2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

ポストCookie時代の到来に備え、SupershipとOracleが描くこれからのコンテクスチュアルターゲティングの未来とは?
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ポストCookie時代の到来に備え、SupershipとOracleが描くこれからのコンテクスチュアルターゲティングの未来とは?

独自データを活用した高精度なターゲティング配信や媒体開示型の詳細なレポーティング機能によって、より効果的、効率的な広告運用を多様な広告フォーマットにて可能にする、Supershipの広告主様向けアドプラットフォーム「ScaleOut DSP」。2021年4月より、AIを活用した独自の広告テクノロジーを提供する日本オラクル株式会社(以下、オラクル)の広告ソリューション「Oracle Advertising」との連携を開始しました。

プレスリリースはこちら:
Supershipの「ScaleOut DSP」が「Oracle Advertising」と連携〜ポストCookie時代を見越したコンテクスチュアルターゲティング広告配信と、Moat by Oracleのグローバル指標によるアドベリフィケーション機能を実現〜

今回は、両社が連携に至った背景や今後について、日本のアドプラットフォームやブランドに「Oracle Advertising」の導入を支援するオラクルの西川氏と、Supershipで「ScaleOut DSP」のセールスチームリーダーとしてデジタルマーケティングのプランニングをリードするSupershipの樋口に、インタビューを実施いたしました。

ゲスト(敬称略):

日本オラクル株式会社 パートナーデベロップメント 西川明里
CCIでメディアプランニングからセールス、メニュー開発などに携わり、その後2年間ほど留学。帰国後はCriteoでパブリッシャーリクルーティングやマネタイズを担当し、2017年にOracle Data Cloud(現Oracle Advertising)の日本立ち上げメンバーとしてオラクルに入社。2017年にオラクルがMoatを買収してからはMoatとオーディエンス、2018年にコンテクスチュアル解析・ターゲティング企業のGrapeshot (現Oracle Contextual Intelligence)を買収してからはオーディエンス、Moat、コンテクスチュアルの3領域でパートナーマネージメントを担当。

Supership株式会社 デマンドプラットフォーム推進部 セールス1G GL 樋口 隆文
ユナイテッドにてモバイル広告営業を経て、ミレニアルメディアの日本支社立ち上げメンバーとして、パブリッシャーリクルーティングを担当。
その後、アマゾンジャパンにてアカウントマネージャーとしてプランニングと広告運用を担当したのち、現職。

背景にはCookieレスの対策とアドベリフィケーションへのニーズの高まり

──まず、Supershipの「ScaleOut DSP」がオラクルの広告ソリューションとの連携に至った背景やその狙いについて教えてください。

樋口:今回の「Oracle Advertising」との連携で、「ScaleOut DSP」におけるCookieを使わないコンテクスチュアルターゲティング配信と、Moat by Oracleの指標におけるビューアビリティレートの指定配信の2つの機能強化が実現しました。
これらの連携に至った背景としては、SupershipとしてポストCookieの世界を見据えた様々な取り組みを全社をあげて進めていますが、そのなかでも「Oracle Contextual Intelligence」にはCookieに依存しないこれからの広告配信において欠かせない重要なソリューションの一つとして大きな期待を寄せているというのが1つあります。
もう1つ、「Prebid by MOAT」に関しては、弊社で以前から積極的に行っているアドベリフィケーションのさらなる機能強化という目的で導入させていただきました。
すでに弊社ではMomentumの「HYTRA」やインテグラル・アド・サイエンス (IAS)との連携をしていますが、こうしたアドベリフィケーションに対する広告主の感度は年々高まっているのを肌で感じています。特にグローバルで展開しているような広告主からは、グローバル指標であるMoat by Oracleの計測を日本のキャンペーンにも適用したいといったリクエストがあり、こうした声にもお応えできるように対応を行ったというかたちです。

オーディエンスターゲティングにおける課題解決に期待

──アドベリフィケーションの機能強化とCookieレス時代を見据えた広告配信対応という、広告主が今特に注目している2つのニーズに対してそれぞれアプローチが可能となったということですね。

樋口:我々セールス側の現場感でいうと、特にコンテクスチュアルターゲティングへの対応ニーズは非常に高いです。当然、アドプラットフォームとしてCookieやIDFAに依存せずとも効果の出る広告配信環境を整えなくてはいけないという部分がありつつ、個人的にはこれを機に、これまでやってきたオーディエンスターゲティングを再定義する必要があると思っています。

例えば「スポーツ関心層」といったようなセグメントには、スポーツを「する」側の人もいれば、「観る」側の人も含まれているケースが存在します。
そういった細かい定義の違いであっても、実際「観る」側と「する」側ではクリックやコンバージョンなどの結果に大きな違いが出てくることもあるので、そういった意味でこれまでのオーディエンスターゲティングを見直すいい機会だと思っています。
今まで使ってきたCookieだけではこうしたセグメントを再構成するのはなかなか難しいかと思いますが、「Oracle Contextual Intelligence」のような高度なコンテクスチュアルターゲティングの技術によってここを解決することができるようになるのではないかと個人的には期待しています。

「Oracle Contextual Intelligence」が実現する進化したコンテクスチュアルターゲティングとは?

──これまでのオーディエンスターゲティングでコントロールしきれなかったところをオラクルの文脈解析技術によって適切にターゲティングできるようになるのでは?という期待が寄せられていますが、「Oracle Contextual Intelligence」について詳しくご説明いただけますでしょうか?

西川:まず、コンテクスチュアルターゲティングは人でなくページに対してターゲティングをするので、従来のオーディエンスターゲティングとは全く別の概念のものです。
ページに書かれた内容から文脈解析をして関連性の高い広告を出すものとして以前からコンテンツマッチ型広告やコンテキスト広告とも呼ばれてきたように、昔からある手法というイメージがあるかと思いますが、昔と今ではその技術に大きな違いがあります。
今までのコンテクスチュアルターゲティングは考え方がSEM(Search Engine Marketing)に近く、人間が考えて設定したキーワードが記事に含まれているかをエンジンで探し出して、そのキーワードが含まれているページに対して広告を配信するといったものでした。
オラクルの「Oracle Contextual Intelligence」は高度なコンテキスト解析を専門とするGrapeshot(2018年に買収)の技術によるもので、キーワードでなくキーワードを基にしたセグメントを設定することで、機械学習を備えたテクノロジーがそこからどんなコンテンツに配信したいかを自動で読み取り、関連するページを探し出すといったものです。
ここが従来のコンテクスチュアルターゲティングやコンテンツマッチ、ひいては他社で提供されているソリューションとの違いになります。
ターゲットすべきページのなかに予想したキーワードが入っていなくても、キーワードを基にしたセグメントからテクノロジーがきちんとどんなページに対して広告を出したいかを自動で読み取って適切なページを収集してくれるので、これまでリーチできなかったところにも広告を配信できる可能性があり、見込み顧客の獲得にも期待ができるのが特長です。
同じしくみで、ブランドリスクのある配信面には配信しないなどのコントロールも可能です。

特長としてもう一つあげるならば、オラクルでは独自にアドプラットフォームを持っているわけではないので、自社でインベントリを持つ事業者が提供しているような自社のプラットフォーム内に限定したコンテクスチュアルターゲティング配信ではなく、接続するDSPのすべてのトラフィックを解析して広告を配信することができるという点もあります。

──キーワードリストを駆使した高度なコンテンツ解析技術を持つ「Oracle Contextual Intelligence」ですが、どういった広告主・キャンペーンなどに特に需要が高そうだな、というような感触はありますか?

樋口:いわゆるモーメントを捉える必要がある商材には特にマッチしそうだなと思っています。例えば食品・飲料だったり、これまでオーディエンス単位でのターゲティングが難しかった金融や保険といった商材でも必要なタイミングで的確に当てることができると期待しています。
先ほど西川さんのご説明にもありましたが、コンテクスチュアルターゲティングは、人でなくページに対してのターゲティングになってくるので、人の意識というか欲しい物が顕在化したタイミングでリーチできるのが魅力であると思っています。ですので、購入までの検討期間が短い商材や、医薬品など必要となるタイミングが限られるものに対しても効果が出やすいのではないかと思っています。

正しい知識と技術により、真価を発揮するソリューション

──これまでのオーディエンスターゲティングではあてづらかったような業種の広告でも潜在層と顕在層の両方にアプローチできると期待しているということですね。
こうした細やかなターゲティングへのアプローチを実現するにあたり、広告を運用する担当者にも相当の知識や技術が問われるのではないかと想像するのですが、いかがでしょうか?

西川:仰る通り、管理画面自体は簡単なつくりになっているものの、一番重要な部分がキーワードを基にしたセグメント設計の部分になります。
ここで選定するキーワード次第でパフォーマンスが大きく左右されるので、弊社では経験豊富なプロフェッショナルがツールの導入前からしっかりとトレーニングを実施させていただいています。
例えば、先ほど「スポーツ関心層」の話がありましたが、「やる」人と「観る」人でターゲットを分けたい場合、単純に「観戦」というキーワードを入れれば「観る」のが好きな人にだけにフォーカスできるかというと必ずしもそれだけが正解ではなく、一見すると関係ないような別のキーワードを入れることでコントロールすることもできたりします。
こうしたテクニックを使いこなすには運用側の正しい知識や技術が必須となってきますので、運用開始後も弊社の言語学者の意見も取り入れたチューニングをするなど継続的にフォローさせていただきながら、使い方をマスターしていただけるように今後も二人三脚で取り組んでいきたいと思っています。

──すでに「ScaleOut DSP」のセールスチームはトレーニングを受けたとのことですが、実際に受けてみていかがでしたか?

樋口:既存の人単位でのターゲティングの考え方が染み付いているところがあるので、ページ(プレースメント)単位でのコンテクスチュアルターゲティングの考え方は新鮮に感じました。
こうした意識の切り替えがきちんとできないままツールを使ってしまうと、目的と違うターゲットに広告を配信してしまう危険性もあるかと思いますので、ツールを使いこなすうえではどういった文脈において広告が掲出されるのかを意識したキーワード選定が重要になってくると感じています。

トライアル運用の結果、パフォーマンスの維持に成功。ポテンシャルの高さも実感

──すでに一部の案件でトライアル運用をしたそうですが、結果はいかがでしたか?

樋口:あるパソコンの商材で、これまで実施してきたオーディエンスターゲティングと、コンテクスチュアルターゲティングによる広告配信で効果を比較してみました。
結果として、Cookieを使わずともこれまでとほとんど同じパフォーマンスを維持することができました。
正直、これまでもオーディエンスデータをつかって継続的なパフォーマンスを得られていた案件だったので、全く異なるターゲティング手法によって効果が下がってしまうのではないかと懸念していたのですが、蓋を開けてみたらきちんとパフォーマンスを維持できていたことにまずは安心しました。
同時に、今回のトライアルによってコンテクスチュアルターゲティングの持つポテンシャルの高さに気づくことができました。
配信開始直後はパフォーマンスが多少伸び悩んだのですが、キーワードを選定しなおしてチューニングをかけることによって数値を改善できるというのが実感として得られたので、今後も少しずつ実績を積み重ねながら、さらにパフォーマンスを改善していける余地が大いにあるなと思っています。

──今回、チューニングにあたって西川さんがアドバイスをしてくださったとのことですが、具体的にどのような調整をしていただいたのでしょうか?

西川:初期に設定したキーワードリストだと、配信先が必要以上に絞られてしまっていたためにパフォーマンスが出づらい状態だったので、配信ボリュームをあげられるようなキーワードリストを選定し直しました。
設定されていたキーワードは、代理店さん指定のSEO/SEMなどで使っているキーワードリストをもとにしたものだったので、それをそのまま入れるのでなく、「Oracle Contextual Intelligence」の機械学習テクノロジーをより働かせる、もう少し抽象度をあげたキーワードに置き換えたかたちです。

──まさにこれまでのオーディエンスターゲティングの考え方とは違ったコンテクスチュアルターゲティングならではの運用方法であり、ポテンシャルを感じる部分でもありますね。

樋口:そうですね。個人的に、コンテクスチュアルターゲティングの世界においては、商品やキャンペーンにこれまで以上に理解を深める必要があるなと思っています。
例えば、スポーツを観ながら楽しむようなアルコール飲料の場合、従来であればスポーツ関心層としてひと括りにされていたターゲティングからさらに踏み込んで、その商品が最も魅力的に映るタイミングはいつなのか?といったところから需要が高まるモーメントを考えてキーワードを選定するといったような設計をする必要があるなと思っています。
そういったモーメントを踏まえたキーワード選定をしたうえで、例えば試合の結果やニュースコンテンツに広告を出すのでなく、試合の予告コンテンツにだけ広告を出すといったような細やかな配信設計をすることによって、従来以上のパフォーマンスを上げることも期待できるのではないかと思っています。
他にも、場合によっては気温や湿気などのリアルタイムな情報を使ったターゲティングとの掛け合わせもあるでしょうし、コンテクスチュアルターゲティングにはいろんな掛け合わせによって様々な活用方法があると思います。ただ、やればやるほど配信先は狭まってきてしまうので、そのあたりのバランスはこれから模索していきたいです。

今後について

──GoogleによるサードパーティーCookieが取得できなくなるChromeのアップデートが来春にも開始されるとされていますが、いよいよCookieレスの世界が本格的に到来しますね。
最後に、オラクルとSupershipのそれぞれの立場から、今後の展望をお話いただけますでしょうか?

西川:Cookieレスへの対応として、eメールアドレスをベースとしたIDやファーストパーティーデータやゼロパーティーデータなど各社が様々なソリューションを使って対策をしているかと思います。今後どうなるかはわからないですが、現状言えることとして、これまでのサードパーティCookieをつかったオーディエンスターゲティングと全く同じやり方を引き継いでいくソリューションはないという事実は間違いありません。
サードパーティCookieターゲティングが通用しなくなるこの先、これまでと同じような興味関心を持つユーザーにターゲティングをする手段としてコンテクスチュアルターゲティングは有効であると思っています。
また、こうした中、従来のCookieを軸とした人ベースのターゲティングは、配信数という面でも今春から2022年に向けて徐々に減少していくことが想定されます。配信在庫を確保し、パフォーマンスにつながる正しいターゲットに対して正確なアプローチを継続できるよう、できるだけ早くコンテクスチュアルターゲティングという新しい手法をマスターし、広告配信を実践していただければと思います。

樋口:個人的に、大手プラットフォーマーが広告費の大半のシェアを囲うという状況は今後も変わらないと思っていますが、そんななかでも、彼らができない領域を強みに、「ScaleOut DSP」は引き続き勝負していけると思っています。
西川さんが仰るとおり、CookieやIDFAが使えなくなった世界においては、この新しいコンテクスチュアルターゲティングが広告配信において欠かせない重要な要素の一つとなるのは間違いないと思います。しかし一方で、正直コンテクスチュアルターゲティングだけでは厳しいケースも出てくるだろうとも思っています。
例えば、化粧品の広告を出したい場合に、コンテクスチュアルでターゲティングを絞ったうえで、男性と女性のどちらかにフォーカスしたいといった場合、ある程度キーワードリストだけでコントロールこともできるかもしれませんが、どうしても限界は出てきてしまうのかと思っています。
弊社の場合、Cookieが使えなくなっても引き続きキャリアデータによる正確な年齢性別などのデモグラフィックデータを活用できる部分は十分にあると考えていて、他社にはないSupershipとしての最大の強みを活かすことで、差別化していこうと考えております。

最後に

──先ほど「正しい知識と技術により、真価を発揮するソリューション」に関して、西川さんより「今後も二人三脚で取り組んでいきたいと思っています。」とコメントいただきましたが、お二人は昨年ご結婚されたと伺っております。仕事にプライベート含め二人三脚で取り組んでいけるって素敵ですね。

樋口:はい。(旧姓:西川)明里を幸せにします。

西川(新姓:樋口):はい。隆文と二人三脚で幸せな家庭を築きます。

Supership:はい。勝手にお幸せに!!!!!



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