セミナーレポート

データ・ドリブン時代に求められる事業開発とは? #KDDI Innovation Makers セミナーレポート

「通信とライフデザインの融合」を掲げ、通信を中心に、ECやエネルギー、金融など、多様な事業を展開するKDDI株式会社では、さまざまなキーワードから次世代のイノベーションを考えるイベント「KDDI Innovation Makers」を開催しています。

その初回となる「BUSINESS DEVELOPMENT MEETUP データドリブン時代において求められる事業開発とは?」が9月26日に開かれ、Supershipホールディングスから、経営戦略本部 経営戦略室長の野本 遼平がパネルディスカッションに参加いたしました。

KDDIの5G、IoT時代のビジネス開発拠点として東京・虎ノ門に新たにオープンした「KDDI DIGITAL GATE」で開催されたこちらのセミナーの様子をレポートします。

■登壇者(左から)
KDDI株式会社 理事 ライフデザイン事業企画本部長 新居 眞吾 氏
KDDI株式会社 ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本 美佐 氏
Supershipホールディングス株式会社 経営戦略本部 経営戦略室長 野本 遼平
ARISE analytics株式会社 ビジネスディベロップメントディビジョン ディビジョンリード 兼 アクセンチュア株式会社 通信ハイテクメディア事業本部 マネージング・ディレクター 長谷川 匠 氏

 


 

KDDIの「データ利活用」による事業推進

KDDI株式会社 理事 ライフデザイン事業企画本部長 新居 眞吾 氏

セミナーでは、はじめに、KDDI株式会社 理事 ライフデザイン事業企画本部長の新居 眞吾氏から、KDDIにおけるデータ利活用の取り組みについて紹介されました。

KDDIにおいて、データの利活用は「個人ユーザーの理解とサービス品質の向上」、そして「法人顧客の事業課題の解決と社会貢献」の2つの方向性で進められています。
前者では、ユーザーそれぞれの趣味嗜好に合った最適なサービスのレコメンドや、auの基地局や販売店を最適な場所に配置することなどを通して、個人ユーザーの満足度向上やユーザー拡大に取り組んでいます。

そして後者では、位置情報を用いた商圏分析や観光動態調査、デジタルメディアを活用したマーケティングの効率化提案などを行っています。

これらの取り組みにおいては、多様な得意分野を持った子会社や関連会社との連携を積極的に進めており、Supershipもデジタルマーケティングの分野における連携を行っています。

KDDIおよびグループ会社ではこれらの取組を推進する一方で、データの取り扱いに関しては、個人情報保護法やGDPRなどの法律や規定に則り、情報セキュリティの専門部署を設けるなど、コンプライアンス/セキュリティの厳守を大前提としています。

続いて、ARISE analytics株式会社 ビジネスディベロップメントディビジョン ディビジョンリード 長谷川 匠氏がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、KDDI株式会社 ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本 美佐 氏、Supershipホールディングス 野本が登場し、「新規事業開発では失敗こそ学びの全てと思っている」との長谷川氏自身の経験から出た言葉でセッションがスタートしました。

 

各社が取り組むデータ・ドリブンな事業

パネルディスカッションの冒頭では、登壇した各社が取り組んでいるデータ・ドリブンな事業について紹介されました。

【KDDI】

KDDI株式会社 ライフデザイン事業企画本部
新規事業推進部長 宮本 美佐 氏

KDDI 宮本氏は、自らの部署で取り組むデータ活用事業のモットーは「auの位置情報でお客様の暮らしをもっと快適に」であると語りました。

そのうえで、現在取り組んでいる事業として、自社の強みである位置情報データ(ユーザーから明示的に許諾を得たうえで取得し、誰の情報かわからないように秘匿化し加工されたもの)を活用して人の流れを“見える化”する「Location Trends」を挙げました。

このサービスでは、ユーザーの移動したルートや、属性、滞在期間などがわかるようになっていて、主に自治体の観光課などを対象に観光課題の発掘や解決のためのソリューションを提供しています。

これにより、今まで認識していなかった観光スポットを知ることができたり、その場所を訪れる人の属性を把握したうえで、ターゲットを絞ったパッケージツアーを組んだり、といった提案ができるようになっているとのことです。

今後は、地域のデジタルマーケティングを支援するプラットフォームや、公共インフラのDMPなどを通じた地域活性化、加えて、ヘルスケアの領域などにも挑んでいきたいとしました。

 

【Supership】

Supershipホールディングス株式会社 経営戦略本部
経営戦略室長 野本 遼平

続いて、Supershipホールディングス 野本から、10月11日に正式リリースされたハイブリッド型DMP「Fortuna」について説明をいたしました。

「Fortuna」では、Supershipが利用可能なデータのみならず、クライアントや、他社のアンケートパネルデータなど、さまざまなデータを掛け合わせることができ、さらに分析からマーケティング実行施策まで、デジタルマーケティングの高度化を一気通貫に進めることができます。

導入例として、オウンドメディアを所有しているメーカーにおいて、そこにアクセスするユーザーの年代や属性、興味関心などをSupershipの利用可能なデータを掛け合わせて分析・可視化し、セグメンテーションを行ったうえで広告配信などの施策を実施したことをご紹介しました。

今後は、PCやスマートフォンのみならず、IoTデバイスから取得できるデータなども取り込めるデータプラットフォームに進化することを目指して開発を進めていきます。

 

【ARISE analytics】

ARISE analytics株式会社 ビジネスディベロップメントディビジョン
ディビジョンリード 長谷川 匠 氏

ARISE analyticsの長谷川氏は、自社の新規事業として「工場向け故障予兆検知ソリューション」を挙げました。

このソリューションを用いることにより、生産時のデータ収集からネットワークを通じた蓄積・分析・故障予測までを一気通貫で行うことができるということです。
従来では同様のソリューションにおいて分析をするために過去数年間分のデータが必要だったところを、AIを用いることで、1週間程度で正常に分析ができるようになっています。

また、その故障が機械に由来するものなのか、あるいは“ヒューマンエラー”によるものなのか、という点を、機械学習によりフィードバックする機能も搭載しているとのことです。

続いて長谷川氏は、新規事業のターゲット設定について「まず、人材業界におけるHR Techや、IoT技術の進化による工場でのデータ分析など、AIやデータ、アナリティクスで変革が起きるであろう領域を特定していった」と明かしました。

その一方で、「この技術を用いてこんなことをやりたい」といった、“技術ドリブン”で進めると、失敗してしまう可能性があると指摘し、「しっかりと技術の進化を鑑みながら、実運用に耐えられるレベルでソリューションが設計できるかという点がポイント」としています。

そして、狙う市場の規模感も重要で、前述の故障予兆検知ソリューションについては、大企業ではなく「日本全国にたくさんある、“匠の技術”を継承しているものの後継者が不足している中小系の工場に導入してもらう」という設定を明確に行い、進めていったということです。

 

チーミングや組織体制はどうするべきか

続いて話題は「新規事業開発におけるチーミング」に移り、チームのプロデューサーの役割について長谷川氏は「全ての職種を束ねる役割。AIについてはよくわからない、となると困るので、必ずAIに関して基礎的な知識を持っているメンバーを置いている」「サイエンティストやエンジニアといったスーパープロフェッショナルな人材からアイデアを引き出すことが非常に重要」だとしました。

一方、KDDI 宮本氏は、チーミングの現状について「ある程度の役割分担はしているが、自分の部署のメンバーが満遍なくきれいに色々な特性を持っているわけではない」と話し、また「プロデューサー、事業責任者はいるが、最終的に調整が必要になった際などには部長である自分が全責任を持ちたいと考えている」としました。

Supershipホールディングス 野本は、「(チーミングについては)まだこだわりきれてない部分」と話し「初期段階では、もともと所属している部署やプロジェクトに兼務させたままで各部署から関係者を集めて進めていく形で、『この人がプロデューサー』とは厳格に決めきれていないケースがある。長谷川さんの話を聞いて、キックオフの段階から専任のプロデューサーの必要性は感じたが、強い思いを持つメンバーが集まり徹底的にミーティングして認識を擦り合わせていけば、乗り越えられるケースはあると思う」と話しました。

また長谷川氏は組織体制についても触れ、これまでファンクションとビジネス、それぞれの領域が入り組んでいたことで責任の所在が不明瞭になっていたところを、しっかりと分けたことでそれぞれの業務に集中できるようにしたということです。

あわせて、高度な技術・知識をもつ人材による組織を別に設け、「事業のことは80%でOK、残りの20%は好きな研究を」という形で研究に集中できる環境を整えているとしています。

 

最も大事なのは「人」

最後に3人から、「データ・ドリブン時代の新規事業開発において最も大事なもの」について語られました。

KDDI 宮本氏は、「KDDIは色々なアセットを持っているが、世の中には、私たちにはないさまざまな技術を持った会社がある。そういったところに広く視野を持っていたり、社内だけでも複雑なのでそこを見渡しながら、グッと掴んで連携できる人材と仕事をしたいと思う」と、優秀な人材の重要性を語りました。

Supershipホールディングス 野本は、「外部の力を使ってどうレバレッジを効かしていくかというのは、データに限らず、新規事業では非常に重要」としつつも、一番大事なものについては「やはり“人”ではないかと思う」としました。
求める人材像については、「結局、戦略を練るのも、プロセスを推進していくのも人なので、そこで“へこたれない人”。欲を言えば、データ、ビジネス、プライバシーやレピュテーションなど、さまざまな観点から気配りできるような人が理想」と話しています。

ARISE analytics 長谷川氏も、同じく「人」が重要であるとして、「データ・ドリブン時代においては、いかに天才をマネジメントするかということが非常に重要だと思っている」「(“天才”を)集め、気持ちよく仕事をしてもらってそのアイデアをいかに引き出すかということが大切」と答え、新規事業開発に最も重要なものが三者一致し、セミナーは幕を閉じました。

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