2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

【ワコール×Momentum共催セミナー】ワコールのYouTube広告キャンペーン事例大公開!ブランド認知率、好意度、サイト回遊率…ブランドセーフティ施策がもたらす様々な影響とは?
セミナーレポート

【ワコール×Momentum共催セミナー】ワコールのYouTube広告キャンペーン事例大公開!ブランド認知率、好意度、サイト回遊率…ブランドセーフティ施策がもたらす様々な影響とは?

本ウェビナーの目的

5Gなどの通信インフラの整備や新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化を受け、近年人々の動画コンテンツの視聴時間は伸長しています。マーケティングの観点から考えても、事業者と顧客のコミュニケーションにおいて動画メディアの活用は、重要度を増してきています。特にYouTubeは自社チャンネルの活用や、広告を配信するメディアとして重要なチャネルの一つに挙げられます。しかしその一方で、公序良俗に反するチャンネルに広告が出てしまうなど、ブランド毀損のリスクも高まっています。

今回は、かねてからYouTubeでの広告配信を行ってきたワコール様に、より一層ブランドセーフティを意識した広告配信に取り組まれるべく、Momentumの「HYTRA DASHBOARD Channel Safe List」を活用して得られた成果についてお伺いしました。

プロフィール

原 敬寛(株式会社ワコール)

メインスピーカー:原 敬寛(株式会社ワコール)
マーケティング統括部 宣伝部 広告プランニング課

2012年株式会社ワコール入社。配属されたIR広報室では、インナーコミュニケーションの活性化に向けて奔走。その後、宣伝部に異動し、サイト制作支援からドメイン管理、全社SNS統括業務、デジタルプロモーションなどWeb業務全般に従事。現在は主にテレビとデジタル領域の企画購買を担い、コミュニケーション設計や検証分析を担当する。

中川 剛(Momentum株式会社)

共同スピーカー:柳谷 俊輔(Momentum株式会社)
Chief Product Officer

楽天株式会社でキャリアをスタートし、エンジニアからアナリストへの異動を経て開発視点での社内コンサルティングに従事。2012年にcomScore Japan株式会社に入社。ワールドワイドなデータ提供プレイヤーという立ち位置からB2Bビジネスを内資、外資問わず担当するとともに、アドベリフィケーションの日本国内での啓蒙活動に従事。 2018年4月より現職。

2020年4月、デジタル広告の品質を認証するための機構「JICDAQ」が設立され、インターネット広告の透明性の問題に業界としての対応方針が示されました。インナーウェアをはじめとする繊維製品の製造・販売を行う株式会社ワコールは、このアドベリフィケーションについてどのように考え、取り組まれているのでしょうか。

ワコールのデジタル広告とアドベリフィケーション

まず、アドベリフィケーション対策は「誰」がやるべきなのでしょうか。特に、対策に伴い発生するコストを「誰が支払うのが適切なのか」という問題は、根深く存在しています。責任の所在が不明瞭であるがゆえアドベリフィケーションが行われない、ツールの導入が進まない。それにより広告面がきれいにならない、という悪循環が現在まで続いている側面があります。ワコールがアドベリフィケーションにおける取り組みを進めてこられた中で、原様のお考えに変化はありましたか。

原:私個人の意見として聞いていただければと思いますが、アドベリフィケーションについては私たちのような広告主とエージェンシー、プラットフォーマーの「全員」で対応することが得策であるという結論に至ると考えています。以前、エージェンシーさんから広告枠の提案をいただいた際、質問すると正直に「違法サイトやネガティブなサイトに広告が表示される可能性もあります」と言われたことがありました。私たちは当然のことながら「リスクを孕んだ広告枠は売らないで欲しい」と思いますよね。一方で、もしプラットフォーマー側の方で「アドベリフィケーションの対策を十分にしている」と言われても、実はプラットフォーマーにとって都合が良い基準・対策でしかない可能性も否定できません。やはり最終的には「自分たちのブランドは、自分たちで守る」という意識が必要だと思います。しかしながら、デジタル広告の業界全体で真摯に取り組むことによって、健全な環境をつくっていくことが可能だと思いますし、それが一番望ましいとも考えています。

業界全体として取り組むことが、最終的にデジタル広告のパフォーマンス向上に繋がるという考えに至っているということですね。ちなみにアドベリフィケーション対策でいうと、いわゆる「ブラックリスト」や「ホワイトリスト」などがありますが、ワコールではこれまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

原:以前、Momentum社以外のツールベンダーさんと一緒に「アドベリフィケーションの対策をしていない状態では、どのような面にどれだけの数が表示されるのか」、「逆に対策した場合では、どんな基準ではじかれているのか」など、さまざまなケースを以て検証したことがありました。以来、一緒にお仕事させていただくベンダーさん方には、対策やアドベリフィケーションツール導入の有無をお取引前に確認させていただいています。最近ではホワイトリスト配信に対応するケースも多くなっている印象です。

ホワイトリストは、どういった形で生成されているのでしょうか。

原:ホワイトリストはだいぶ絞っているので、PMP(プライベートマーケットプレイス)に近い形かもしれません。女性系の雑誌・メディアだけに絞った形で生成することもあります。どれだけ対策をしてもリスクは決してゼロにならない、という前提の中でコストとリスクを天秤にかけて媒体ごとに自社にフォットした対策を行っています。

5Gなどの通信インフラの整備や、新型コロナウイルス感染拡大に対応した生活様式の変化を受け、動画コンテンツの視聴時間は伸長しています。また、動画広告元年と言われてから既に数年が経過していますが、最近ではYouTubeがスマートフォンだけでなくテレビでも視聴可能になりました。ワコールの動画広告における、CTV(コネクテッド・テレビ)やOTT(オーバー・ザ・トップ)との向き合い方はいかがでしょうか。

原:実際にYouTubeでの広告配信結果などからも、テレビ面での配信量が非常に増えていることを実感します。また、ここ数年でCTVの広告市場規模は数倍に成長するなどとも言われており、しっかりと向き合う必要があるテーマの一つと捉えています。例えばテレビCMでは、F1層(20~34歳の女性)など中々リーチが伸びない層もあります。テレビとデジタルを組み合わせることで統合リーチが伸長する期待も持つことができますし、現在はいろいろな視点で検証している段階です。
また、スマホやPCなどのデバイスと視聴者の関係が基本的には「一対一」であることに対し、CTVでは「一対不特定多数」となる場面が多く想定できます。弊社(ワコール)はインナーウェアの商材が多いので、もちろんそれに伴う広告が多いのですが、家族と一緒に視聴している時にインナーウェアの広告を見ることに気まずさを感じられることもあるかもしれません。業種やプロダクトによって、最適解を選択することが望ましいと思います。それに加えて、視聴者にプロダクトをすぐに検索してもらいたいという狙いがあるのであれば、CTVよりスマホを選択する方が有効かもなど、幅広い視点で活用方法を模索しております。

ワコール×Momentum「HYTRA DASHBOARD Channel Safe List」を活用した取り組み事例

ワコール様においてブランドセーフティを担保しながら配信を行った場合、どのような影響が出るか「HYTRA DASHBOARD Channel Safe List」を用いて検証を行いました。

「HYTRA DASHBOARD Channel Safe List」(以下、セーフリスト)は、機械とオペレーターによるハイブリッドな判定から生成される「安全なチャンネルリスト」です。Google Ads Script提供による設定の自動化で、人的工数が発生することなく、安心・安全なYouTube広告配信が実現できる仕組みとなっています。
今回の検証では、ワコールの「企業CM(広告1)」と店頭で提供しているサービスを紹介する「店頭サービス(広告2)」の2つの広告を繋げて制作した動画を用いました。広告1と広告2の繋ぎが前後逆だった場合のユーザー動向も検証するべく、2つのVer.の動画で検証しました。

「ワコールの認知・好意度」について検証

通常配信、いわゆるセーフリストを適用していない状態でYouTubeの広告配信を行った場合と、セーフリストを適用してYouTubeの広告配信を行った場合とで、ワコールに対する認知度・好意度・今後の利用意向においてユーザーの反応に違いが出るか検証を行いました。結果、セーフリストを適用して配信した場合、全ての項目において、ポジティブな傾向が見られました。

「ワコールの広告認知」について検証

ワコールの広告を見たことがあるかという質問に対し、通常配信とセーフリストを適用した配信との差異を分析した結果です。セーフリストを適用したことにより、通常配信時と比較して「確かに見た」と回答した方が「企業CM先行Ver.(広告1)」では50%増、「店頭サービス先行Ver.(広告2)」では125%増という結果となりました。この結果について、原さんのご見解はいかがでしょうか。

原:セーフリストを適用しただけでこれほど増加するのか、と正直驚きました。広告が認知されているということはしっかりと動画が視聴されていることの表れだと思います。セーフリスト適用時のチャンネルを視聴されている人の視聴態度がいいのか、または何らかの目的を持って視聴されている人が多かったのでは、という仮説を持てば、これほどのリフト値があったことも推測できます。また、広告1と広告2を比較した際、認知に大きな差が出た点においては今後クリエイティブを制作する上での学びとなりました。反省点と捉えています。

配信チャンネルにおけるブランドセーフティの検証

これは通常配信時のimpression上位50チャンネルの中で、Momentum基準によりNGと判定しているチャンネルがどれだけあるかを可視化したグラフです。今回のケースでは上位50チャンネルのうち、58.9%がNGと判定したチャンネルでした。NG判定に分類されたチャンネルには、著作権侵害、アダルト、ヘイト系などが含まれています。その中でも特筆すべきは著作権侵害についてです。YouTubeの「公式アーティストチャンネル」といったオフィシャルチャンネルであるにも関わらず、何者かによる乗っ取り等で違法コンテンツがアップロードされてしまいマネタイズが行われている事象が、今回の調査でも明らかになっています。YouTubeというプラットフォーム自体の有効性はとても偉大ですが、一方でこのようなリスクも孕んでいる点において、原様はどのようにお考えでしょうか。

原:これまでは「YouTubeはGoogleが認めたものだから安心だ」と、半ば楽観的に捉えていた部分がありましたが、実際にMomentumさんから「こんなNGチャンネルにワコールの広告が出ていましたよ」という報告をいただいてからは、見過ごせない状況だと認識しています。私たちの想像以上に嫌悪感を持つチャンネルが広告配信先に含まれていたことに危機感を覚えました。

ユーザーのサイト到達後のアクションを検証

最後は、サイト到達後のユーザーのアクションを検証したものです。通常配信時と比較してセーフリストを適用した配信では、訪問別滞在時間が約9%、訪問別平均ページビューは約12%と、それぞれ増加しています。訪問時のユーザー行動とブランドセーフティの概念は一見切り離して考えてしまいがちな項目ですが、この結果について原様のご見解はいかがでしょうか。

原:当初は、ある種おまけ的に数値が上がったのでは?と捉えていましたが、セーフリストを適用したことによって、より親和性があるお客様に弊社(ワコール)の広告が表示されることに繋がったのだと思います。今回は「企業CM先行Ver.」と「店頭サービス先行Ver.」の動画を配信しましたが、プロダクトやお客様の購買行動を意識した動画でも同様の効果が期待できるのではないかと推察します。次回はコンバージョンがポイントになるような動画でトライしてみたいと思います。

ブランドセーフティのための施策が結果的にブランド認知の向上やサイト内でのポジティブなアクションへと、広く影響を与えることが今回の検証で分かりました。総括として、原さんのお考えをお聞かせください。

原:元々は「実際にはどんなNGチャンネルに自社の広告が配信されているんだろう」という不安や疑問に感じていた点を、第三者視点でチェックしたいと考えたことが発端でした。実際蓋を開けてみると、セーフリスト適用の有無によってこれほどの違いが出たことに驚いています。また、セーフリストを適用することによって、ブランド認知度や好意度のみならず、サイトの回遊状況までもが改善された事実は、嬉しい副産物でした。何よりこれまで知らないうちにリスクを孕むチャンネルにも広告が配信されていたことは、危機感を覚えました。今後も可能な限りしっかりとこのような課題と向き合い、適切な対策をしていきます。

本日はありがとうございました。



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SupershipグループのMomentumは、日本語に特化した言語解析技術と独自データを活用したアドフラウド検知技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションソリューションカンパニーです。アドプラットフォーム・広告主・広告代理店など、様々な企業のニーズにあわせた「HYTRA」ブランドのサービスを提供しています。

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