多くの商品を取扱っているネットショップが対応しなければいけないこと、それが検索エンジンの最適化だ。多くの商品を取り揃えていても、ユーザーがたどり着くことができなければ意味がない。Googleなどの検索エンジンを普段から活用しているユーザーにとっては検索すれば見つけたい商品が表示されるのは当たり前のことだが、ECサイトでその機能を整備するのは意外と難しい。特に自社内でのリソースだけで行なうのであればなおさらだ。
そんなEC事業者におすすめなのがSupership株式会社のサイト内検索ソリューション『Supership Search Solution』(以下、S4)だ。どのような機能やフォローアップが可能なのか、実際に『S4』を導入した、CtoCマーケット「Creema(クリーマ)」を運営している株式会社クリーマにお話を伺った。 |
※本記事は「ECのミカタ」に掲載いただいた記事を再掲したものです。
掲載点数が多いからこそ作品との出会いに必然と偶然の出会いを。
−ハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」の概要を教えてください。
柏村 裕奈氏(以下、柏村) Creemaは創作活動に取り組む全国の作り手とユーザー様がオリジナル作品を売買できるCtoCのマーケットプレイスです。
「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」ことを目指し、2010年にサービスを開始しました。
現在では約13万人の作家さんが手作りした600万点ものオリジナル作品が出品されています。
−サイトデザインも温かみがあり、おしゃれですよね。サイトへのこだわりはどんな部分にあるのでしょうか。
柏村 Creemaの作品はファッションアイテム、家具、インテリア雑貨、アート、フードと多岐に渡ります。よってユーザー様の方々が求めるものはほとんどカバーできていると思います。
その中でいかに求める作品情報を届けられるかは大きな指針として心がけています。
また明確な目的がない方にも、Creemaのサイトを楽しいと思って見てもらえるように心がけています。
目的を持って訪れた方と、そうでない方、両方に満足してもらえるコンテンツを提供できるようにこだわりを持って運営を行なっています。
−今回導入した「S4」はまさにユーザーの求める商品を表示するという点では重要な役割を果たしていると思いますが、導入前にはどのような課題を抱えていたのでしょうか。
柏村 やはり作品数が多いのは強みでもあり、弱みでもありました。一つのカテゴリーで数万もの作品が出てくるので、ユーザー様が自分の目的の作品を探すのが困難な場合がありました。
また作品名や紹介文には出品者である作り手ののこだわりが反映されるので、例えば「マグカップ」を「マグ」で掲載していても、「カップ」で検索された場合、取りこぼしが少なからず発生していたことも一つ課題となっていました。
大石 哲生氏(以下、大石) 技術的にも課題はありました。以前はユーザー様が入力したキーワードを作品情報とマッチングさせるのに、ノイズが比較的多く出てしまう方式(※バイグラム)を採用していました。
検索エンジンを自社で対応するのであれば専門のチームを作り、そこに注力すれば不可能ではありません。しかし知見不足や、内部のリソースや人件費を考えるとすでに運用体制が整っているSupership様にご対応いただけてよかったと思っています。
※ バイグラム→任意の文字列や文書を連続した2個の文字で分割するテキスト分割方法
−「S4」を導入した最大の決め手はどのようなところにあったのでしょうか。
大石 「S4」そのもののクオリティの高さはもちろん、担当の方が弊社の希望に耳を傾けてくれたことは印象的でした。対応も早く、柔軟に対応していただき、仕事は非常に行ないやすかったです。具体的な対応としては検索エンジンを導入する前に、検索に関わるサイトの一部の改善を一緒に考えていただきました。実際に効果も出ていたので、その流れのまま「S4」を導入しました。
濃密な情報共有で検索データ解析からS4導入までをスムーズに
宇都宮 紀陽氏(以下、宇都宮) まずは検索の活用としてコンサルティングから入らせて頂きました。現状から、検索データを活用できるのではないかといった提案をさせていただきました。
そのために最初の4ヶ月ほどの期間は課題などをヒアリングさせていただきました。
長谷川 哲也氏(以下、長谷川) 先ほど大石さんが仰ったように、まずは細かい改善から着手しました。例えば検索データの分析です。最初クリーマ様はログ分析をしておらず、データは溜まっているのに活用ができていない、といった状況でした。ですので現状のデータから何が強みで何が弱みなのかを把握し、施策に繋げられるような提案をさせていただきました。
宇都宮 一番大事なのはクリーマ様がなにを求めているかだと思います。私たちができることを提示させていただきながらも、クリーマ様の希望条件を第一に実現できるよう努めました。
ビジネスパートナーの関係に留まらず、エンジニア仲間のような濃密な関係を築くことができました。大体週に1回ほど通わせていただきましたね。
大石 サイトを訪れているユーザー様の動きが把握できるようになったことで施策を行ないやすくなりました。これも親身に相談に乗っていただいたおかげだと思います。
週1〜2時間の打ち合わせではなく、本当に丸1日中いましたよね。(笑)
−非常に濃密なやりとりを行なったことにはどのような理由があったのでしょうか。
長谷川 もちろん、コミュニケーション不足のせいで発生する齟齬を防ぐ目的はありましたが、クリーマ様にとって初めての外部ベンダーとの連携ということで今後の為にも、ミスケースにはなりたくないという想いは強かったです。
大石 おかげさまで、解析から検索エンジン導入後までの一連の流れを非常にスムーズに行なうことができました。
ログの仕込み、データ分析、従来の検索ロジックの刷新まで、寄り添った対応を行なっていただき、結果的にCTRは稼動から3ヶ月で113%も向上しました。まだまだ改善の見込みがあります。
柏村 特にサジェスト機能はユーザー様が本当に求めている作品を提供できるようになりました。実際に社内からも、自社サイトが調べやすくなり、作品特集を組みやすくなったという声も聞くことは多かったですね。
検索ツールの提供だけで終わらない関係性。今後の取り組みは?
大石 今後もSupership様とはお仕事をしていきたいですね。何か困った時にすぐに対応していただけるのはとても助かりますし、これからも継続的に支援をお願いできればと思います。
既に取り組んでいただいていることとしては、例えば辞書データの保守です。地味ですが非常に重要な要素なので継続して更新しなければなりません。
他にも、今回分析基盤を作っていただいたので、数字が悪くなったりした際の対応などもより改善していけると思います。
宇都宮 Supership内でも、クリーマ様の数値はよく見ています。CTRの向上や検索のゼロマッチ、作家さんの名前の表記揺れは大幅に改善されましたが、まだやれることは多くあります。
柏村 作家さんの名前は多種多様で検索に当たりにくいことが多々あったので、表記揺れの改善はファンのユーザー様にとって嬉しい改善だったのではないかと思います。とはいえ、まだまだ改善していきたい部分です。
宇都宮 今回の取り組みは1年近くかかったプロジェクトです。ただのツールの提供だけに留まらずに、いかに価値提供を行なっていくかがクライアント様に寄り添う結果になるのだと考えています。
ただ便利になるだけではなく、いかにクライアント様の売上向上に繋げていくかという点も我々としては強くこだわっていきたいと考えています。クリーマ様などと同様に、クライアント様と密な関係を築き手厚くフォローする体制は弊社の強みなので、検索エンジンにお悩みの事業者様は是非ご相談いただければと思います。
取材・執筆:ECのミカタ編集部