Supershipグループは「Supership Day」と題して、6月9日(火)〜6月11日(木)の3日間、計6テーマのウェビナーを開催しました。
当記事では、Session 5「アドベリフィケーション現在地点とこれから」のセッションレポートをお送りします。
セッション概要
国内初のアドベリフィケーションベンダーのMomentum株式会社のCEO高頭が、日本OracleのSenior Partner Development Managerである西川明里氏を迎えた、アドベリフィケーションに関わる国内マーケットについての特別セミナーです。具体的な事例を伴った各社の発表を通して、アドベリフィケーションの現在地点を見通し、今後どのようなトレンドを創り上げていくべきか、ディスカッションを行います。このセミナーは、アドベリフィケーションをより広く深く理解してもらうことを目的としています。
講師プロフィール
ゲスト
西川 明里 氏(日本オラクル株式会社)
Oracle Data Cloud (米オラクル)立ち上げスタッフとしてデマンド、サプライ、プラットフォームに対しProgramatic ad におけるオーディエンス、コンテキストターゲティング、また広告視聴認知、広告詐欺、ブランド安全性のための計測を日本市場に展開する。Criteo、Cyber Communicationsにて、3rd party オーディエンス、DSP/ SSP/アドネットワーク、メディアセールスなどデジタル広告における幅広い分野に従事。
ナビゲーター
高頭 博志(Momentum株式会社)
学生時代に日本初のクラウドファンディングサービス、READYFOR?を中心メンバーとして立ち上げる。同年グリー株式会社新規事業部門入社。主に教育関連新規事業の立ち上げや、グリープラットフォーム内の広告媒体設計業務に従事。2014年9月よりMomentum株式会社を創業し、アドテク事業領域のアドベリフィケーション分野で国内で唯一の商品を展開。2016年7月より同社の代表取締役に従事。
アドベリフィケーションについて
Session5では、「アドベリフィケーションの現在地点とこれから」をテーマに、アドベリフィケーションの仕組みについて、Momentumの高頭がオラクル西川氏をゲストに迎え登壇致しました。本レポートではセミナーの前半部分をご紹介いたします。
まずMomentum 高頭より「アドベリフィケーション」の定義と仕組みについて、3つの観点を説明しました。
高頭「アドベリフィケーションとは、『アド:広告』、『ベリフィケーション:検証』といった言葉の通り、広告を検証する仕組みとなります。検証する観点は3つあり、1つ目は、『ブランドリスクがないかどうか』を検証する観点(ブランドセーフティ)、2つ目が『広告詐欺(アドフラウド)が行われていないか』を検証する観点、3つ目が『広告が見られているか』を検証する観点(ビューアビリティ)となります。
ブランドリスクの有無を検証するブランドセーフティの観点では、広告掲載枠の品質を検証します。広告枠の品質においては、いわゆる“エログロ”コンテンツにブランド企業様の広告が表示されるなど、劣悪なコンテンツに広告が掲載されていないかという検証が必要となります。また、著作権を侵害しているサイトや、犯罪・暴力・差別を助長する表現が含まれているコンテンツにおいても検証が必要となります。、特に日本では、このようなコンテンツが多数含まれるところとして、「5ちゃんねる」と呼ばれる掲示板サイトにかなりのトラフィックがあり、掲示板や「5ちゃんねるまとめ」のようなコンテンツに広告が掲載されていないかをチェックしていくことになります。
実際に起こっている事例ですと、大手企業の広告が人種差別的なコンテンツに表示されてしまい、それが消費者の目に止まり、SNSで炎上するというケースが見られます。SNSで炎上することによって、関心のなかった多数の消費者の目にも止まってしまい、大きな企業リスクを生むという危険性があります。2つ目の観点であるアドフラウドは、不正な媒体が自分たちの広告収益を水増しするために、コンピュータプログラムにより不正なインプレッションやクリックを発生させ、広告費用を騙し取ろうとする手法となります。
アドフラウドにおける問題点は2つあり、1つ目は、不正な媒体に反社会的勢力とのつながりがある可能性があり、広告で得た収入がサイバー犯罪の温床になっている危険性があるという点です。大手の企業様や、一般法人様にとっては、反社会的勢力との付き合いは大きなコンプライアンスリスクになりますので、広告の投資先としてはふさわしくありません。
また、不正な広告では成果を上げることができず、投資が全くの無駄になってしまいます。日本国内で見ても、“無駄な支出”が8~20%程度は存在するというデータもありますので、不正な広告への支出を削減するだけで、広告の投資対効果が上がる可能性があります。3つ目のビューアビリティは、広告が実際にユーザーのスクリーンに表示されているかどうかを計測する観点になります。アメリカの広告標準化団体「Media Rating Council」(MRC)が定めるところによると、静止画の場合、少なくとも50%の領域が1秒表示された広告インプレッション、動画の場合、50%が2秒表示された広告インプレッションが『1ビューアビリティ』というカウントになります。ビューアビリティを計測することで、実際に自分たちの広告が正しく見られている状態で表示されているのかどうかを検証することができます」
アドベリフィケーションに関する意識
アドベリフィケーションの定義について説明したあと、高頭はアドベリフィケーションに関する意識調査のデータを紹介いたしました。
調査は、Momentumが2018年10月と2020年2月に実施したものです(2020年2月はマクロミルと共同で実施)。調査対象は、上場企業のマーケティングに携わっているマーケターの方々とメディア事業に携わっている方々で、いずれも400名程度にアンケート調査を行った結果となります。
まず「アドベリフィケーション」というキーワードの認知率が、2018年10月実施時と比較して、2020年2月実施時では大幅に増加する結果となりました。
さらに2020年2月の調査結果では、アドベリフィケーションに関連する3つの観点、「ブランドセーフティ」「アドフラウド」「ビューアビリティ」を半数以上の方が認知しているという状態となりました。
一方で、アドベリフィケーションについて「名称も内容も知っている」と回答された方はあまり増えておらず、アドベリフィケーションの中身についても知っているという方は未だ少ないということが調査データからわかりました。
アドベリフィケーションの実施状況
次に「実際にアドベリフィケーションを実施しているか」という設問では、2018年10月実施時と比較して、実際に対策をとっている企業が多く増え、半数弱の方々がすでに対策に取り組んでいることがわかりました。結果の内訳について、2018年と2020年の比較をすると、2018年時点で「対策を取っていないが、今後取っていきたい」と答えていた層が2020年になると減り、一方で「対策を取っている」と答えた方々が増えたことから、不正広告への対策を取りたいと考えていた層が着実に対策を実施し始めたということがわかりました。
実際に対策を取った方々が、どのようなきっかけで対策を始めたのかを聞いた設問では、トップになったのは「社会的問題になっているから」、次いで「大手企業の事例を見て、取り組まなければいけないと思った」という回答が多くありました。一方で、2018年と2020年の変化率を見ると、「ブランド毀損の事故が実際に起こってしまった」「アドフラウドの被害に遭ってしまった」「ビューアビリティが確保できていない状態とわかった」という回答が大きく伸びていました。
意識調査の結果をふまえ、高頭は次のように話しました。
高頭「昨今、『漫画村』など、ブランドを毀損するコンテンツが社会問題化しており、こういったコンテンツへの広告掲載が実際の消費者からのクレームに繋がるケースも増えていると考えられ、そのような事故が実際に発生してしまった方もおよそ20%の割合でいらっしゃるというところが注目すべき点だと思います。今回のセミナーを通して、こうした被害に遭う前にアドベリフィケーションに取り組むきっかけになれば良いと思っております」
セミナーの後半では、広告効果の向上に繋がるアドベリフィケーションの活用方法やMomentumの事例紹介・オラクルの「Moat」活用事例について詳細にご説明していますので、ぜひアーカイブ動画もあわせてご覧ください。
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