オンオフデータをシームレスに連携!店舗型リテールメディア「Supership Touch Gift(タッチギフト)」とは?
公開日 : 2024.10.01
デジタル化が進む流通・小売業界では、OMO(オンラインとオフラインの融合)が重要な課題となっています。NFC(Near Field Communication)技術を活用した「Supership Touch Gift」(以下、タッチギフト)は、従来のQRやビーコンと異なり、顧客体験(CX)全体を包括する特許取得のソリューションです。タッチギフトは、CXの向上と自社メディア育成、そして得られるデータの効果的な活用を伴走型でご支援します。
本記事では、タッチギフトの特長、導入事例、そして今後の展望について、企画・開発からセールスまで一貫して推進するプロデューサーの柴田が詳しく解説します。
なぜ日本の小売業はデータ活用に苦戦しているのか?
国内の流通・小売業が直面する大きな課題の一つに、「顧客データの収集と活用」があります。「リテールメディア」という言葉を国内でもよく耳にしますが、多くの企業にとって効果的なデータ収集の仕組みづくりはまだ発展途上にあります。さらに、データを保有している企業でも、それを自社のマーケティングやビジネスに最大限活用するためのノウハウや体制の構築は、今後さらなる進化が期待される分野です。
この背景には、日本特有の流通・小売事業の環境があります。例えば、日本の街中には、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターなど、多様な小型専門店が点在しています。そのため、日本では日用品や食品を頻繁に少量ずつ購入する「ちょこちょこ買い」が一般的です。
対して、米国では大型の総合スーパー(食品だけでなく衣料品や家具家電などを販売する店舗)が主流で、顧客は一度の来店で大量購入する「まとめ買い」が一般的です。 このような購買行動の違いが、日米間のデータ活用の難しさに影響を与えていると考えられます。
実際、2022年の調査では、米国の食品小売業の店舗密度が1,000人あたり1.1店舗であるのに対し、日本は2.2店舗と店舗密度が約2倍であることが明らかになっています。この店舗の多さが、各店舗間で顧客の奪い合いを激化させているのです。つまり、多くの店が競い合う日本の小売業界においては、顧客が複数の店舗で買い物をするため、データの一元化が難しく、顧客の行動を正確に把握しにくいという問題があります。
出典:経済産業省「物価高における流通業のあり方検討会 最終報告書 ~よみがえるリアル店舗~」p.18 (図 2-22 食品小売業の店舗密度の推移)
ですので、こうした環境にある日本においては特に、まず企業が顧客データを効果的に収集する仕組みを整えた上で、統合・分析することが必要となります。これまでにも、ビーコンやデジタルサイネージなど、様々なアプローチが試みられていますが、これだけでは不十分だと私は考えています。
そこで、Supershipでは各社が独自にデータを蓄積し、それを自社の重要な資産として、オンサイトだけでなくオフサイトでもデータを活用したマーケティングを実現できる世界を目指しています。
私たちは、流通・小売事業者さまとの強固なパートナーシップのもと、データ活用の仕組みづくりからその活用までを支援し、CXの向上と新たな価値創出を目指して伴走する「リテールパートナー事業」を推進しています。タッチギフトはその実現を担う中核的なソリューションです。
小売業界が抱える3つの課題とは?
タッチギフトは、流通・小売事業者の方々との対話を通じ、私自身が感じた様々な課題を解決するために企画しました。何十社もの様々な企業さまにお話を伺う中で、共通して挙げられた課題は主に以下の3つでした。
流通・小売事業者さまが抱える3つの課題
1、自社メディアの育成と活用
多くの流通・小売事業者さまが自社メディアの育成に苦心されていました。デジタル化が進む中、お客さまとのコミュニケーションチャネルとしての自社メディアの重要性は認識されているものの、効果的なユーザー獲得方法や顧客データの活用に課題を感じている企業が多くありました。
2、店内販促施策の飽和と効果の頭打ち
店内でのプロモーション施策が飽和状態にあり、新たな施策を打ち出しても効果が頭打ちになっているという声を多く聞きました。従来の販促手法ではお客さまの興味を引くことが難しくなっており、新しいアプローチが求められていました。
3、広告効果の可視化とマネタイズの難しさ
多くの事業者さまが、広告効果の正確な測定や、それに基づいたマネタイズに苦戦されていました。特に、オンライン広告と実店舗での購買行動の紐付けが難しく、投資対効果(ROI)の測定や、それに基づいた広告商品の開発に課題を感じていました。
タッチギフトはどのように小売の課題を解決するのか?
タッチギフトは、これらの課題を総合的に解決するソリューションとして企画・開発しました。
近年、3rd Party Cookie規制の影響が強化される中、企業における1st Party Dataの活用がますます重要視されています。タッチギフトは、実店舗という直接的な顧客接点で、正確な1st Party Dataを収集します。この貴重なデータを、オンラインデータやPOSデータと紐づけることで、従来の推測や統計データでは実現できなかった高精度なマーケティングが可能になります。
タッチギフトの主な特長
1、顧客体験の向上
お客さまのお買い物体験を損なうことなく、むしろワクワクする仕掛けで楽しさを提供します。
2、自社メディアの活性化
流通・小売事業者さまが保有するアプリ、ECサイト、SNSアカウントなどの利用を促進します。
3、店内施策の強化
正確なデータに基づいて、効果的な店内マーケティングを実現します。
4、広告効果の可視化
オンラインとオフラインの顧客行動を統合的に把握し、広告効果を正確に測定します。
5、新たな収益源の創出
自社メディアを活用して、広告マネタイズの可能性を広げます。
タッチギフトを通じて蓄積されるデータは、全て流通・小売事業者さまの会員データと連携して活用いただけます。これにより、オンラインとオフラインの顧客行動を統合的に把握し、より精緻なマーケティングや顧客サービスの提供が可能となります。
Supershipは、お客さまの買い物体験の向上を最優先に、ソリューション開発に注力しています。同時に、流通・小売事業者さまの業務効率化やマーケティング課題の解決に向け、
単なるソリューションベンダーでなく、ビジネスパートナーとして共に成長し、その事業発展を支援することを目指しています。
NFCとQRの違いは?タッチギフトの特長
タッチギフトは、NFC技術を活用したシンプルなソリューションです。スマートフォンをNFC搭載の什器やポスターにタッチするだけで次の操作に誘導でき、お子様からシニアの方まで、スマートフォンをお持ちの方なら誰でも簡単に利用できるよう設計されています。QRコードと似ているように思えますが、実はその性能は大きく異なります。主な違いは以下の3つです。
QRコードとの違い:便利で、セキュアで、優れた運用効率
1、圧倒的に便利
QRコードはカメラアプリを起動してから読み取る必要がありますが、NFCはタッチのみで完了します。社内実験では、NFCはQRコードに比べ、約3〜4秒の操作時間短縮が可能であることがわかりました。20-30代のスマートフォン操作に慣れている現役世代でこの結果なので、シニア世代ではさらに大きな差が生じると予想されます。
この数秒の差は非常に重要で、この操作時間の違いがあるかないかでは店内での購買体験に極めて大きな違いが生まれます。NFCのスムーズな操作性は、お客さまの購買行動を自然にサポートし、ストレスのない購買体験を提供します。
2、高度なセキュリティ
QRコードはURLを簡単にコピーでき、その後に場所を離れても利用できてしまうセキュリティ面のリスクがあります。一方NFCを利用するタッチギフトであれば、その場所でしか利用できないよう設定が可能です。これにより、ポイント付与などの幅広いサービスも、安全に実現できます。
3、優れた運用効率
タッチギフトは遠隔でコンテンツを更新できる機能を備えています。QRコードのようにキャンペーンごとに新しいURLに差し替える必要がなく、一度設置すれば、キャンペーン内容の変更も簡単で、店舗側の運用負担を大幅に軽減できます。
また、NFCのこれらの優位性に加え、タッチギフトは1回のセッションで広告表示、イベント、ギミック、クーポン提供をストーリー仕立てで実現します。
さらに、オフラインでの実行動データ(「いつ」「どの店舗で」「どの場所で」「誰が」「どのキャンペーンに参加したか」)を取得することも可能であり、これらを会員データと紐づけることで、より詳細な顧客行動の把握を可能にします。
従来の広告では、お客さまが広告を見てから実店舗で購買するまでにタイムラグがありましたが、タッチギフトはそのすべてが店舗内で完結します。店舗でNFCにタッチした瞬間に広告が表示され、特典(クーポン)も提供されるため、お客さまの購買意欲が最も高いタイミングで広告と販促施策を同時に行えるのです。これは、これまでになく、他では実現できない最も効果的なモーメントを抑えた究極のマーケティングを実現しています。
この技術においてタッチギフトは特許を取得しており、CXの向上と購買効果の改善に圧倒的な自信を持っています。
加えて、タッチギフトは給電不要で環境に配慮した設計です。POSレシートでのクーポン発行に必要なロール紙やキオスク端末、ビーコンやデジタルサイネージのような追加設備も不要で、NFC内蔵POPやポスター、什器などの設置だけで済むため、店舗の負担を大幅に削減できます。どこにでも設置できる柔軟性も大きな利点です。
驚異の購入率60%!タッチギフトが実現した成果とは?
現在、アパレルメーカーを中心に導入が進んでいます。
バロックジャパンリミテッド社のAZUL BY MOUSSYブランドでは、AZUL TOUCHとして本サービスを全店舗に導入いただいており、利用したお客さまの約60%がその場で商品を購入するという高い実績を上げています。従来のメルマガやプッシュ通知によるクーポン配信と比べ、非常に効果的だとご評価いただいています。
さらに、ブランド価値を維持しながら効果的な割引施策を実施できる点も高く評価されています。全顧客への一律割引は「セールの常態化」を招き、ブランドイメージを損なう恐れがあります。一方、タッチギフトは店舗でタッチした顧客にのみランダムで割引クーポンを提供します。ゲーム性のある仕掛けで購買意欲を刺激し、効果的な販促を実現することが可能です。
店舗スタッフの皆さんからは、「タッチギフトがお客さまとの会話のきっかけとなり、接客や販売につながりやすい」との声が多く寄せられています。
また、ANAP社ANAPブランド全店舗でもLINEの友だち追加キャンペーンにタッチギフトを導入いただいています。こちらも、QRコード読み取りよりも案内しやすく、成果も向上しているとのことで、ご好評いただいています。
タッチギフトの多様な可能性と、オムニチャネル戦略
今後は、アパレル業界以外への展開を積極的に推進しており、現在コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケットなどで試験導入を行っているところです。各業態に適したソリューション開発に注力しています。
メーカーさまによる新商品告知やキャンペーン情報提供など、広告事業としての新たな収益モデルの展開も検討中です。これにより、お客さまに有益な購買体験を提供しつつ日販を向上させ、同時に流通・小売事業者さまにはリテールメディアとしての活用の幅を広げていきます。
また、小売事業以外にも、地方自治体やスポーツ施設など、様々な場所での活用も視野に入れています。NFCの特性を活かし、「その場所でしか体験できないコンテンツ」を提供することで、地域活性化や顧客エンゲージメントの向上にも貢献できると考えています。
さらに、LINEとの連携も強化中です。現在、タッチギフトの機能をLINEのプラットフォーム上で展開できる「タッチギフト for LINEミニアプリ」のローンチに向けて開発を進めています。これにより、より幅広いユーザー層へのリーチとシームレスな顧客体験の提供が可能になると考えています。
タッチギフトは単なる店舗内ツールではなく、オムニチャネル戦略の重要な要素として、オンラインとオフラインの顧客体験を融合させ、包括的で効果的なマーケティングソリューションの提供を目指しています。
「タッチ」で変える、ミライの店舗体験
現在の主な課題は店舗での導入・運用面にあります。全国チェーンとして展開されている店舗においては、導入時の一斉立ち上げやキャンペーンの開始・終了時期などの統一的な管理など、オペレ―ション上の課題が残っています。
また、店舗内には数多くの販促用POPや什器が設置されています。店舗のブランドイメージや雰囲気との親和性を保ちながらも、いかにタッチギフトの存在を目立たせながらお客さまの注目を集めるかという点で、デザインや設置場所など、改善を重ねています。
技術的には海外製のごく一部の端末に限りNFCが使用できないという課題もありますが、現時点での状況を鑑みると、日本国内で流通している端末のほとんどで問題なく利用可能です。
約25年前、Suicaが導入された時のように、新しい習慣が社会に浸透していく過渡期であると言えるのではないでしょうか。
今後は、さらなる技術改善と流通・小売事業者さまにとってもお客さまにとっても魅力的な仕組み作りに注力し、お店でタッチを当たり前の世界にしていきたいです。
最後に
タッチギフトは、NFCを活用した革新的なリテールメディアソリューションです。1st Party Dataの活用や正確なオン・オフの垣根を超えた広告効果の測定など、業界が長年抱えてきた課題に対する解決策を導き、データドリブンなマーケティング戦略を実現します。
Supershipは、流通・小売事業者さまとのパートナーシップを通じてともに成長し、日本のリテール業界のミライを切り拓いていきます。
タッチギフトに関心を寄せてくださった皆さま、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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関連リンク:
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