2017年7月にモメンタムがグループへジョインしてから、早くも半年が経ちました。グループ入りをきっかけにSupershipとモメンタムの広告事業領域での協業が本格化し、既にいくつかの取り組みがスタートしていますが、この半年間の振り返りとともに、現在進行中のプロジェクトなどについて、Supership 広告事業本部 本部長 宮本 裕樹 と、Momentum株式会社 代表取締役 高頭博志 に語ってもらいました。
Momentum、国内初のTAGトラステッド・パートナーへ
ー2017年7月にモメンタムがグループ入りしてからの動きを振り返ってみると、大きな動きとしてまず9月の国内企業初のTAG認定のニュースがあったのではないでしょうか。
参考:Momentum、アドフラウド対策やブランドセーフティにおいて 世界最高水準の㼀AGから日本初のトラステッド・パートナーとして認定
高頭:米国の認定団体であるトラストワージーアカウンタビリティグループ(Trustworthy Accountability Group:以下、TAG)は、昨今のデジタル広告業界において問題視されているアドフラウドやブランドセーフティ、ビューアビリティなどの問題に対処するために、米国広告協会(4A)、全国広告主協会(ANA)、およびインタラクティブ広告局(IAB)によって共同で組織されたデジタル広告業界における唯一の情報共有分析機関(ISAO)です。
当社モメンタムも、このTAGが定める最高水準のアドフラウドとブランドセーフティのガイドラインに準じたアドベリフィケーションサービスを提供する会社として日本で初めて認証を受けました。
最近は新聞やニュースサイトなどで、アドフラウドやブランドセーフティの問題が取り上げられているのを見かけたり、私自身もアドベリフィケーションについての取材で声をかけていただく機会も増えたので、日本でもアドベリフィケーションへの意識が高まってきた実感があります。
とはいえ、米国などに比べるとまだまだ認知度自体が高くないので、多くの方に知ってもらえるように、我々ももっと頑張らなくては、と思っています。
「アドベリフィケーション」認知拡大への取り組み
ーSupershipとモメンタムの共催で行った「アドベリフィケーション」をテーマとしたメディア向けラウンドテーブルも、認知向上に向けた取り組みのひとつでしたね。
参考:日本での認知度はまだ18%!?デジタル広告配信のデフォルトになりゆく「アドベリフィケーション」への取り組み #セミナーレポート
高頭:アドベリフィケーションについて直接マーケターの方にお会いしてお伝えするのにも限度がありますから、新聞やウェブサイトの記者様向けの勉強会を開いて、記者の皆様のお力を借りてもっと日本のマーケターにアドベリフィケーションへの意識を高めて欲しい、との思いで開催しました。おかげさまで、アドベリフィケーションに関する理解が深まったとの感想をご参加いただいた方から頂戴して、よかったと思っています。
宮本:TAGからも認定を受けるグローバル基準のサービスを日本で唯一提供しているモメンタムとこういった取り組みができるのは、Supershipとしても誇らしかったですね。
ちょうど、このタイミングでSupershipと電通の協業で提供している電通PMPにモメンタムのソリューションをデフォルトで適用する発表をしまして、翌週にはScaleOut DSPでもモメンタムのソリューションをデフォルト適用する発表をしました。
これらの取り組みについては関係各所からかなりご反響をいただきまして、デジタル広告業界においてアドベリフィケーションへの取り組みが広がっていくきっかけになればと思っています。
参考:
・モメンタムとSupershipのソリューション連携プロジェクトが始動ーSupershipと電通が共同で提供する「電通PMP」にて「Black Swan」「Black Heron」がデフォルト適用可能に
・Supershipの「ScaleOut DSP」にてモメンタムのアドベリフィケーションソリューションがデフォルトで適用可能に
ー電通様やモメンタムなど企業の垣根を越えた5社で結成した「アドベリフィケーション推進協議会」が発足したのも認知拡大に向けた取り組みのなかで大きなトピックでしたね。
参考:モメンタム、電通などと共同で「アドベリフィケーション推進協議会」を発足
高頭:はい、ちょうど先月、発足後初となる日本のアドベリフィケーションの現状を調査したホワイトペーパーも公開しまして、今後も定期的にこうした調査データの公開や研究を続けていきたいと思っています。
参考:モメンタム、「アドベリフィケーション推進協議会」において、 国内での実態調査レポートを公開
宮本:このホワイトペーパーで、日本のプログラマティック広告のアドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティが世界水準とほとんど変わらないか、むしろもうちょっと頑張らないといけない、というのがわかりましたからね。
日本はグローバルに比べてアドフラウド率がまだ少ない・・・と、なんとなく業界内で思い込みで浸透していたものが覆って、日本の広告業界にいる身としてはプログラマティック広告取引の透明化を推進していかなくては、という気持ちがますます強くなりました。
現在進行中のプロジェクトについて
ーモメンタム社のほうでもプロダクトのパワーアップに向けて進めていることはありますか?
高頭:アドフラウド対策、ビューアブル計測、ブランドセーフティのアドベリフィケーションの項目それぞれにおいて強化を進めているところです。
まず、1つめにやっているのがDMPを活用したより精度の高いアプリ向けアドフラウド解析の実現です。
ラウンドテーブルでもお話したことなのですが、日本では有力なゲームアプリパブリッシャーが多いので、グローバルでもトップクラスでアドフラウド事業者に狙われやすい国と言われているんです。国内アプリのインベントリにおけるアドフラウド対策は急務であり、今後さらに重要視されるでしょう。
しかし、アプリの場合、ウェブブラウザのようにCookieが使えないことから、第三者ベンダー側で取得できる情報が限られる分、対策が困難なんです。
そこで、国内最大級のSupership DMPが持つ膨大なファーストパーティーデータを解析に活用することで、今後モメンタム側のソリューションのロジックを改善すべく、現在開発を進めています。
宮本:「Supership DMP」には、Webブラウザ上のCookieデータだけでなく、アプリ上のIDFA/ADIDを含めて、4.6億を超える総ID数が蓄積されています。しかも、そのデータソースのうち70%がスマートフォンから収集したものなので、スマートフォンにおいては国内最大級のデータ量です。
この「Supership DMP」で所持している国内最大級の”正解ユーザー”のデータをモメンタムのソリューションと連携させ、不正ユーザーの判定ロジックに取り入れることによって、アプリにおけるフラウドの解析精度は格段に上がると思います。
高頭:2つめもアプリ向けになるのですが、ウェブの世界で標準化したビューアブル計測をアプリでも行えるようにするSDKの開発も進めています。
ビューアブル計測ツールを提供しているベンダーは色々ありますが、基本はウェブ向けのツールが多いので、アプリとウェブで共通指標で計測できるソリューションを提供することで、マーケティング精度を高めていただけるような技術支援をしていきたいと思っています。
3つめが、広告主様にあわせたブランドセーフティの精度を高めるための、カスタマイズ性の高いフィルタリングロジックの提供です。
例えば特定の企業の不祥事に関するコンテンツや、特定の商材に対するネガティブな風評が書かれた記事など、広告主様にとってブランド毀損となりうるポイントは異なってくると思いますので、そういった痒いところに手が届くような、きめ細やかなフィルタリングのカスタマイズ機能の提供をしていきます。
ーSupershipのほうでも、アドベリフィケーションの部分で進めているプロジェクトはありますか?
宮本:Supershipでは「Supership DMP」を活用したデータ活用ビジネスに注力していくので、その要となる「Supership DMP」の膨大なオーディエンスデータ自体のクレンジングもしていきたいと考えています。どんなに優良なメディアにも、一定量フラウドのインベントリが含まれてしまうのと同じで、Supershipの膨大なDMPのデータ内にも一定量のbotが混ざってしまっている可能性はゼロではありません。 |
弊社の持つユーザーデータは類推ではなく限りなく精度が高いため、紛れ込むbotの量はごくわずかであるはずですが、サードパーティー製の外部データ拡張を行ったタイミングで、データの”純度”が薄まる可能性はあります。
bot排除を徹底しているDMPは業界でもまだ他に例がないので、弊社から提供するデータを全てモメンタムのソリューションでクレンジングして、信頼できるプラットフォームを安心して使ってもらえるようにしていきたいと考えています。プログラマティック広告への信頼は世界的にも下がってしまっているのが現実です。
ネット広告を生業にするものとして、その信頼をできるだけ取り戻せるように、ネット広告の「格式」を上げていきたいと思っています。
年末にネット広告の闇という話題がありましたが、モメンタムとの取り組みをもっと強化して、ネット広告業界に光を灯してしていきたい。
高頭:同感です。SupershipはDSP、SSPの配信ソリューションだけでなく、さらにデータプラットフォームであるDMPを持ってますからね。ここまで全方位型のアセットの揃った広告事業者は国内では他にないと思いますし、だからこそ、アドベリフィケーションに積極的に取り組んでもらうことで、日本の広告業界に大きなインパクトを与えられるんじゃないでしょうか? |
日本の広告業界を透明化する、という志はモメンタムとしても同じですので、手を取り合いながら、今後も業界全体でアドベリフィケーションへの取り組みを進めていきたいですね。
以上、Supership宮本とMomentum高頭による半年の振り返りと今後について語ってもらいました。
ネット広告の闇に光を灯すべく、今後もグループ間の連携によりアドベリフィケーションへの取り組みを積極的に進めてまいります。