Supershipグループは「Supership Day」と題して、6月9日(火)〜6月11日(木)の3日間、計6テーマのウェビナーを開催しました。
当記事では、Session 3「【マーケティングに活用出来る】 AI/機械学習分析の事例&AIモデル」のセッションレポートをお送りします。
セッション概要
DATUM STUDIOでは2014年の創業以来、1,000を超えるAI開発プロジェクトを行ってきました。数値データを利用した分析から、画像データの解析、自然言語処理まで、様々なビジネス課題の解決にデータ分析を用いてご支援させていただいております。
最近では、Supershipが利用可能な3rdパーティデータを企業様保有のCRM・アクセスログデータに付与する事で、今まで以上の予測精度を出せるようになってきております。当セッションでは、マーケティング分野に活用可能なAI/機械学習分析の事例をご紹介しつつ、AIモデルを定常的に構築をする上で必要となるML OPSの中核となるデータマートの設計に関して併せてご紹介いたします。
講師プロフィール
秋山 泉 (DATUM STUDIO株式会社)
株式会社セールスフォース・ドットコムにてインサイドセールス部の立ち上げ、SPSS社において統計解析・データマイニングソフトウェアの拡販、Fusion-io国内立ち上げ(フュージョンアイオー株式会社)、世界初のSSDベースのHadoopクラスターを導入などに寄与。澪標アナリティクスCMO歴任後、2019年DATUM STUDIOに入社。 大規模分析プロジェクトPMに従事後、ビジネス開発部部長となり、現在に到る。
行動ログから“ユーザーの心”を見つけ、理解する
秋山はまず、“データ”の定義について、ビジネスの世界においては人間の行動ログを指すことが多いとし、そのうえで、「人間の行動ログには何が含まれているか?」という問いを参加者に投げかけます。
そして秋山は、「バス停のそばにあるガードレールが歪んでしまっている」様子や「放置自転車のカゴにゴミが捨てられている」様子、「タバコの吸い殻がポイ捨てされている」様子の写真を見せ、「それぞれの現象自体を、データとして捉えることができる」として次のように話しました。
「例えばガードレールは、この近くにベンチがあったらあえてこのガードレールには座らないはずで、歪まなかったはずです。また、自転車の側にゴミ箱があればカゴにゴミが捨てられることはありませんし、吸い殻のポイ捨ても、灰皿があればそんなことはしないはずです。
つまり、なぜこのようなことをしてしまうのか?を考えてみると、人々が何かを感じたために何かの行動をして、その結果残ったこれらの現象が“行動ログ”であると捉えることができます。
データ分析の観点で言えば、行動ログに含まれている『商品を購入した』『WEBを見た』『来店した』『コールセンターに電話した』という行動には、その時のユーザーの“心”、どのように考えていたかが必ず含まれていると考えております。それらを理解してビジネスの改善につなげるということが、データ分析の基本ではないかと考えています」
「説得可能」な層にだけDMを送りたい
そのうえで、AIや機械学習分析のマーケティングにおける活用事例として、ECサイトでの事例を紹介しました。
そのECサイトからは「AIを活用して利益や売り上げを増やしたい」という要望があり、それを達成するためにヒアリングを進めていくと、DMのメール配信によるキャンペーンに課題感を持っていることがわかりました。
「DMを配信すると売り上げが上がっているようには見えるが、値引きする分の利益を圧迫している」という問題点や、「値引きをしないでも買ってくれる顧客を逃している気がする」「DM配信が値引きキャンペーンばかりになってしまいメール会員の解約が発生している」などといった課題が各所であがり、それらを解決するために、「値引きオファーをすべき顧客だけに値引きクーポンを配信し、そうでない顧客には出さない」という“あるべき姿”の実現に向け取り組んでいくこととなりました。
このプロジェクトではまず、顧客を「クーポンがなくても購入する」層、「クーポンがあったから購入する」層、「クーポンがあってもなくても購入しない」層、「クーポンがあったから購入しない」層の4つの層で捉え、このうち「クーポンがあったから購入する」=“説得可能”な層だけにDMを送ることを目標としました。
そのサイトでは、DMを送った顧客のうち、購入に至ったすべての顧客を優良なターゲットとしていたため、これを前述の4つの層に分けるために、DMあり・なしの顧客を詳細に比較し、DM配信によりどのように行動が変わっていくかのデータを取っていきました。そして、機械学習のモデルをベースにしてアップリフトモデルを作成し、「説得可能な層にだけDMを送付する」ことが実現できたということです。
DMP「Fortuna」を掛け合わせ精度向上
ECサイトの例では、自社で詳細な属性情報を保有していましたが、例えば、広告経由でアクセスしたユーザーについて分析したい場合、属性情報や購買履歴もなく、直帰率も高いため、行動ログが使えないという現象が起きることがあります。
そうした時に、3rdパーティ(第三者)データを付与することで、直帰したユーザーも含めセグメントを把握することができます。また、3rdパーティデータにより、「スマホで調べPCで購入する」といった、クロスデバイスでの同一性を類推することも可能となります。
SupershipではDMP「Fortuna」を提供しており、DATUM STUDIOにおいても、そのデータを活用することができます。あるクライアントにおいては、Fortunaで利用可能なデータを掛け合わせることで、サービスの解約予測モデルの精度が10%向上したということです。
セミナーでは、事例についてより詳細にご紹介しているほか、参加者の皆さまからのご質問にもお応えしています。
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