7月25日付でSupershipのグループに加わったMomentum株式会社。
独自の技術とデータをもとにインタ―ネット広告におけるアドフラウドの検出・排除を国内で初めて実現したアドフラウドソリューションやインターネット広告におけるブランド保護を実現するブランドセーフティーソリューションを開発・提供しています。
SuperMagazineでもたびたびご紹介している通り、デジタル広告業界では、近年、BOTによる不正な広告表示などで無駄な広告費用を発生させる「アドフラウド(広告詐欺)」が問題となっており、昨年、米国企業が発表したレポートによると、アドフラウドによる被害額は1,800億円にもおよぶとのことでIABからも注意喚起が行われました。
また、ブランディングにマッチしない広告枠への表示でブランド価値を損ねることを防ぐ「ブランドセーフティ」も広告主にとって重要なキーワードとなっています。
単に潜在層となるユーザーに広告を配信するだけでなく、透明性が高くブランド価値の向上に貢献する広告を届けることが、企業のマーケティングの一翼を担うデジタル広告において、より求められるようになってきているのです。
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今回、グループに加わったモメンタムとSupershipは、デジタル広告業界にどんなシナジーを生み出すことができるのか。
モメンタム代表の高頭氏とSupershipから執行役員 広告事業本部長 宮本&デマンド事業部 部長 佐野の座談会でご紹介します。
注目高まるアドフラウドソリューションをデジタル広告のデフォルトに
――まずはモメンタム社の事業について教えてください。
高頭:2014年9月に会社を設立し、アドフラウドソリューション「BlackHeron」とブランドセーフティーソリューション「BlackSwan」の開発・提供を行っています。 アドフラウドのソリューション開発としては国内で唯一の技術を持っていて、専業として取り組んでいるのは国内では弊社だけです。 |
佐野:非常に特化型の事業ですけど、なぜこの分野でやっていこうと思われたんですか?
高頭:もともとインターネット事業で起業しようと思っていまして、そのなかでもデジタル広告の成長性が高いと感じていました。設立当時はコンテキストターゲティングのようないい意味での最適解を見つける技術は進んでいましたが、その逆のマッチしていないものを見つける技術はまだ世の中に出ていなくて、その部分はもっとテクノロジーで解決できると感じていました。
――Supership のお二人は、もともとモメンタム社にどんな印象を抱いていましたか?
佐野:設立当初はまだまだ注目している人が少ないアドフラウドに対策する技術を持っていて、時代を先取りしている会社だと思っていました。 アドベリフィケーションへの対応はデジタル広告において必要なことですし、今後注目も高まると考えていましたので、そういった意味でもモメンタムさんの動向は気になっていました。 |
宮本:ここ数年のトレンドとして、広告主のデジタルシフトが顕著になってきています。キーワードにもなっている「アドフラウド」や「ブランドセーフティ」に特化したソリューションで事業化するというのは時勢を捉えられていて、ニーズにマッチしたサービスを提供されていますよね。 |
高頭:お二人ともよく言っていただいてありがとうございます(笑)
プログラマティック広告においては、どちらのキーワードも根幹の部分ですので、それを担保することができる技術を持っているという自負はあります。他社にはない独自の技術力が弊社の強みですね。
――モメンタム社は、今回どのようなきっかけでグループに加わったのでしょうか?
高頭:もともとはSupership の広告事業メンバーと知り合ったことがきっかけでしたね。
私自身アドベリへの対策は、今後、広告配信プラットフォームの機能としても必須になると思っていましたし、そういった空気を業界全体として作っていきたいと考えていました。そのためにはそもそもの問題意識を業界内でもっと共有していきたい、というところから情報交換をはじめました。
佐野:そういった意味では、モメンタムさんとSupership の考え方や取り組みの姿勢は、初めてお話ししたときから同じ方向を向いていましたよね。
宮本:我々もプラットフォーマーとして、アドフラウド排除やブランドセーフティを担保できる広告ソリューションを提供していかなければならない。クライアントである広告主側からも、それを求められる傾向は強くなってきています。
国内唯一のアドフラウド技術を持ち、ソリューションを提供しているモメンタムさんがグループに加わったのは、必然だと思います。
高頭:SupershipさんはDSP *1としてはすでに浸透している「Scaleout」を持っていますし、協業ができればもっとクライアントに価値のある広告配信が提供できると思っていました。
弊社の思いとしては、KDDIという安定企業の子会社であるSupershipのグループに加わることで、資金の不安も少なくなり、より透明性を高めるソリューション技術を追求する地盤を固めることができました。
宮本:アドベリへの取り組みにおいては海外のほうが先んじていますから、国内ベンダーとしては力を合わせてデジタル広告のステータスをもっと高めるために、一緒に頑張っていきたいですよね。
*1:DSP(Demand-Side Platform)
複数広告枠の配信最適化と効果検証などの一元管理により、広告主の広告効果を最大化するプラットフォーム
Momentumテクノロジー×Supershipデータで、精度の高いアドフラウド排除を
――モメンタムとSupership の間では、今後さまざまな取り組みが進んでいくと思いますが?
高頭:今まではベンダーに技術を活用してもらうことはあっても、広告主に直接使ってもらう機会は少なかったんです。ですので、まずはScaleoutとの連携を深めて、弊社の技術を広告主に実感していただきたいですね。
具体的な取り組みとしては、弊社のアドフラウドのロジックはユーザーのブラウザの特徴や行動情報をもとに非BOTかBOTか、という判断をしているのですが、Supership の保有するデータを掛け合わせることで、その精度を飛躍的に高めることができ、結果として広告主にとってよりよいソリューションが提供できると考えています。
宮本:Scaleoutにおいては、モメンタムと取り組むことでよりブランドにマッチした配信面へお客様の広告を配信すべく、ブランドセーフティへの強化を進めていきます。また、Bot排除などのアドフラウド対策もデフォルトで組み込んでいく予定です。
さらに、お客様ごとにカスタマイズしたフィルターなど、クライアントニーズに合わせたオーダーメイドのソリューションも一緒に開発していきたいですね。
高頭:デマンドサイドだけでなく、例えば、SSP *2の「Ad Generation」(アドジェネ)などと連携することで、メディア側の純広告でのブランドセーフを実現することもできるのではないかと思っています。
佐野:アドジェネはアプリに強いSSPで、Supership はアプリデータのアセットが豊富です。モメンタムさんとの協業では、アプリのアドベリ対策に取り組んでいく、という部分でも他社との差異性を出せるのではないでしょうか。
そもそもで言えば、広告主がアドフラウド排除のためにオプションで追加費用を払う、というのはベンダーの意識としては間違っていると思っています。アドフラウドは犯罪ですから、当然抑止するべきで、業界全体の課題として撲滅を推進していかなくてはいけません。
高頭:そういった意味でも、今回、グループに加わっても中立性は保っていきます。
当社はインターネット広告推進協議会であるJIAA(一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会)の加盟企業でもありますし、Supershipとは経営体制も分かれています。お互いプラスになる部分は補いつつも、フラットな関係で協力体制を築いていきたいですね。
今までお付き合いのあるベンダーはもちろん、新規のお取引先へも、弊社のBlackHeronやBlackSwanは引き続き提供を行っていきます。
――すでに実現に向かって進んでいる取り組み以外にも、さまざまな構想があるようですが?
高頭:デジタル予算の多くをプログラマティック広告にあてているP&Gが「第三者機関による計測で透明性を高める」と宣言したように、最終的にはブランド側がモメンタムのソリューションを導入していないプラットフォームは活用しない、と言ってもらえるのが理想です。
宮本:Supership としては、モメンタムのソリューションを組み込むことで広告配信プラットフォームを世界品質にまで高めて、海外展開なども狙っていきたいですね。
佐野:インターネットの世界にはまだまだ可能性がありますし、そこで発展していくビジネスもさらに増えるはずです。Supership としても、いちエンジニアとしても、未来のインターネットがユートピアであるように、健全なインターネット社会の創出に貢献していきます。
*2:SSP(Supply-Side Platform)
広告枠の販売から業務フローまでを一元管理し、媒体社(メディア)の広告収益を最大化するプラットフォーム。
- まとめ
- 国内唯一の技術でアドベリフィケーションを中心としたデジタル広告を取り巻く問題を解決していくモメンタム社。
ScaleOutでモメンタムの技術を体感したい広告主様は、お気軽にお問合せください!