愛されるより愛したい―恋愛を生み出すサービスのプロダクトオーナーが考えること #愛されるアプリへのベストプラクティス
セミナーレポート

愛されるより愛したい―恋愛を生み出すサービスのプロダクトオーナーが考えること #愛されるアプリへのベストプラクティス

本記事は、2017年7月20日に「Ad Generation」と「AppsFlyer」の共催で実施したアプリディレクター・マーケター向けイベント「愛されるアプリへのベストプラクティス」における講演をレポートしております。
今回は「株式会社エウレカ Pairs事業部責任者 金田悠希様」の講演を紹介いたします。

※その他、登壇していただきましたゲストスピーカー様の講演レポートはこちらにまとめてあります。

<#愛されるアプリへのベストプラクティス セミナーレポート>
愛されアプリのために…動画リワードはいいぞ!/Supership株式会社 迎昭宏
「キングスナイト -Wrath of the Dark Dragon」からみる愛されアプリのヒント/株式会社スクウェア・エニックス 星野小夜子様
③愛されてるつもりが遊ばれていた―フラウド時代に高まるアトリビューションツールの重要性/AppsFlyer 大坪直哉様
④愛されるより愛したい―恋愛を生み出すサービスのプロダクトオーナーが考えること/株式会社エウレカ Pairs事業部責任者 金田悠希様 (←イマココ)


株式会社エウレカ Pairs事業部責任者 金田 悠希様


Pairs」は、国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービスです。Facebookの登録情報を活用しているので、すでにFacebook上で友だちになっている異性とは出会わない仕組みになっています。豊富な検索条件とコミュニティ機能が特長で、理想の相手を見つけることができます。2012年からサービスを開始しており、現在、累計会員数600万人を突破。現在Android/iOSのアプリラットフォームと、PC、スマートフォンブラウザの4プラットフォームで展開しています。


「みんなが当たり前に『Pairs』を使ってくれるような世界にする」という目標を掲げ、日本発の恋愛・婚活マッチングサービスとして市場を盛り上げるべく、開発・運営に取り組んでいます。
日本では、恋愛・婚活マッチングサービス=出会い系というイメージがまだまだ根付いているので、そういった偏見のようなものを払拭するにはどうしたらいいかということも日々考えています。
当たり前に使ってもらうには、安心・安全で、わかりやすく、誰が触っても使いやすくなくてはならないので、プロダクトオーナーとして「使いやすさ」には一番こだわっています。


今回のテーマはということなのですが、「愛されるために何をしているのか?」と聞かれても実はちょっとすぐにはピンと来ませんでした。前職も含めて6年くらいプロダクトを担当しているなかで、あまり愛されようと考えたことはなかったんです。どちらかというと、私はユーザーに対してどれだけ良いサービスを提供できるかということと同時に、ビジネスもやっていかなければいけないと考えてきました。今回は、そういった制約のなかで、どのようにアプリ設計をしてきたか、という点を前職のゲームプロダクト開発の視点を交えてお話していきます。

マッチングとゲームの違い

まず、マッチングとゲームの違いからお話しします。
ここで伝えたいのは、「お金を払うユーザーの体験だけを最大化してもダメ」ということです。
このグラフは、アプリ登録後のユーザーのテンションの変化をイメージとして簡単にグラフ化したものです。


ゲームの設計は、まずガチャでキャラクターをゲットして、それからバトルにどんどん勝ってもらうことでユーザーのテンションを引き上げていくような設計が、「正攻法」や「方程式」などと(当時は)考えられていました。
一方、マッチングは複雑です。
青色は男性、赤色は女性のテンションを表しています。これはさまざまな例があるなかの一つとして聞いてください。
男性は気になる女性をみつけて「いいね!」を送り、お相手がそれに「ありがとう」で応えることでマッチングが成立すると、テンションが急激に高くなります。
ただ、女性からすると場合によっては、とりあえず「いいね!」がきたからマッチングしとくか、ぐらいのテンションだったりすることもあり得ます。
その後、男性は文章を色々考えてメッセージを作成しますが、メッセージを受け取った女性からすると、いくつかメッセージが届いているなかの一つにすぎないのでレスポンスが悪くなりがちです。これだとあまり上手くいかないんですね。
では、どのように解消したら良いのでしょうか。
例えば、ゲーム設計の方程式的に考えるとすると、ひとまず男性に女性をできるだけ多く表示して、数打てば当たるという発想でマッチング成立数を増やそうとする方法があります。


ただ、マッチングサービスを開発・運営している私たちとしてはそのようにはしたくないんです。
理想論をいうと、「1人と出会って1人と結ばれる世界」を目指していきたいと思っています。
男女問わず人気のある会員にはアプローチが多く集まるので「いいね!」が偏ってしまう傾向にありますが、そこをアルゴリズムによって工夫して分散させていくようにしています。
男性側だけでなく、女性側のテンションも上げていくことを念頭に運営することで、マッチング数でなくそのUU数を増やすことを目指しています。

マッチングではなくデーティング

私たちは、Pairsを「マッチングサービス」ではなく、「オンラインデーティングサービス」と呼んでいます。オンラインでマッチングしてそこで終わりなのではなく、オフラインでのユーザー体験(=デート)へつなげることまで責任を持つよう意識しているからです。
「Pairs」のマネタイズポイントは、マッチングが成立した後に発生します。
まずユーザーがオンラインで気になるお相手をみつけたら「いいね!」を送って、相手がそれに「ありがとう」を返すことでマッチングが成立し、メッセージのやりとりができるようになります。課金のタイミングはマッチングしてからメッセージのやりとりをする段階で、その後、ユーザー同士のオフライン(アプリ外)でのユーザー体験が生まれるようになります。
マネタイズを最大化しようとすると、メッセージを送る前段階だけ一生懸命作り込めばいいという発想になるかと思います。しかし私たちは「Pairs」を当たり前に使ってもらう世界をつくることをミッションとしていますので、マッチングで終わらず、きちんとデートをして、恋人になってもらいたいと思っています。


なので、「Pairs」ではマッチングUU数、メッセージUU数だけでなく、マッチング後に恋人ができて退会する人数も意識しています。

ユーザーへのサービス提供に関するオフラインの事例として、「プレミアムフライデート」という企画があります。


毎月最終金曜日に、飲食代を「Pairs」が負担し、スタッフが見守る中で安心してマッチング相手と会えるデートイベントです。
どれだけ安心・安全なサービス環境のなかでメッセージを重ねても、「いざ直接相手と会うのは勇気がいる」というユーザーの声に応える形で企画したものです。参加者からは満足度がとても高いコメントをいただいています。

先ほど、マッチング数だけでなく恋人になって退会するユーザー数も意識して運営しているとおつたえしましたが、ここについてもこだわりがあります。
私たちのビジネスモデルはサブスクリプション(月額課金)モデルなので、ビジネスのことを考えると、長く使ってもらえるようなアプリ設計にするのが正解なのですが、「Pairs」では会員のみなさんに恋人をみつけていただいて、それから退会してもらえるようなサービス運営をポリシーとしています。
こうしたポリシーが無いと、いつまでたっても成功体験が生まれず、オンラインデーティングサービス=出会い系のイメージを払拭できないと考えているからです。

 

★筆者メモ:
後日、このような取り組みのプレスリリースを出されていました。
Pairs入籍カップルをモデル起用し、渋谷街頭ビジョンやポスターにて複数展開

ユーザーに対して真摯である

最後に組織運営の考え方に関してもお話します。
「出会い系」ではなく「デーティングサービス」として認知されるには、自分たち自身が誰よりも真摯でないとこの業界でのイメージは変えられないので、「ユーザーに対して真摯である」という姿勢は組織内でも強く言い続けています。

こうした考え方を組織全体で共有できるよう、全社員が集まる全体会議やSlack、WorkPlaceなどのグループを活用して積極的に発信しています。

また、プロダクトオーナーである私個人としても、チームの雰囲気はプロダクトに反映されると思っているので、何か良いことがあると言葉にしてどんどん褒めるし、良くないことがあれば厳しいことも躊躇せずにきちんと伝えるようにしています。

プロダクトオーナーとして理念・ビジョン・戦略・パッションをチームにガンガン発信することで、各チームのムードを盛り上げられるよう心がけています。

まとめ


以上、ユーザーに愛されるアプリをつくろうとするよりも、自分からユーザーのことを徹底的に愛していくことで、自然と愛されるアプリになっていくのではないかなというのが私からのメッセージです。
そして、そんなアプリをつくるためには、チーム全員を巻き込みつつまずは自分から行動していくのが大切だと思います。
ご清聴、ありがとうございました。


※その他、登壇していただきましたゲストスピーカー様の講演レポートはこちらにまとめてあります。

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