Supershipの高度な技術力を支えるメンバーそれぞれのスキルの基盤となった「過去」を紐解き、Supershipのテクノロジーの「現在」にどう生かされているのかを分析し、さらに、テクノロジーの「未来」を考えていく連載企画「Inside SuperTech」。
第3回は、Supership アドテクノロジーセンターの副センター長を務める名畑 真一と落合 祐樹が登場。
「ScaleOut」「Ad Generation」など、Supershipが誇るアドプラットフォームを支えるエンジニアたちを率いる2人に、Supershipの技術の強みや開発の醍醐味を聞きました。
【過去 -PAST-】
「ひとりではできないこと」を成し遂げるためにアドテクへ
名畑は、自身のキャリアをメーカーSEとしてスタートさせた後、フリーランスでWeb系の開発を行っていました。
名畑「10年ほど前に、『会社などの組織に所属せずに、事業計画から開発、経理まで全てを一人でやるという働き方をしてみたい』と思い立ち、フリーランスになりました。
当時は在宅で様々なクライアントとやりとりをして、開発を請け負っていました。技術としてはHTMLからCSS、PHP、Perl、さらにはFlashやIllustrator、Photoshop、After Effectsまで、すべて自分で触って手を動かしていました。その中でMacやiOS向けアプリの開発もしていたのですが、それが後にスマホアプリ向けの広告配信SDKの開発に携わるきっかけになりました」
一人で仕事を進めていく一方、エンジニアの世界では「チームビルディング」が重要視されるようになり、「ひとりではできないことをやりたい」という思いが芽生えてきたと名畑は話します。
名畑「フリーランスの時の私の仕事の受け方は、プロダクト開発の一部を請け負うことがほとんどでした。そうなると、どうしてもプロジェクトの中心に入るということにはなかなかなりませんでした。
その頃、エンジニアの世界では『アジャイル』や『スクラム』、『チームビルディング』といった概念が提唱されだしていました。その動きにインターネット越しに憧れを抱いていたということもあり、『ひとりではできない大きいことをやりたい』といった思いが強くなってきました」
そして、当時Ad Generationを開発・提供していた、現在のSupershipのアドプラットフォーム事業の前身となる会社にジョイン。これをきっかけに、アドテクノロジーに関わるようになります。
名畑「アドテクノロジーは『ひとりでできないことをやりたい』という思いにマッチする、とてつもなく大きい事業だと考え、Supershipの前身の会社にジョインすることを決めました。多くの会社が関わって多くのお金が動き、変化も激しく刺激的で面白い、可能性を感じる業界だと感じていました。
また、フリーランス時代に、自分でスマホアプリを作ってそこにSDKを入れて収益化していたので、その時に感じた不安や経験を活かして、アプリデベロッパーを支える側に行きたいという気持ちもありました」
一方、落合は、IT系のベンチャー企業でキャリアをスタートさせた後、開発会社でECプラットフォームなどの開発に携わり、エンジニアとしてのキャリアを歩むこととなります。
落合「1社目の会社では、デジタルコンテンツを制作する企画の仕事をしていたのですが、その中でプログラミングによる作業の効率化などを行っていました。2社目は、本格的にプログラミングを習得するためにWeb系の受託開発の会社に入りました。
その後、名畑と同じくSupershipの前身となる会社にジョインしました。受託開発ではなく、事業会社でプロダクトにコミットしたかったことと、広告システムで扱うデータやトラフィックに魅力を感じたことが理由です。
広告配信による膨大なトラフィックを受ける経験は個人でできるものでなく、仕事でしか関われないものだと思い、アドテクノロジーをやろう、と考えました」
【現在 -NOW-】
“エンジニアドリブン”で新しい手法にトライする
名畑は、iOSアプリ開発の言語知識を活かし、Objective-CやJava、JavaScriptを用いたSDKのフロントエンド開発を、落合は主にRuby on Railsを用いた広告システムのダッシュボードや管理画面の開発に取り組んでいます。
業務を進めていく中で感じた、アドテクノロジーの開発の面白さを尋ねると、「新しく対応すべきことが次々と出てくる点」だと2人は口を揃えて言います。
名畑「ヘッダービディングや、ads.txt、ITPなど、次々と出てくる手法・対策に対応していくのは大変なのですが、面白さでもあると思っています。ものによっては、インターネット広告業界がこれまでにしてきたことのツケを払うようなことでもあるので、『面白い』と言ってしまうのは少々不適切かもしれませんが、広告配信の健全化を進めつつも、適した広告を配信するということには非常にやりがいを感じます」
落合「デジタル広告の配信において出てくる話はすべて『何かしら課題があって、それをちゃんと解決したい』という背景があってのことだと考えているので、どんな課題を解決するのかを意識しながら対応するようにしています」
名畑「各事業者の動きや、業界系ニュースサイトの英語版など、情報を日頃からきちんとキャッチアップしていれば、いざ対応しなければいけなくなった時にも焦らずに動くことができます。まずは仕様を確認し、ビジネス的に影響が出る範囲などについて営業側とディスカッションを進めながら形にしていく。基本的には、どんな事案であっても対応は変わらないと思います」
「日頃からキャッチアップを重ね、業界の変化を掴み対応していく」ことは大変ではないのか?と2人に尋ねると・・・
落合「たぶん、そういった変化が無いと、普通に飽きちゃうんだと思います」
名畑「そうですね。都度“ゼロスタート”が発生している感じがして刺激的ですよね」
さらに、次々と生まれる新しい手法に対応する上では、Supershipのアドプラットフォームの開発基盤「ScaleOut Ad Platform」が「コンテンツ配信のための土台となるシステムがあり、その上に広告配信等の各種アプリケーションを載せる」仕組みとなっていることが、開発のしやすさに影響していると語ります。
落合「先ほども話に出てきたヘッダービディングなど、新しいビジネス要件に安定して追随できているというのはSupershipの強みですね。それが実現できているのも、広告配信を適切に抽象化した安定しているプラットフォームが、新しいビジネスにスピーディーにトライできる環境として機能しているためだと考えています。
他の事業者だと、新たなビジネス要件が登場した際に、それ向けの新しいシステムを都度作らなくてはいけない場合があると思うのですが、そうすると手間も時間もかかってしまいますし、それぞれが独立した形になるので、積み上がっていきませんよね。
Supershipの場合だと、既存のプラットフォーム上にDSPもSSPも両方載っていて、その上に新しいビジネス要件を積み上げていくことができますし、配信ロジックの変更などお客様のニーズやトレンドに合わせた改修もこまめにできるので、そこは強みではないかと思います」
名畑「このプラットフォームは本当によくできていますよね。アーキテクチャがしっかりしていて、シンプルに最適化されているなと思います。よく考えられていて無駄がないですね」
(※)プレスリリース「Supershipの「Ad Generation」、ヘッダービディングによる広告配信においてネイティブ広告への配信に対応」より抜粋 https://supership.jp/news/2019/03/25/3329/ |
また、サービスの改善が“エンジニアドリブン”で進められる点も、スピーディーな開発やエンジニアの働きやすさにつながっていると語ります。
落合「エンジニアの裁量が大きいので、そこはエンジニアにとって本当に働きやすい点だと思いますね」
名畑「たとえば先ほど話に出ていた『配信ロジックの変更』ひとつをとっても、メディアの解決したい課題に対して、エンジニアから改善方法を提案していった形だったと記憶しています。他にも、広告はこういったフォーマットで配信するのがいいのでは、なとど提案してみたり、営業とエンジニアの距離が密なところが多いように感じます。日々、営業側とディスカッションを重ねて、お客様の課題解決に取り組んでいます」
【未来 -FUTURE-】
すべての人が“ハッピー”になれる新たな潮流を作る
新たな手法やビジネスにスピーディーにトライし、“エンジニアドリブン”で顧客の課題解決に取り組むSupershipのアドテクノロジーセンター。
最後に、エンジニアたちを率いる副センター長の2人に、これからのデジタル広告の予想図を聞きました。
名畑「今後、PCやスマートフォンだけでない配信面が新たに広がっていくことは間違いないと思います。アドテクノロジーセンターとしては、潮流を掴むのはもちろんのこと、出来ることならば『潮流を作っていく』ぐらいのことは仕掛けていきたいと考えています。
その一方で、現在のインターネット広告は、正直なところ悪役のようになっている部分もあります。そこを健全化していく取り組みを進めて、広告を見るユーザーも含めた、広告に関わるすべての人がハッピーになれることは常に意識していきたいと思います」
落合「技術者として、やましさのない、広告によりパワーを与えるようなプラットフォームであり続けることで、未来を作っていきたいですね」