので、“類推ではない正確なデータ”が使える点が特に魅力を感じていただいているポイントかと思います。
(※)「Fortuna」が取り扱うキャリアデータは、各関連法令を遵守し、適切な情報セキュリティのもと管理・運用しております。また、キャリアデータは全て匿名化されており、個人の氏名、番地を含んだ住所、電話番号、メールアドレスなど、個人の特定につながる情報は含まれません。
Fortunaの膨大なデータの“量”とそのデータの“質”においては、Supershipが、LINEによる厳しい審査を経て、LAPとのデータ連携が可能なデータプロバイダーパートナーとして、「Marketing Partner Program」の「Data Provider Partner」に認定されていることからも裏付けられている通り、業界でも随一のものだと自負しています。現状、データプロバイダーパートナーは国内で2社しか認定を受けておりませんので、そのうちの1社として自信と責任を持ってクライアントをご支援していきいたいと思っています。
また、弊社では、広告配信だけでなく分析にも力を入れております。グループ内にデータアナリストを70名ほど抱えており、『データ分析によってユーザーを可視化したい』といったようなクライアントのご要望にもしっかりとお応えできるような体制を整えています。こうしたクライアントへの付加価値の提供によって、データマーケティングにおいて業界をリードしていけるようなサービスを今後もご提供していきたいと考えています」
精度の高いロジックで「嫌われない広告」に
−現在感じている課題のなかで、データ活用によって今後解決したいことはありますか?
河西「今すぐにできることではないかもしれませんが、顧客ひとりひとりに対して的確なコミュニケーションをする“One to oneマーケティング”を効果的にできている企業が少ないのではと思っており、その点をうまくSupershipさんと連携してクライアントにご提供していければと思っています。
新規顧客の獲得から、獲得したあとのCRM施策、そしてロイヤルカスタマーになっていただくためのコミュニケーションなど、まだまだ課題はありますので、Supershipさんのデータを活用しながらひとつひとつ取り組んで行きたいです」
中嶋「カスタマージャーニーに応じたデータの提供については、我々も今後注力していきたい領域です。また、現状行っているようなデータの拡張配信についても、クライアントの特性やデータソースに応じて弊社側で独自にロジックの調整を行うことで、より精度を上げることができるのではないかと考えており、まだまだ改善の余地はあると思っています。
ゆくゆくはロジックの作成を自動化し、PDCAをスピーディーにまわしていくことでブラッシュアップを重ね、クライアントにさらにご満足いただけるようなサービスをご提供していきたいと考えています。」
−企業側として、広告の効率を高めるという観点と、広告が魅力的な体験になる=「嫌われない広告」にする、という側面があるかと思うのですが、ユーザーにとってメリットがあるものを配信するという点についてはいかがしょうか。
中嶋「ユーザーに嫌われてしまうような広告を配信してしまっては元も子もありませんので、我々としてもユーザーにメリットに感じてもらえるような心地よい広告配信を目指していきたいと思っています。そういう意味でも、いま我々が取り組んでいるようなまだ自サイトを訪れていないユーザーに対して効果的なリーチを行い、ロイヤルカスタマーを醸成していく、というアプローチによって多くの実績を重ねることで、今まで業界がリターゲティングに頼っていた部分から脱却するような世界観を作っていきたいと考えています」
“セグメントのPDCA”を回す
−広告効果を最大化するために、クライアントに対してどのようにサポートをしていますか?
具体的なやり方としては、同期間にA/B/Cというセグメントで配信をしてみて、1週間後最も成果が出たAのセグメントを拡張するのと同時に、“もしかしたら当たるかもしれない”Dのセグメントを新しく追加する…というように試行錯誤を重ねながら、“新規の種”をたくさん作って育てていくという方法です。これまで実際に数十社のキャンペーンを実施した結果、この方法がFortunaを活用した広告効果最大化の王道パターンなのではないか、と確信しているところです。
一方で、ターゲティングを狭くしすぎてしまうと、かえって効果が出なくなる事例もあります。“『年齢』×『年収』×『興味関心』と、セグメントを細かく区切ってターゲティングした結果十分な成果が得られなかったが、『年収』をセグメントせず『年齢』×『興味関心』だけで配信してみたところ成果が上がった”という事例もあったりします。Fortunaには豊富なデータセグメントがあるので、どうしても細かく属性を絞りたくなってしまうのですが、あまり細かく絞りすぎずに良い塩梅を見つけるのが『セグメントのPDCA』をまわす際のコツだと思います」
−試行錯誤のなかでそれまで気づかなかった発見もあったりするのでしょうか。
河西「そうですね。実際に、クライアントからは『やっぱりセグメントを切りすぎちゃダメなんですね』といったようなリアクションをいくつもいただいていますし、我々も毎回新たな発見があったりします。私はこの業界で10年以上デジタル広告の施策に携わっているのですが、データマーケティング領域はまだまだ未開の地であるな、と感じていまして、データを活用したマーケティングは奥深くてさまざまな可能性を秘めていると考えています」
中嶋「私も同感で、とあるクライアントは、特定のセグメントを“除外”するためにデータを活用されていて、それによって効果が改善されていることもあるそうです。そういった使い方もあるのか、と逆に気付かされた事例です」
業種の偏りなく、データ活用で顧客の課題解決を
−今後、とくにデータ活用の支援をしていきたいクライアントの業種などはありますか?
河西「LINEのプラットフォーム上のビジネスアカウントの構成をみると、ファストフードやコスメ、エステなど、若年層や女性をターゲットにした業種が多い傾向がみられます。しかし、弊社でもメディア施策を多くご支援している金融や不動産、保険といったような業種こそ、LINEを使ってユーザーに付加価値を提供できるポテンシャルがあると考えていますので、今後はそういったクライアントへ新規顧客のターゲットを広げていく施策の一環としてLAPもご提案できればと考えています。
どのような業界でも確実に成果を上げられる代理店としてトランスコスモスを認知していただけるよう、幅広い業界のクライアントに対してLAPやFortunaの価値を知ってもらい、最終的に喜んでいただけるサービスをご提供することが私たちの使命であると考えています」
中嶋「トランスコスモス様と同じく我々も、業種の偏りなくクライアントの課題を解決していくことが使命だと考えています。その中で、例えば金融系のクライアントの場合は、とくにデータの取り扱いに対してセンシティブな場合もありますので、クライアントと一緒に丁寧に話し合いを重ねながら、最終的にユーザーにメリットを与えられるようなデータの活用方法を模索していければと思います」
−今後の展望についてはいかがでしょうか。
中嶋「クライアントの1st partyデータとFortunaのデータを連携させた配信実績は今後も増やしていきたいです。データを活用したいというクライアントは多いものの、DMPを導入するための初期投資やランニングコストからまだ二の足を踏んでしまっているケースが自分の経験からも多いと感じています。Fortunaは、1st partyデータを蓄積するプライベートDMPと、2nd・3rd partyデータを活用するパブリックDMPの両方の機能を兼ね揃えたDMPです。これまでDMPを使ったことがないクライアントに対してもできるだけ安価で使いやすいサービスを提供していくことで、広告配信から分析まで、幅広いクライアントのマーケティング活動をデータを活用してご支援していきたいです。
河西「LAPをつかった広告配信を検討している広告主はたくさんいらっしゃるかと思います。さまざまな代理店があるなかで、トランスコスモスをパートナーに選んでいただけるよう、これまで積み重ねてきたFortunaを活用したLAPの広告配信実績によって得られた知見を最大限に活かし、広告配信だけでなく、プラスアルファの付加価値までご提供できるようなサービスを展開していきたいです」
中嶋「ありがとうございます。トランスコスモス様はFortunaをご利用いただいてから1年近く経っていますので、幅広い実績が溜まって来ているかと思います。どういったデータをどのクライアントに使うか、という感覚値やノウハウはむしろ我々よりも詳しいかもしれませんね(笑)。こうして試行錯誤を重ねてきた豊富な経験値を活かし、業種や業態に応じた高度なデータの使い分けができる点は、クライアントが代理店を選ぶうえでも大きな強みになるではないでしょうか」
−トランスコスモス様が今後Supershipに期待するのはどういった点ですか?
河西「Fortunaの強みであるデータそのものの拡大と機能拡充に期待しています。現在、さまざまなパートナーの多様な2nd partyデータが利用可能で非常に重宝しているのですが、データベンダーによっては使える範囲が限られていたり、調整が必要なこともあるので、データの利用をもっと柔軟にできるような仕組みや、新たなデータベンダーとの連携が追加されると嬉しいです」
中嶋「さまざまなデータベンダーとの連携により、利用可能な2nd partyデータは随時拡充を進めているところです。ただ、おっしゃる通り現状では利用にあたって使用可否の確認が必要であったり、必要なデータを都度追加させる必要があるなど、スムーズにご利用いただける環境が整っていない部分もあります。
しかし、今後はデータベンダーの2nd partyデータもFortunaのなかにデフォルトで格納しておき、Fortuna上でスムーズに利用可能になるような機能拡充を目指して、今年中に大きく改善できるよう進めているところです。
各データベンダーとの調整は容易ではありませんが、トランスコスモス様をはじめ2nd Partyデータを活用したクライアントの実績を積み重ねていきながら、しっかりと安全にデータを取り扱うことができる環境を整えていくことで、実現を目指していきます」