「Supershipクラウドファンディングサポート」で、プロジェクトのローンチを支援ー山内二興青果様(北海道余市郡仁木町)の事例をご紹介ー
皆さんはクラウドファンディングを利用されたことはありますか。支援(購入)する側、プロジェクトを立案・出稿する側、そのどちらも利用したことがないという方でも、クラウドファンディングという言葉を耳にしたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
クラウドファンディングは、寄付文化が重んじられている米国で2000年代後半頃から盛んになったと言われ、国内においては2011年の東日本大震災の被災地支援をきっかけに浸透・普及してきました。
クラウドファンディングの中でも「購入型」および「寄付型」のプロジェクトは、商品・サービスの販売や宣伝だけでなく、ファンづくりやテストマーケティングなどの目的で活用されるケースも多いことから、多くのEC事業者やメーカーがプロジェクト掲載を検討しています。
しかしながら、クラウドファンディングプラットフォーム側の審査基準をクリアするプロジェクトの立案ノウハウが不足しているなどの理由から、実施に至らないケースも少なくありません。
そのような課題を受けSupershipでは2023年3月より「Supershipクラウドファンディングサポート(以下、クラサポ)」の提供を開始し、購入型クラウドファンディングプロジェクトの掲載を支援しています。
今回はクラサポを導入いただき、クラウドファンディングのプロジェクト掲載に初めて挑戦される山内二興青果株式会社の事例をご紹介します。
同社は北海道余市郡仁木町で青果物の卸売業をされており、楽天やYahoo!ショッピングなどのECモールにも出店されています。Supershipは以前から、EC事業者向けのコンサルティングサービス(Supership ECコンサルティングサービス)を通じて、ECサイト事業の支援をしてまいりました。今回、クラウドファンディングに新たな活路を見出し、プロジェクト掲載にチャレンジされた背景や、クラサポの導入に至った経緯と取り組みについてお聞きしました。
山内二興青果株式会社 営業部長 山内 健生 様
「北海道産の一番美味しい状態のさくらんぼ」を全国の方に知ってもらいたい。その足がかりとして、クラウドファンディングに挑戦
ー青果物の卸売業を展開されている山内様が、クラウドファンディングに出稿しようと思われたきっかけについて教えてください。
当社は私の祖父が約70年前に北海道余市郡余市町で創業し、青森県産のりんごを中心とした青果物を北海道内の卸売市場を中心に販売しています。
私は昨夏、事業継承のため北海道に戻り当社に入社したのですが、二代目社長である私の父や従業員の皆さんと仕事をする中で「りんごの卸売だけでなく、何か新しいことにチャレンジして事業を拡大させたい」と思うようになりました。余市町に隣接する仁木町は、北海道内でも有数の青果物の名産地ですが、その名は全国的にはあまり知られていません。また、これまで青森県産の青果物を中心に扱ってきた当社は、仁木町産の青果物と関わりを持つことができておらず、「せっかく仁木町の素晴らしい青果物があるのだから、それを発信するのはどうか」と、模索していました。
そんな中、収穫したての仁木町産さくらんぼをいただいたので何気なく食べてみると、その衝撃的とも言える美味しさに、大きな感動を覚えました。
これまでの人生でさくらんぼを意識して食べる機会はほとんどなかったのですが、食べた瞬間に「これは絶対売れる」と確信したほど、収穫したての完熟したさくらんぼの美味しさは格別でした。
さくらんぼは果物の中でもとても繊細で実が傷みやすいので、市場に出荷され店頭に並ぶまでの時間を鑑みて早めに収穫されます。そういった事情から消費者は「完熟」「収穫したて」「新鮮」の三拍子が揃った、一番美味しい状態のさくらんぼを食べる機会が中々ないのです。
この仁木町産のさくらんぼをぜひ全国に向けて発信したいと考えたのですが、いくつか課題がありました。
まず、消費者の手元に完熟したさくらんぼを直接お届けすることができ、事業として比較的スタートしやすいとされるECモールでの販売においては「さくらんぼといえば、山形県産」という印象が非常に強く、モール内で取り扱われている商品数にも、圧倒的な差があります。
その中で北海道産のさくらんぼをどのようにPRしていくか戦略を考えると、消費者に認知されるまでの時間やコストは、それなりにかかるであろうと考えていました。
加えて、当社事業の根幹である卸販売についても、現状は北海道内に販路が限られていることから、ECモール同様に全国で「仁木町産のさくらんぼ」が認知されるまでのハードルは高いものがありました。
いずれも一朝一夕に叶うものではなく、中長期視点を持って取り組むべき施策であると考えていたところ、そのような課題をクリアでき得る一つの手段として、今回クラウドファンディングをご提案いただき、「なるほど」と思いました。
既に当社はECモールに出店していますが、新たに仁木町産のさくらんぼを取り扱うのであれば、他店と横並びで販売するのではなく、安全と美味しさを追求してつくっている生産者のことや、風光明媚な仁木町を応援していただきたい。今はその準備段階であり、クラウドファンディングは持ってこいの手段だと思い、すぐにプロジェクトの企画に着手しました。
ー今回クラウドファンディングに掲載する仁木町産さくらんぼについて、詳しく教えてください。
北海道は山形県に次ぐさくらんぼの産地で、その中でも仁木町はさくらんぼの街として知られています。仁木町の冷涼で寒暖の差が大きい気候と、大雨や台風による被害を受けにくい地域であることが、さくらんぼの栽培に適しています。さらに、北海道ならではの厳しい寒さゆえ、さくらんぼの生育を脅かす害虫の発生が少ないので、低農薬栽培を実現できます。今回のプロジェクトで取り上げる生産者におかれても、有機物100%の肥料を使用するだけでなく、農薬の使用を最小限に留めながら、おいしさを追求しています。
また、山形県産のさくらんぼの旬が6月頃であるのに対し、北海道産は7月が旬の時期にあたります。お中元など夏の贈り物にも最適なタイミングです。
ECサイトでの販売や購買行動が広く普及したと同時に物流の改善も一段と進んだことで、さくらんぼを収穫した翌日には北海道から本州の各地に届けることができるので、是非皆さんにもこの感動的な美味しさをご賞味いただきたいと思います。
ークラウドファンディングにプロジェクト掲載を検討するにあたり、どんな部分に課題がありましたか。また、掲載することで実現したい目標があれば、教えてください。
クラウドファンディングにプロジェクトを掲載するまでは、掲載する媒体(プラットフォーム)ごとに異なる特徴やルールの把握、掲載の申し込みに必要な企画書の提出など、通常の業務と並行して準備を進めなければならないのでとても大変でした。
また、これからプロジェクトと一緒に掲載するレポートにおいては、支援(購入)者である皆さんにお伝えするストーリーを設計することに頭を悩ませています。
仁木町のさくらんぼがどのような環境で栽培されているのか、生産者の方々がどのような思いでさくらんぼと向き合っているのかなど、伝えたいメッセージはたくさんあります。だからこそ、このクラウドファンディングという手段を選択したのですが、どのように伝えたら皆さんに共感いただけるのか、その伝え方については今も四苦八苦しながら考えを巡らせているので、こうしてクラサポを通じて伴走いただいていることはとても助けになっています。
このクラウドファンディングを通じてさくらんぼのおいしさはもとより、生産者の情熱と真摯な取り組み、そして仁木町という町の素晴らしさを一人でも多くの方に伝えていくことが当面の目標です。
クラサポを通じて、クラウドファンディングのプロジェクト掲載を実現。生産者の支援と町おこしに舵を切る
ー今回、クラサポのどんな部分を魅力に感じて下さり、導入に至ったのでしょうか。
当社はすでにYahoo!ショッピングと楽天市場に出店して青森県産のりんごを販売しているので、先にSupership ECコンサルティングサービスを契約し、サポートいただいていました。
ECコンサルティングの利用自体が初めてのことだったのですが、いわゆる運用代行ではなくその一段上のレイヤーで当社のEC販売事業をどのように展開していくべきか、成長のための戦略を中長期視点で考えて下さるので、非常に心強く感じていました。
そうした中で、クラウドファンディングに掲載するアイデアを提示して下さり、クラサポというサービスがあることを教えていただきました。ECコンサルティングサービス同様、提案内容のレベルの高さと細やかなサポートが、導入の決め手になりました。
ークラサポを導入されてみて、手ごたえを感じられたポイントや、具体的な効果はございましたか。
まだプロジェクト公開前(取材日時点)なので、本当の勝負はこれからです。
日々新着プロジェクトで溢れているクラウドファンディングの世界において、ユーザーとのコミュニケーションの接点をいかにして持つかで、成果も変わってくると思います。
たとえばプロジェクトと一緒に掲載する活動レポートにおいて、さくらんぼの生育状況や、出荷までの様子をお伝えすることで、消費者の興味を醸成したり、さくらんぼや仁木町のPRにつなげたりすることができます。また、支援いただいている方からいただく質問に回答するなど双方向のコミュニケーションを図っていくことが、今後私たちが事業を行ううえでの財産となります。こうした考え方もサポートを受ける中で指南いただきました。
ークラサポに今後期待されることや、一緒に取り組んでいきたい目標がありましたら、教えてください。
当社はこれから仁木町の青果物を全国に向けて発信していき、地場に根ざした青果問屋の役割を持って町に貢献していきたいと考えています。今回のプロジェクトによって一定の成果を得ることができれば、さくらんぼ以外の青果物でもチャレンジする価値があると思うので、その際も是非サポートいただきたいです。
今回挑戦してみて、たとえ期待する効果が得られなかったとしても、次に取り組むべきことを明確にしながらクラウドファンディングという手法が当社の事業に適しているか否かも含め、今後の取り組みを検討していきたいと考えています。
クラウドファンディングと並行しながら、EC販売事業、ひいては当社の事業成長に引き続き一緒に取り組んでいただけるとありがたいです。
今後は、青森県産のりんごに加えて仁木町産のさくらんぼも、ECモール(楽天市場・Yahoo!ショッピング)に出店しているストア上で取り扱いを開始する予定です。クラウドファンディングでは生産者や生産の裏側の情報を公開することで生産者の支援や仁木町の町おこしにつながるように、そしてECモールでの販売においては、より多くの消費者に仁木町産さくらんぼをお届けしていきたいと思います。
今回ご紹介したクラウドファンディングのプロジェクトについては、以下リンク先よりご確認ください。
北海道仁木町のさくらんぼを美味しさのピークで届けたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/654914?list=projects_will_publish_at_page2
Supership クラウドファンディングサポートについてお問合せ先
Supership株式会社 コマースソリューション部 コンサルティンググループ
E-mail:ec-support@supership.jp