2024年4月1日より、Supership株式会社は親会社であるSupershipホールディングス株式会社に吸収合併されました。
合併に伴い、存続会社であるSupershipホールディングスは社名をSupershipに変更し、新たな経営体制を発足しました。本件に関する詳細は、プレスリリースをご確認ください。

SDKとヘッダービディングでパワーアップ!ドワンゴ流アドジェネ使いこなし術(※2019年最新版) #ドワンゴ #niconico #Supershipお客様事例
プロダクト

SDKとヘッダービディングでパワーアップ!ドワンゴ流アドジェネ使いこなし術(※2019年最新版) #ドワンゴ #niconico #Supershipお客様事例

株式会社ドワンゴが提供する、動画配信サービス「niconico」。

niconicoではスマホアプリのみならず、スマホウェブやPCでもSupershipが提供するパブリッシャー向け広告配信プラットフォーム「Ad Generation(アドジェネ)」を導入いただいています。

SuperMagazineでは、2年前の2017年にも「niconicoアプリの収益性UP!ドワンゴ流Ad Generationの使いこなし術」と題してアドジェネの導入事例について伺っていますが、それから配信構成や収益の状況はどのように変わったのか?そして今後の展望は?

今回はアドジェネの岡野と酒井がお話を伺いました!

【目次】

1. niconicoが2018年にJavaScriptタグからSDKへの実装切り替えを決意した理由
2. 密に連携して進めた、niconico初のSDK実装
3. 切り替えによりもたらされた収益面の変化
4. 今後の展望 / 改善施策の探求と、データ活用による単価の底上げ

【登場人物】

永山 隆浩 様
株式会社ドワンゴ niconico事業本部 広告営業部 アドテクノロジーセクション マネージャー     

大石 優造 様
株式会社ドワンゴ niconico事業本部 広告営業部 アドテクノロジーセクション リーダー

岡野 誠
Supership株式会社 プラットフォーム事業部 アドジェネ部

酒井 大地
Supership株式会社 プラットフォーム事業部 アドジェネ部

【アプリのご紹介】

「niconicoアプリ」は、音楽、ゲーム実況、踊ってみたなど様々なジャンルの動画がコメント付きで楽しめるほか、バックグラウンド再生や倍速/スロー再生、動画投稿機能等も併せ持ったアプリです。
<アプリダウンロードはこちらから!>

1. niconicoが2018年にJavaScriptタグからSDKへの実装移行を決意した理由とは?

大石 前回の記事から2年経ったんですね。

永山 もうそんなに経ちます!?

岡野 そうなんですよね。この間に色んな山がありましたね。前回から配信構成がガラッと変わっているので、今回も読み応えのある記事に仕上がりそうです。早速参りましょう!

酒井 2年前と比べて今の配信構成はどうなっていますか?当時はアプリ内WebViewでJavaScriptタグ(以下JSタグ)を使った配信だったかと思いますが。

永山 2017年に関しては仰る通りJSタグでの配信でしたが、2018年10月からSDK配信に切り替えました。今は「アドジェネ」をアドサーバーに、MoPub、Facebook Audience Network(FAN)、FIVEをSDKメディエーションし、プラスオンでAmazonのヘッダービディング(※)ソリューションである「Transparent Ad Marketplace(TAM)」を配信しています。

 ヘッダービディング
広告枠をもつパブリッシャーが、広告リクエストを複数のビッダーに瞬時かつ一斉に送り、最も高い価格で入札されたビッダーの広告を配信することができるソリューション。透明性の高い広告取引により、パブリッシャーの収益機会の最大化が期待できます。                      

参考:アドジェネ×ヘッダービディングで“良質&高単価”な広告配信を実現

岡野 2年前の時点では、アドジェネのJSタグで広告識別子(IDFA/AAID)を受け渡しできるようにしたことで、ターゲティング広告の配信が増え、売上が伸びたわけですよね。そこからどういう経緯でSDK配信への切り替えに踏み切ったのでしょう?

永山 SDK切り替えの構想は2017年末くらいからありました。アドジェネのJSタグで広告識別子を渡せるようになり、実際に売上成果はあった。加えてアドジェネを使うことによって、今まで自分たちが1日1回集計して配信比率を調整する作業をしていたのをアドジェネ上で一元化・自動化できるようになった事で、大幅な工数削減と高速な最適化サイクルを実現しました。

とはいえ、恩恵は受けたものの、そこで使えるプレイヤー(広告事業者)はそこまで変わっていない。配信しているアドネットワークは顔ぶれが変わらないし、RTB配信比率が増えたくらいで、更に売り上げを増やしていくには何が必要かと考えた時に、Amazon、FacebookやMoPubなど海外のメジャーどころのネットワークを導入する必要があるなと。
そうなった場合、それらのネットワークは基本的にSDKの実装が必須なんですよね。そうするとJSタグだけでは運用の拡張性がないし、SDK配信に切り替えることは避けて通れないだろうと考え、切り替えプロジェクトがスタートしました。

2. 密に連携して進めた、niconico初のSDK実装

岡野 SDKへの切り替え時にはかなり密に御社とコミュニケーションしていましたよね。実装作業はいかがでしたか?

永山 時間はかかりましたね。niconicoアプリへの広告SDKの実装自体が初めてだったので、そもそもどう進めるべきか、どういう問題が発生するのかも分からない状況でのスタートでしたから。

まず、SDKを入れるにあたってはいろいろ選択肢があります。様々な外資系のメジャーなアドサーバーがある中でアドジェネを選んだのは、多種多様なアプリへの実装実績がある日本企業の国産サービスであるというところが一番大きかったです。
外資のものですと、実装や設定に関してわからないことがあっても英語のマニュアルやヘルプページを参考にするしかないということがよくあります。

もともとSDK実装経験がなく完全に初めての状態だったので、サービス側もエンジニア側も不安な要素が多く、そのあたりのコミュニケーションをしっかり取れる会社はどこだろう?と考えた時に、国内で圧倒的なシェアを誇るSupershipしかないでしょうということになりました。

また、アドジェネをアドサーバーとして、AmazonやFacebook、Google、MoPubなどの海外勢や国産動画アドネットワークのFIVEなど、高単価配信が期待できる面々を配信コントロール可能だと伺い、これらもSDK実装必須ですが、一気に網羅できるなと。
おまけにAmazonのヘッダービディングソリューション「TAM」に対応をされたタイミングでしたので、やるなら全て試してみようという流れになり、結果的に全部乗せの豪華実装で進むことになりました。

大石 複雑な構成になるので、実装を進める前に弊社のエンジニアに対してどういうことをしたいのかをインプットする必要がありました。そこでもアドジェネの方が直接エンジニアに対して「こういう構成で、こういう実装が必要です」と、複数のネットワークSDKがアドジェネとどう繋がるか図を描いて説明して頂き、イメージの共有にもご協力いただきましたね。

永山 ロジックとパッションで(笑)

大石 あと、TAM、FAN、MoPub含め、他社SDKの実装方法に関してもアドジェネが全て日本語で実装ドキュメントをご用意頂いていたのもありがたかったです。ドキュメントを読んでもわからない場合は、Slackで毎日のようにコミュニケーションを取り、都度解決していました。

永山 あとはアドジェネエンジニアさんにもだいぶご協力をいただきましたね。担当いただいたエンジニアさんはniconicoのプレミアム会員でもあるヘビーユーザーで、肝心の広告はご本人の端末には表示されていなかったんですけど(笑)

※niconicoのプレミアム会員は広告非表示。

酒井 エンジニア本人も「自分の好きなアプリに仕事で携われたのが嬉しかった」と喜んでいました。

岡野 アドジェネは「共存共栄」をモットーにしていて、様々な広告事業者を積極的に配信できるようにしています。その一つとして、アドジェネが連携しているパートナーネットワーク以外にも、「カスタム(※)」機能で媒体社様側が直接契約したアドネットワークもSDK連携できるようにしています。TAM、FAN、MoPub、AdMob等いずれも配信コントロールが可能で、実績があります。

 カスタム
「アドジェネが接続していないアドネットワークを配信したい」「直接契約のアドネットワークもアドジェネサーバーで配信したい」という媒体社様のご要望にもお応えできるアドジェネの機能です。アドジェネ側の配信手数料はいただきません。                   

参考:アドジェネFAQ / カスタム機能

大石 段階的にということで、まずはアドジェネとFANのSDK実装を行いました。そこで問題が起きないことを確認して、残りのTAM、MoPub、FIVEのSDK実装に進んだ形です。実装作業中は先ほどお話した通りSlackでほぼ毎日連絡を取り合い、更に週1でMTGをしたりして密にコミュニケーションを取らせていただきました。

酒井 実装で苦労したことはあったけど、その時々にすぐ確認して着実に進められたという感じでしょうか。

永山 そうですね。いま振り返ってみると、他の外資系事業者だったらここまでスムーズにいかなかっただろうなと思います。

大石 やはりniconicoが動画メディアなのは大きくて、動画広告が流れる際に動画コンテンツと干渉してしまうという問題も組み込み段階で散見されました。

岡野 他にも、特にグローバルな事業者はSDKのアップデートや仕様規定の変更なども頻繁にあるので、そこを網羅的に把握・理解してご案内できるのもアドジェネとしてのサポート力の見せ所かなと思います。

3. SDKへの切り替えによりもたらされた収益面の変化

岡野 配信構成の話に戻りますと、2018年10月にアドジェネをアドサーバーとしたTAM、FAN、MoPub、FIVEのSDK実装に切り替えたわけですが、そこから現在にかけて何か構成で変えたことはありますか?

永山 変えてないですね。ただ、収益の中心になっているのは現状はほぼTAMとアドジェネという状況です。

酒井 ちなみに、広告識別子付きのJSタグを使ってた頃と現在では、収益はどのように変化しましたか?

永山 それが非常に難しくて、枠としてのパフォーマンスを評価する際、フィラーのアドネットワークの単価に大きく左右されてしまいます。アドネットワークに関しては全体的にダウントレンドが続いているので、それを折り込むと厳しい状況は続いているという印象です。逆にいうと、SDKに切り替えていなければ収益はもっと厳しい局面になっていたと思います。

大石 構造上、アドネットワークのCPMが下がるとRTBのCPMも引きずられる形で影響を受けるので、アドネットワークには引き続き頑張ってもらわないといけない。

酒井 そういう意味では、良いタイミングで切り替えられたわけですね。

大石 市況も変化しているので単純に比較はできないですが、そのピンチをSDKやヘッダービディングで乗り越えているとは言えますね。

永山 繰り返しになりますが、当時SDK切り替えを決断していなかったら、本当に悲惨なことになっていたと思います。

酒井 一番ハマったのはTAMですか?

永山 はい、びっくりするくらい良かったです。

大石 なので、TAMのビッダーも対応しているところはほぼ繋いでますね。アドジェネ、Liftoff、OpenX、PubMatic、Rubicon、Smaatoなど主力陣は一通り繋いでいますし、今後のビッダー追加もAmazonの対応状況次第で積極的に進めるつもりです。

岡野 いきなりパワーアップしましたね。

大石 他の動きとしては、アプリでのヘッダービディングが良い感じにハマったので、ウェブでもアドジェネサーバーでヘッダービディングを導入しました。
一番恩恵を受けたのはPCですね。CPMベースで2018年12月のCPM実績が前年比306%となり、目に見えて売り上げが増えました。

岡野 アドジェネで御社のスマホ / PC、アプリ / ウェブと、まるっとマネタイズできているということですね。

4. 今後の展望 / 改善施策の探求と、データ活用による単価の底上げ

岡野 すでに一通り揃った実装になっていると思うんですけど、この先どうしていきたいという展望などはありますか?

永山 うーん、我々にとっても、「アドジェネにもっとこうして欲しい」というのが思いつかないくらい既にフルパッケージでやっていただいていて、配信調整の幅も広がったと思います。ただ、SDKに切り替えて1年経つので、SDKのメンバーチェンジなどはしていくつもりです。事業者の合う、合わないも見えたので。

大石 こちら側の課題にもなるのですが、今回実装したSDKのうち全てが期待していた結果になっているわけではありません。その原因を踏み込んで研究したいですね。例えばMoPubなどは、niconicoユーザーとTwitterユーザーの親和性はトップクラスで高いはずなのですが、現状ではポテンシャルを活かしきれているとは言いにくい状況です。枠位置なのか、それとも実装が悪いのか?という原因の切り分けをできていないので、それらを改善する事でいかにパフォーマンスを高めていくのかが課題ですね。

酒井 海外系の事業者の場合はビューアブル(※)などもしっかり見てくる傾向にあるので、広告枠の実装位置の見直しなども必要になってくるかもしれないですね。

 ビューアブル
配信された広告が実際にユーザーが閲覧できる状態にあったかどうかを示すもの。一般的に「広告ピクセルの50%が、スクリーンに1秒以上(動画の場合は2秒以上)表示された広告インプレッション」がビューアブルインプレッションと定義され、広告主からの出稿指標としてその重要性を増しています。

永山 ビューアブル課金の波は避けて通れないと思っているので、実装位置は抜本的に見直していく必要があると考えています。ただ、ビューアブルの話で難しいのが、広告位置を上げるとコンテンツの位置は下がることになるので、メディアとしては本意ではありません。単純な広告枠の位置というよりは、ユーザー体験を再構築する次元の話になってくると思います。

大石 ビューアブルにした結果、そのまま単価が高くなればいいんですけど、実情はそこまでシンプルな話ではありません。広告主からすればビューアブルが前提なのだとは思いますが、メディアからすれば、ビューアブル保証でないゆえに現在の値段で提供してきたのであって、ビューアブルであればもっと単価が上がるという形に、御社はじめ業界全体で方向付けしていただきたいです。

岡野 niconicoは純広告としても枠販売されていますよね。

永山 はい、純広告のセールスも頑張っています。弊社の特徴はniconicoのようなオンラインメディアだけでなく、ニコニコ超会議などのオフラインイベントも手がけています。オンラインとオフラインの全方位でプロモーションをお手伝いできる点が強みだと考えています。

また、データをもっと上手く使っていきたいと考えています。純広告とプログラマティック双方の特徴を活かしたPMPの販売にも今後力を入れていこうとしており、この領域はデータ活用が不可欠だと思っています。

大石 niconicoが持っている1st Partyデータを強みに、セールス強化を真剣に進めているので、そこもSupershipと一緒にやれたら嬉しいです。面だけの力では限界があるので、データを使ってバリューを高めていきたいです。

永山 例えばですが、Fortuna(DMP)ScaleOut(DSP)アドジェネ(SSP)、この3つのプロダクトはシームレスに連携できると思うので、新しい価値を提供できるようなお取り組みができると良いなと思っています。

酒井 引き続き宜しくお願いします!

まとめ

日本最大級の動画サービス「niconico」を運営する株式会社ドワンゴ様に、JSタグからアドジェネのSDK実装へ移行した経緯と、ヘッダービディングも活用したことによる収益性への影響について取材しました。
アプリへのSDK及びヘッダービディング導入を検討されている媒体社様の参考になればと思います。

niconicoへの広告出稿のお問い合わせはこちらまで!

アドジェネはAmazon Publisher Servicesの公式パートナーとして、TAMの契約 / 実装のご案内が可能です。
ヘッダービディングは、「Prebid.js」及びGoogle社の「Open Bidding」も対応していますので、ご興味のある媒体社様はお気軽にお問い合わせ下さい。

アドジェネへのお問い合わせはこちらまで!

取材にご協力いただいた永山様、大石様、ありがとうございました!

Ad Generation

「Ad Generation(アドジェネレーション)」は、楽しく、自由につかえる、パブリッシャー向けアドプラットフォームです。国内外の主要な広告配信事業者とのパートナーシップにより、広告の自動最適化配信や、収益レポートの一元管理を行うことで、広告収益最大化と広告運用コスト削減を支援します。
“制約なくご利用いただけるアドサーバー”という設計思想に基づき、パブリッシャーのニーズに合わせた自由度の高い広告配信設計が可能なうえ、ヘッダービディングへの対応など、最新のアドテクノロジーとサービスにより国内大手パブリッシャーを中心にスマートフォンアプリ/ウェブにおける最大規模の導入シェアを誇ります。

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