この記事では今年4月に正式サービスを開始したサイト内検索ソリューション「Supership Search Solution」(通称:S4/エスフォー)について、解説します。
Supership Search Solution(S4)とは?
現在、Supershipでは、大手のポータルサイトやECサイトで検索機能の開発・改善を担当していたメンバーが検索事業に携わっており、KDDIのスマートフォンサービス「auWebポータル」「auサービスTOP」「auスマートパス」などにおいて、検索サービスの機能開発・運用を担当し、サービスのUU向上や売上増大に貢献すべく取り組んでいます。
S4はこれまでSupershipが培ってきたこれらの検索エンジンのノウハウを、ASPとしてサイト内検索にご利用いただくソリューションです。
サイト内検索の検索結果の最適化には、どのようなことが必要なのか、
また、S4はその中でどのような独自性があるのかを、ECサイトでの事例を中心として紹介したいと思います。
最適な検索結果を表示させるために知っておきべきこととは?
①検索改善に必要なデータを整備する
検索結果を改善するためには、ざっくり分けると2つのポイントがあります。
1.入力された検索キーワードを検索ツールが理解する
2.検索キーワードに対して適切な結果を表示する
「入力された検索キーワードを理解する」というのは、旅行サイトで「京都」と検索すると「東京都」がヒットしてしまったり、総合ECサイトで「ドレス」と検索すると「コードレス掃除機」が出てきてしまうといった問題を指します。
これは、検索エンジンが日本語の単語の意味を理解しておらず、文字の部分一致のみで検索結果を表示しているために起こります。
ここで必要になるのが、単語を検索エンジンに理解させるために作る「辞書」です。
自動的な学習だけに頼らず、地名、ブランド名、タレントやスポーツ選手の名前などを辞書に追加していくことで、検索エンジンはキーワードに対するより適切な理解ができるようになります。
Web検索事業を柱とする企業では、定期的に検索のクオリティをチェックし、新語を辞書に追加していくチームを持っているケースが多いのですが、サイト内検索を自社で運営する場合、辞書メンテナンスの担当者を置くのはなかなか難しいかもしれません。
Supershipでは、辞書メンテナンスの担当者がS4を導入いただいているWebサイトに合わせて、定期的にサイト固有のキーワードをお客様専用の辞書として整備していく体制をとっているため、高精度のキーワード理解ができるようになっています。
2つ目のポイントの「検索キーワードに対して適切な結果を出す」ためには、サイトでの検索の使われ方に合わせたチューニングが必要となります。
仮にチューニングをしない場合、導入した検索エンジンによって、例えば単純にキーワードとページの一致度が高い順に検索結果が表示されるということになりますが、お客様が検索に求めている要素はそれだけではありません。
「ページビューや売上が大きい人気のページを優先する」「最近できた新着のページを優先する」など、Webサイトに合わせた味付けが必要となります。
それぞれのユーザーニーズに合わせたチューニングロジックを組み、検索結果を改善していくためには、日々サイト内検索でお客様がどのような行動をしているかを分析し、状況に合わせた改善施策をとる必要があります。検索の改善には機械学習も活用されていますが、よりよい検索結果にしていくためには、すべて機械学習にお任せというわけにはいかず、人手によるPDCAサイクルが必須となるのです。
課題の発見がWebサイトの担当者様でできたとしても、検索エンジンのチューニングには専門的なノウハウとリソースが必要になってしまいます。課題解決にお困りの際はぜひS4の担当者にご相談ください。
②キーワード検索だけじゃない
スマートフォンでの利用が中心のWebサイトでは、そもそもキーワードによる検索を使わないお客様が多いケースもあります。
ECサイトでは、キーワード検索だけでなく、カテゴリでの商品リスト表示にも検索エンジンを使用していることが多く、先ほど申し上げたチューニングの精度が高ければ高いほど、カテゴリ内のリストにおいてもユーザーニーズに合った順番で商品を見せることができるのです。
キーワードによる検索でお客様の離脱が高い場合は、カテゴリリストの整備を行うことで、お客様を目的の商品に誘導するのもCV改善の一手となるかもしれません。
③お客様はGoogleに慣れている
GoogleのWeb検索では、漢字の表記が正しいものをひらがなやローマ字のまま入力したり、間違ったスペルを入力したり、複数ワードでの検索時に間にスペースを入れなかったりしても、ほとんどの場合、目的のものが見つかるようになってきました。
その機能に期待して、検索キーワードを間違えたと気づいたときにも、そのまま検索するユーザーが増えてきているのではないでしょうか。
また、Googleでの検索結果では目的の情報がすぐに見つかるので、検索結果の2ページ目まで見ることもだいぶ少なくなってきたと思います。
このような便利な機能に慣れているお客様が増えてきたことで、サイト内検索でも、ひらがなでの検索をしたり、1ページ目で目的のものが見つからなければ2ページ目に行く前に離脱してしまうといった行動が目立ってきています。
S4では、先に述べた表記ゆれやユーザーニーズに合致した情報を表示できるよう、高度な検索技術を取り入れているため、離脱を防ぐだけでなくLTV(顧客生涯価値)の向上にも繋げることができます。
④まずは適切な現状把握を
サイト運営者様は、自社サイトのデータ分析において、Adobe AnalyticsやGoogle Analytics、各種BIツールなどを使用していると思います。
まずは一度、それらのツールを使って、「サイト内検索やカテゴリメニューがどれだけ使われているか」「離脱ポイントになっていないか」「どんなキーワードで検索されているのか」などを調べてみることをおすすめします。意外なキーワードが上昇していたり、大きな離脱ポイントが見つかったりと、思った以上に様々な課題が見つかるかもしれません。
S4では、検索の改善に特化した指標を定義済みのダッシュボードでこういった分析をしていただくことができますし、タグを導入すれば現在使用している検索エンジンのまま、ダッシュボード機能だけのご利用も可能です。
今回は、検索エンジンの基盤となる部分について、紹介しました。
サイト内検索ではこのほかにも重要な検索補助の機能として、「サジェスト(キーワード入力中の候補表示)」や「スペル訂正(「もしかして」機能)」をはじめとしたさまざまな機能があります。
これらについては、また別の機会にS4の実例と併せて紹介ができればと思います。
- まとめ
- 検索を改善していくためには、日本語を知り、サイトの特性を知り、お客様を知ったうえで、継続的な改善が必要となります。
S4では、お客様をより深く知るために、精度の高い豊富なデータを有するSupership のDMPと連携を図ることも可能です。これにより、検索したお客様の属性ごとに合わせた異なる結果を表示でき、ほかの検索ソリューションでは実現できない、よりきめ細やかな接客提案が行えるようになります。
サイト内検索の改善にお困りの方、興味をお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせいただければと思います!