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「キングスナイト -Wrath of the Dark Dragon」アートディレクターが語る #愛されるアプリへのベストプラクティス

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本記事は、2017年7月20日に「Ad Generation」と「AppsFlyer」の共催で実施したアプリディレクター・マーケター向けイベント「愛されるアプリへのベストプラクティス」における講演をレポートしております。
今回は「株式会社スクウェア・エニックス 星野小夜子様」の講演を紹介いたします。

※その他、登壇していただきましたゲストスピーカー様の講演レポートはこちらにまとめてあります。


「キングスナイト -Wrath of the Dark Dragon-」 アートディレクター
 株式会社スクウェア・エニックス 星野小夜子様

株式会社スクウェア・エニックス 第二ビジネスディビジョン所属の星野小夜子と申します。現在「キングスナイト」というスマートフォン用のゲームアプリのアートディレクターを担当しております。
スクウェアに入社後、社名がスクウェア・エニックスに変わったりなどしつつ、かれこれ15年ほど働かせていただいております。これまでキングダムハーツやファイナルファンタジーの各シリーズのデザイン業務に携わってきました。
たまに「この名前 ペンネームですか?」とか訊かれるんですが、一応本名です(笑)

それではさっそくお話に入らせていただきます。
アプリというと幅広くて、睡眠アプリやお母さんの出納帳など色々ありますが、私自身はゲームの、しかもアートが専門なので、本日は主にこの切り口からのお話になります。
現在制作中の作品を例にお話ししますので、まずは簡単に作品の紹介をさせていただきます。


キングスナイト -Wrath of the Dark Dragon-」は現在、リリースに向けて制作中のスマートフォン向けゲームアプリです。
どのようなアプリかといいますと、去年の秋に全世界同時リリースし、累計販売本数600万以上を突破しました「FINAL FANTASY XV (ファイナルファンタジー15)」の主人公たちがハマっているという設定のゲームアプリです。
主人公たちがキングスナイトを遊んでいたり、会話にも何度も出てくるので、FF15をやったことがある方は既にご存知かもしれません。


▼アプリ「キングスナイト -Wrath of the Dark Dragon-」PV

(↑PVにはFF15のキャラクターたちがキングスナイトをプレイしている様子も…)

公式サイトはこちら

実は、この「キングスナイト」はFF15から生まれたのではなく、今から31年前、「ファイナルファンタジー」が生まれるもっと前に、スクウェアが発売した初のファミコン向けオリジナルソフト「ファミコン版キングスナイト」が元ネタとなっています。


ファミコン版キングスナイト紹介ページ/任天堂

▼任天堂公式プレイ動画


今作は厳密に言うと、ファミコン版のリメイクというわけではなく、原作のあとの時代を舞台とした新生アプリです。オンラインで4人協力対戦ができる縦スクロールのアクションゲームで、「ぶっ壊しアクションRPG」といった感じの作品になっています。


本日は鋭意制作中のこの作品から、イベントのテーマである「愛されるアプリ」について深掘りして考えていきたいと思います。

愛されるアプリとは?

そもそも、愛されるアプリには愛してくれる誰かがいるわけですが、それは誰なのかを確認していきます。「キングスナイト」を例にすると、愛してほしいのはこの方たちです。

【1】ファミコン版のキングスナイトを知っている、もしくは遊んだことがあるユーザー
(少し広げると、ファミコンというものを遊んだことがあるユーザー)
【2】原作は知らないけれど、スマホのアクションゲームが好きなユーザー

では、どんなところを愛してもらいたいのかを確認します。
今作で制作側が愛されたいポイントとしているのは大きく2つです。

【1】ノスタルジックなのに他にない世界
(矛盾したことを言っているようですが、懐かしい感じだけど、他にないはない独特の世界感を表現しています)
【2】「俺つえぇ〜!」という気持ちになれる爽快なアクション

どんなユーザーに、どんなところを愛されたいかというポイントを原点回帰してみましたが、我々制作側としてはこれらを個々に達成するのでなく、併合して同時に実現しようと試みておりまして、今回はその実例を3つご紹介します。

①現代の技術で壁を新生!

実例その1は「トンマナと印象」です。
ファミコン版キングスナイトは強制縦スクロールされる画面でドットの壁を壊して進んでいくゲームです。本作でも同じように壁を壊して進むわけなのですが、そのトンマナと印象をオリジナルにあわせて調整しています。


上段がファミコンの画面で下段のほうが我々が作っているアプリの画面です。
正直、現在の技術があれば、質感がリアルでクオリティの高い壁などホイホイ作れてしまいますが、「キングスナイト」ではあえてファミコン時代のドットの再現をおこなっております。しかも“立体に置き換えて”です。
今作は3Dなので、俯瞰視点のカメラから映したパースのついた空を含めた奥行きのある背景を作る必要がありました。
そこで画面手前はファミコンの絵柄のビビットなドット、奥にいけば行くほどフォグがかかった立体の世界というハイブリットな世界観を表現しました。
画面手前のドット風テクスチャはファミコンの時のものを忠実に再現しましたが、奥に行くほど空気感を表現する「フォグ」がかかっています。
「郷愁を煽りつつも新しい世界」というのを、愛されたいユーザーから愛してもらえるためのアプローチの1つとして考えており、画面の手前から奥までを30年間の時間のグラデーションのような表現にしたいと思い、このようなグラフィックにしております。
ちなみに、雨が降ったり雪が舞ったりという天候要素もあるので、ファミコン時代を知らなくても普通に臨場感あふれるバトルフィールドとして体験ができる形に整えております。

②ネタ感もありつつクールに!

実例その2は「キービジュアル」です。
真ん中と右側が私が描いた絵なのですが(筆者補足:会場で「お〜〜」という声があがりました!)
キービジュアルは作品の顔となる重要なものなので、お客さんに届けたいメッセージや商品の推しどころを考慮しながら、コンセプトを固めていかなくてはいけません。


一番左はファミコン時代のキャラクターを抜き出したものになりますが、キービジュアル制作にあたり、まずこの四人のキャラクターの配置は絶対踏襲した絵を描こうというのは最初から決めておりました。
そこから、親しみやすさを求めるためにアメコミ調はどうかな?とか、30年の歴史というか未来を感じさせるためにリアルタッチはどうかな?とか、同じキャラクターをいろんな趣向で試して描いてみており、真ん中はその過程で描いた候補の1つです。本アプリはグローバルで展開するので、海外でも受け入れられることを強く意識して、萌えを排除したクールで硬派な印象にしたいという思いから最終的には一番右側の絵に決定しました。
クールな中にもネタ要素も残しておりまして、「バルーサ」という一角獣のキャラクター(画像一番右)がいるのですが、ドットだと可愛らしかったのにリアルになったらちょっと見た目が怖くなっているので、公式ツイッターでキャラクター紹介をした時などユーザーから驚きのリアクションもいただいております。



そのほか前作では兜で顔が見えなかったレイジャックも、「兜を脱ぐと物凄くイケメン!」という驚きの声もいただいています。


③フォーメーションRPGがさらに進化!

実例その3は「作品キーワード」です。
原作のキングスナイトは「フォーメーションRPG」というユニークなジャンル名で売り出しておりました。縦スクロール画面で、壁を壊しながら進むため、「え、シューティングでしょ?」と突っ込まれるキングスナイトですが、実は公式サイトにも「このゲームは縦スクロールのフォーメーションRPGです」と明記されています。
「どんなジャンルなのよ」ってところなんですが(笑)このキーワードをしっかり拾って、「再現」と「新規の遊び」を織り交ぜました。
30年後となるフォーメーションRPGの形として、「Co-op(協力プレイ)」を取り入れています。


ファミコン版のときは、もちろん通信などないので、ソロプレイで4人のキャラクターのフォーメーションを配置しながら攻略をしていく形だったのですが、今作ではオンラインでマッチングした4人みんなでフォーメーションを組んでプレイする、という進化した形でゲームの要素に取り入れています。
条件が揃うとチャンスタイムが発生し、その時間内にフォーメーションを組むと必殺技がさく裂します。実際にプレイすると結構真剣になります(笑)完成するとかなり達成感が得られますので、アクション好きの人には腕の見せどころとなって楽しんでいただけると思います。

まとめ:愛をもって作品へ向き合う

以上、駆け足で3つの実例をご紹介しました。制作側がユーザーに届けたいものは、「理由があって作られた見た目」と「アクションから得られる純粋な興奮」であり、それによりゲームを知らないユーザーも夢中になって楽しんでもらえるような世界観を、制作側としてあらゆる切り口で作り込んでいます。

近年は、流行のイラストや有名声優さんの起用、といったポイントを推しにしているアプリもたくさん登場していますが、「キングスナイト」はとにかく、【ゲーム】の印象を強く推すことを意識しました。
「ただ綺麗なら良いのではなくて、ちゃんと理由があってこの掘り下げ方になっている」ということを、最初に掲げた「愛してほしい人たち」に伝えるには、まず現場の人間が愛を持って作品と向き合うことが大切です。


スライドには現場の【愛の概念】共有と書きましたが、要はコンセプトを共有しましょう、ということです。
今回、実例として3つのアプローチをご紹介しましたが、当然ながらこれは1人で達成できるものではありません。スタッフ全員で一緒に作っていくものになります。
ただし、スタッフが作品を愛しているかどうかは、ユーザーさんに結構ダイレクトに見抜かれてしまうんです。制作側に綻びがあったり、一貫性がなかったりすると、遊んでいる気持ちが冷めてしまうんですよね。
逆にプレイヤーがスタッフの愛の集合体みたいなものをその作品から感じとれると、「これはよくできたゲームだなぁ!」と褒めていただけるわけです。
作り手ひとりひとりが自主性、目的をしっかり持つことで、作品の追い風となる強いパワーが生み出されるのだと思っています。
こうした環境を作るためには、スタッフ同士でしっかりとコミュニケーションを取ることや、例えばキービジュアルのような方向性の基準となるものを時に立ち返って確認することなどは、非常に効果的かと思います。
作品を愛してあげないことには愛されるアプリは作れないのかなと思っております。

おまけ

最後に、ちょっとおまけです!
実は今作がどのように評価されているかを、直近で知る機会がありました。
アメリカのロサンゼルスで開催された世界最大のゲームショー「E3 2017」の会場にて、「キングスナイト」をプレイアブルで試遊出展してまいりました。


ありがたいことに開催期間中3日間とも、試遊コーナーは行列が絶えることなく大盛況で、会場ではドットのキャラクターをあしらったオリジナルTシャツも好評いただいておりました。
そのあと世界各国38のメディアが、E3出展企業のなかからベストゲームを選出する「Game Critics Awards Best of E3 2017」の「Best Mobile/Handheld 」という部門にノミネートしていただくことができました。
「Best Mobile/Handheld」というのは、3DSやPSPなどの全ての携帯ゲーム機のソフトの中から選ばれるものです。「キングスナイト」はノミネートされた5タイトルの1つに選んでいただけました。結果は、3DSの「メトロイド サムスリターンズ」が受賞をし、残念ながら我々は受賞ならずでしたが、リリース前のアプリにも関わらず数あるゲームのなかでノミネートをいただけたということで、非常にありがたいことでした。

以上、締めくくりとなりますが、愛されるアプリを作るためには、興味をもってもらうこと、そして継続して気に入ってもらうこと、この2つを作り手の愛をもって実現していくべきではないかなと思っております。
本日の講演は以上となります。ご清聴ありがとうございました。


登壇していただきましたゲストスピーカー様の講演レポートはこちらで詳しくまとめておりますので是非ご覧ください。

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